【中殿筋トリガーポイント徹底解説】
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◆ 中殿筋とは?
中殿筋(Gluteus Medius)は、骨盤の外側に位置する中臀筋群の中核であり、股関節外転・内旋・外旋を司る多機能筋です。
特に立位での骨盤安定化において絶対不可欠な存在で、片足立ち動作(歩行、ランジ、階段昇降)での骨盤水平保持には、中殿筋の収縮が必須となります。
この中殿筋が機能低下(筋出力低下・持久力低下)または過緊張状態に陥ると、
• 骨盤の左右バランス不良
• 腰椎〜仙腸関節部の代償運動
を招き、慢性腰痛、股関節周囲痛、膝関節痛の遠因となりえます。
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◆ トリガーポイントとは何か?
トリガーポイント(Myofascial Trigger Point、MTrP)とは、
筋線維の一部が持続的に収縮し、代謝障害・局所虚血状態となった結果形成される「過敏化した筋膜硬結部位」です。
特徴:
• 自発痛(何もしていなくても痛む)
• 圧痛(押すと強い痛み)
• 関連痛(離れた部位への放散痛)
• 局所的な筋緊張異常
画像で示された❌はトリガーポイント形成部位、
赤色エリアはそこから波及する「関連痛領域(Referred Pain)」を示しています。
つまり、中殿筋のトリガーポイントが活性化すると、
**実際に痛みを感じるのは「お尻」だけでなく、「腰部外側」「大腿外側」**にまで広がるということです。
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◆ なぜ中殿筋にトリガーポイントができるのか?
筋肉負荷・循環障害・持続収縮がキーです。
主な要因:
• デスクワークによる持続的な中殿筋低活動+臀部圧迫
• 長時間の立位・片脚重心による持続収縮ストレス
• 骨盤の左右非対称・仙腸関節機能障害
• スポーツにおける過負荷(特にランニング、サッカー、マラソン)
慢性的な微小外傷(Microtrauma)と血流障害が重なると、ATP産生低下→カルシウムイオン過剰流入→筋収縮持続→トリガーポイント形成、という悪循環に陥ります。
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◆ トリガーポイントのメカニズム
1. 筋線維内部でATP不足が起き、筋弛緩機構が破綻
2. ミオシンとアクチンが固着し、**持続的な収縮帯(Contracture Knot)**が形成
3. 血流低下→代謝産物(乳酸、ブラジキニン等)蓄積→疼痛物質放出
4. 感覚神経(主にC線維)を刺激し、局所疼痛+関連痛を誘発
5. 関連痛はデルマトーム支配・筋膜連結網に沿って広がる
これにより、痛みがトリガーポイント部位とは異なる領域に「飛ぶ」という現象が起こるのです。
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◆ 中殿筋トリガーポイントによる臨床症状
• 仙腸関節部周囲の局所痛
• 腰部外側~大転子付近の痛み
• 大腿外側のしびれ様症状
• 坐骨神経領域に似た放散痛(仮性坐骨神経痛)
• 歩行時の骨盤のぐらつき感
• 長時間立位・歩行後の臀部の異常疲労感
これらが出ている場合、単なる腰痛・神経痛と自己判断せず、中殿筋トリガーポイントの存在を疑うべきです。
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◆ アプローチ方法
【臨床アプローチ】
• 筋膜リリース(Myofascial Release)
• トリガーポイント圧迫療法(Ischemic Compression)
• 収縮弛緩ストレッチ(Contract-Relax Stretch)
• 筋機能回復エクササイズ(特に股関節外転筋群強化)
• 姿勢・動作パターン再教育(Postural/Movement Re-education)
【セルフケア】
• テニスボール等を使ったトリガーポイントセルフリリース
• ストレッチポールによる股関節外転可動域改善
• 中殿筋起始部と停止部を意識したアクティブエクササイズ
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【まとめ】
中殿筋のトリガーポイントは、単なる「腰痛」や「臀部痛」の裏に潜み、気づかれないまま慢性化しているケースが非常に多いです。
「痛みの出ている場所」と「痛みの原因となっている場所」がズレるという現象は、筋膜生理学的にも説明がつきます。
これを見抜き、ピンポイントで対応できるかどうかが施術の成否を分けます。
身体は必ず原因と結果で動いている。
原因にアプローチすることこそ、**本質的な身体の再建(Rehabilitation)**への第一歩です。
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