自分の身について 知っている人知らない人(2021年11月11日 00時00分) 回復力の整体

足首を回すと云う、まあ簡単で誰にもできそうなエクササイズをホームワークとしてやってもらうことがあります。
最初は簡単に足首の回し方を一緒にやりながら説明するだけです。「次回まで毎日やって見て..」と送り出します。
次にお見えになった時に、やってもらうとなかなか伝えた通りには出来ていません。なのでまた一緒にやりながら伝えます。それでも、なかなかその通りにはできないらしくて、次にお見えになったときにもやって見せて、だんだんと伝えた通りになっていきます。
なかには家で毎日ちゃんとやっていた・…と仰る方も居られますから、やって見せてもらうとなかなかちゃんとは出来ていないものです。 それはどうしてかと云うと、{足首を回す}ということが何をどのように動かしているのか分かっていないからです。
私の伝え方が悪いのです。
ですがそれで良いのです。実は、其処は織り込み済みで
つまり「分かっていない事」は最初から分かっているのです。ですが、あえて説明しません。

と云うのも「足首を回すことくらい言われなくても(知っている・分かっていること)だから」です。
分かっていると思い込んでいることは、人に言われても考え直そうとはしないものです。そんなことは簡単で誰にでも出来ること・…である以上、ご自身が出来ていない、「実は分からない」と実感しないと改めて分かろうと、つまり間違いを直そうとしないものです。
それでかまわないのです。足首ってどこのこと?脚の膝から足の方へ行って踵の手前の細くなっている辺りのことですが、それって正しくは何処から何処までのことでしょう。と…考えると「ふ～む」となります。足首は解剖学的な言葉ではありませんから、厳密に何処から何処までなどと考えなくて良いと思います。ですが、エクササイズとして足首回しをする場合は、何をしているのか知っておく必要があります。
そこで足や足首を取り巻く筋肉や骨のことを説明すことになります。
でもその前に、正確に言われたとおりに回してみる体験が必要なんです。そうして、なんかこんな感じで回るなあと分かってもらいたいのです。
それを何週間かやって見ると自分の足首が分かってきます。言い換えると(分から無さ)も感じてきます。
何よりも知識は自分の体験に即して解釈されるのです。

整体的には解剖図を見て説明することがあります。すると足の裏の構造は筋肉が3～4層になっている事、そこを理解して足裏に触れたり、下腿の筋肉は足裏まで伸びていることを理解して、足首回しができるようになります。すると全くそれまでとは異なった足首回しになってきます。

解剖図を見るまでは知らなかった知識が実際に活きて来るかと思います。

人は「自分の身体のことは自分が一番分かるから…」と思いがちな面があります。将来の自分の健康に自信があるか?と尋ねると、結構な確率で(まあ大丈夫)とか(まあまあ何とかなっているると思う)という応えが8割を超えます。どう見ても辛そうな身体だなあと思える方でもその返答は変わりません。自身があるのはまんざら悪いことではありません。しかし、その根拠はほとんど無くて、まあそんな気がするなあ…といったものです。

そして、自分の足の構造について、説明されるまで知らなかった人がほぼ全員です。
私たちは毎日お世話になっている自分の足の構造を知らないのです。多くの先人が人間の身体解剖をして知識を伝えてくれて初めて私たちは自身の足のことを知ることになるわけです。が、学ばない限り知ることもないのです。

それでも構わず元気に生きていったら良いのです。ですが、知ってケアするほうがメリットがあります。そういう人生のほうが力を発揮できると思うのです。