頚椎ヘルニアと食いしばりの関係性とは?(2025年08月04日 16時32分) 杉山手技療法・西宮北口

【頚椎ヘルニアと食いしばり・歯ぎしりの深い関係を東洋医学で読み解く】

頚椎ヘルニアが「食いしばり」「歯ぎしり」を招く理由は、単に首周辺の神経や筋肉の問題だけではありません。東洋医学の観点から、多層的に解き明かしましょう。

▶️【西洋医学的連関】
頚椎ヘルニアでは、突出した椎間板が神経根や自律神経系を刺激・圧迫します。その結果、身体は慢性的な痛みやしびれへの“緊張応答”として、交感神経優位状態に。すると咀嚼筋(咬筋・側頭筋)が無意識に緊張しやすくなり、就寝中や日常生活で食いしばりや歯ぎしりが誘発されやすくなります。

▶️【東洋医学的連関】
東洋医学では「首」「顎」「歯」はすべて経絡で繋がれていると考えます。

■経絡と気血の流れ
首～顎～顔にかけて流れる「胃経」「大腸経」「三焦経」「胆経」などが頚椎の周囲を通過し、これらは歯や歯茎、顎関節、首の筋肉とも結びついています。ヘルニアで首の流れがせき止められると、気血津液の停滞から経絡上に「瘀血(おけつ)」「気滞」と呼ばれる滞りが生じ、下流である顎・口腔にまで影響が波及。緊張、だるさ、圧迫感、あるいは違和感として現れます。

■「肝」と「脾」の役割
「肝」は主に全身の気血を巡らせ、筋の緊張をコントロールする機能担当。慢性的な痛み・ストレス・イライラが続くと“肝気鬱結”となり、気の流れが停滞。筋肉のしなやかさが失われ、頑固なハリやこわばり、痙攣(けいれん)などを招きます。とくに顎や顔は肝の影響を強く受け、肝の不調→筋緊張→無意識の咬筋活動という循環に。
一方「脾」は、身体の根本的なエネルギーや血の生成、口腔粘膜・歯・唇の健康に直結します。頚椎の疼痛や睡眠障害、食いしばりによるエネルギー消耗が続くと、脾虚(ひきょ:脾の機能低下)をきたし、口腔内トラブルを悪化させることも多いのです。

■「腎精」の枯渇
腎は骨や歯、骨髄を主り、加齢やヘルニアによる持続的消耗(とくに慢性化した頚椎疾患)は「腎精」を傷つけ、骨・歯の脆弱化、再生力や回復力低下として症状を長引かせます。

■感情(七情)‐ストレスとの関わり
東洋医学では「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」の七情が臓腑に作用すると説きます。首の痛みに伴う精神的な不安やストレスは、肝気をさらに鬱結させ、「夜間の歯ぎしり」「顎の無意識緊張」「目覚め時の顎・歯のだるさや痛み」など多様な症状のトリガーとなります。

▶️【具体的な症状例】
・朝目覚めた時の顎やこめかみのだるさ、痛み
・歯科で“歯がすり減っている”と指摘される
・ほお・首・肩のコリと歯ぎしりが連動する
・頚椎ヘルニア治療後に食いしばりが改善した

▶️【日常的セルフケアの重要性】
●ポイント1 まずは“首”を守る
姿勢の見直しや枕・マットレス選び、定期的な首〜肩ストレッチ、温灸や蒸しタオルなどの温熱ケアにより、経絡の流れを改善しましょう。
●ポイント2 “肝”と“脾”の養生
過労や夜更かしを控え、栄養バランスのよい食生活を。青菜やナッツ、海藻・豆類の摂取は肝・脾両方をサポートします。
●ポイント3 口腔・顎のマッサージ
耳下〜顎関節周囲、および咬筋・側頭筋を指でゆっくりほぐす。深呼吸を意識しながら1日2〜3回実施が理想です。
●ポイント4 “心”のケア
好きな香りに囲まれたり、瞑想・呼吸法、ぬるめの入浴などで心の緊張も和らげましょう。

▶️【鍼灸・漢方という選択肢】
東洋医学専門家による鍼灸治療では、「肝疏泄」「気血流通」「瘀血化消」「腎精補益」など体質と症状の本質から根本調整を実施。また、漢方では芎帰調血飲・柴胡桂枝乾姜湯などを含む処方が活用されます。

──現代社会ではデジタル機器の多用、睡眠の質低下、慢性疲労による頚椎トラブルが急増。日々の“首・顎ケア”に東洋医学の英知を活かしてみませんか?

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