頭痛かったらだいたい三叉神経?(2025年08月05日 16時37分) 杉山手技療法・西宮北口

【リンパマッサージ後に左目の奥がじーんと熱くなる理由──西洋医学と東洋医学の専門的視点から徹底解説】

リンパケアやマッサージ後、「左目の奥がじーんと熱くなる」感覚を経験する方が少なくありません。この現象には、西洋医学と東洋医学、それぞれの知見が深く関与しています。今回は両者の専門的視点から、そのメカニズムを徹底解説します。

■西洋医学的な理解

西洋医学的に見ると、体のリンパ系は老廃物の排泄や免疫応答、体液バランス維持に不可欠な役割を果たしています。顔面・頭頸部は「浅頸リンパ節」「深頸リンパ節」や「顎下リンパ節」など多くのリンパ節が密集したエリアです。特に目の周囲は、血管・リンパ管・神経が交錯しているため、外的刺激に繊細に反応します。

目の奥(眼窩後部)は、「眼動脈」や「眼静脈」、動眼神経・三叉神経などの複雑な神経支配と血流が特徴です。リンパマッサージによって顔面・頭部のリンパ液の還流が促進されると、局所の血管拡張や血流増加が生じやすくなります。これにより、眼の奥を走る血管や神経への血液供給が一時的に増加し、神経レベルで「じんわり」とした温感が生じると考えられます。

さらに、顔面には「三叉神経」(感覚の大半を担う)が広がっており、これが頭痛や顔面神経痛に関わるほか、循環変化にも敏感に反応します。リンパの流れが促進された際、局所のpH・温度・酸素濃度なども変化し、神経終末がその情報を感知。「熱い」「じんじん」といった感覚が脳に伝達されます。加えて自律神経系(交感・副交感神経)の働きが活発化し、リラックスや血流増加による反応として熱感を認識することも多いです。

また、「左目の奥」に限定した症状については、体の左右差も関係することがあります。元々左側のリンパ循環や動静脈走行が人によって異なることや、脳の半球支配との連関、利き目・姿勢・生活習慣による微細なアンバランスが関与します。これが左側に症状が偏る一因ともいえるでしょう。

■東洋医学的な理解

一方、東洋医学では「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」の循環が人体の健康を保つ根幹とされています。特に目の不調や違和感は、五臓のうち「肝」との関連が強調されます。「肝は目に開竅する」(肝の健康状態が目に現れる)とされるほど、「肝血」の巡りは視覚機能や目の疲労感、違和感に大きく影響します。

顔周囲には、多様な経絡(エネルギーの通り道)が分布しており、とくに「胆経」「膀胱経」「三焦経」「胃経」などが目の内外と密接に連携しています。これら経絡のルート上で滞り(気滞、瘀血)が生じると、東洋医学では「実症」のサインとみなされ、リンパケアで気血津液が再び流れ始めることで、経絡を刺激しながら一時的な違和感やじんじんとした温感となって現れやすいと解釈します。

また左側の目に症状が集中する場合、肝胆経のアンバランスが背景にあると考えられ、「精神的なストレス」「怒り・抑圧された感情」などが肝の機能低下や気滞を招いていることが多いです。東洋医学でいう「肝気鬱結」(感情の抑制による滞り)がケアにより流れ始め、経絡系で電流が走るような反応として熱感やじわじわした感覚が現れると説明されます。

また、「血(けつ)」の流れが著しく改善されると、身体の一部(この場合は左目の奥)に温熱・軽いしびれ・温まる感覚(=瘀血の解消サイン)が出現します。これらは臨床的にもしばしば報告される現象で、特に長時間の眼精疲労や慢性的な首肩こりがある人ほど顕著とされています。

■まとめ

以上のように、リンパマッサージによる「左目の奥のじんわり熱感」は、西洋医学でいう“血流・神経”の物理的変化、東洋医学でいう“気・血・経絡”のエネルギー循環の活性によるもの。どちらの視点も重なり合い、現在の身体の状態や生活習慣、内面のストレスが複雑に影響しています。こうした反応は通常生体の適応現象ですが、過度な痛みや持続的な違和感がある場合は専門家への相談もおすすめします。

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