狭窄症ってずっと神経挟んでるから痛いに決まってるよ!という話(2025年09月20日 16時36分) 杉山手技療法・西宮北口

狭窄症の手術後に、右のお尻(臀部)から痛みと痺れが出てくる状態を、解剖生理学の視点で整理します。Instagramの投稿用に分かりやすく、要点を押さえつつ背景を丁寧に説明します。なお、これは一般的な説明であり、個別の診断や治療の代替にはなりません。症状が続く・悪化する場合は主治医に相談してください。

まず大事な考え方
- 痛みの性質は「坐骨神経の放散痛( radicular 痛み)」と「臀部周囲の筋肉・皮膚の知覚過敏による痛み・痺れ」が混在して現れやすいです。
- 手術直後は組織の炎症や腫脹があり、神経根周囲の環境が再び整わない期間があります。これにより痛みが長引くことがあります。
- 腰椎の狭窄を改善しても、術後には周囲の構造の変化(瘢痕化、神経根の牽引、隣接する腰椎の負担増など)が痛みに関与することがあります。

解剖学・生理学のポイント
- 痛みの発生源となる神経
- 坐骨神経は腰から臀部を通り、脚へ分かれて走ります。狭窄症で圧迫されていた神経根が解放された後も、術後の周囲組織が神経根に影響を与え続けることがあります。
- L5-S1 付近の神経根が関与するケースが多く、臀部〜下肢の放散痛・痺れを生みやすい領域です。
- 硬膜外の癒着と神経根の牽引
- 手術後には硬膜外の瘢痕組織(癒着)が形成されることがあり、神経根が周囲組織に“引っ張られる”ことで痛みが長引くことがあります。これをエピデュアルフェイバーシス(瘢痕形成による神経の牽引)と呼ぶことがあります。
- 近接する解剖構造への影響
- 股関節の動きと連動する仙腸関節の機能異常や、臀部の大殿筋・中殿筋などの筋膜・筋緊張の変化が痛みを増幅することがあります。
- Piriformis(梨状筋)と坐骨神経の関係性による“梨状筋症候群”が、臀部痛・坐骨神経痛様の症状として現れることもあります。
- 痺れのメカニズム
- 神経根の炎症・浮腫が神経線維の興奮性を高め、知覚の異常(痺れ・ピリピリ感・感覚低下)を生みます。慢性化すると神経の機能が過敏になり、痛みの閾値が低く感じられやすくなります。

症状の背景にある主な機序の整理
- 瘢痕化と神経の癒着: 痛みが持続する主な原因の一つ。局所の炎症が長引くと動きとともに痛みが出やすくなります。
- 神経根の過敏化: 炎症・腫脹・牽引の結果、神経根が過敏になり痛みを感じやすくなります。
- 併存する関節・筋機能の問題: 仙腸関節の機械的ストレス増大、臀部筋の張り・筋膜のトリガーポイントが痛みを増幅します。
- 隣接節への負担増加: 手術後に別の腰椎レベルへ代償的な負荷がかかり、別の部位での痛みが出現することがあります(Adjacent Segment Disease の可能性)。

診断と日常の向き合い方
- 診断の軸
- 痛みの部位・放散の様子・感覚の変化・動作との関係を詳しく聴取します。必要に応じてMRI(対比剤を用いた検査が有用)や神経伝導検査が検討されます。
- 物理的評価では、臀部・腰部の筋力・柔軟性・体幹安定性・股関節・仙腸関節の動きを総合的に評価します。
- 自分でできること(補足的なセルフケアのヒント)
- 痛みを増やす動作を控えつつ、適度なストレッチや体幹の安定性を高める運動を段階的に導入します。
- 筋膜リリースやマッサージ、適切な温熱療法は血流を改善し痛みのコントロールに役立つことがあります。
- 睡眠姿勢の見直しや適切な寝具選びも、痛みの波を抑えるのに有効です。
- 専門的な治療の方向性
- 物理療法(牽引・温熱・電気刺激・超音波など)と運動療法の組み合わせが一般的です。
- 神経の機能を整えるための神経可動訓練(神経滑走)も選択肢になります。
- 必要に応じて薬物療法(痛み止め・神経痛薬)や注射療法が検討されることがあります。
- 重要なサイン(受診の目安)
- 急激な痛み増悪、足の著しい weakness、排泄機能の変化(排便・排尿のコントロール喪失)、発熱があれば緊急性を要します。

結論
- 手術後の右臀部痛・痺れは、癒着・神経の過敏化・関節機能の変化など複数の機序が絡むことが多いです。解剖生理学の視点からは、神経根の状態と周囲組織の機械的・炎症性変化、そして生活動作との関連性を総合して評価します。焦らず、専門家と協力して痛みの原因を特定し、段階的に機能改善へ向けたリハビリプランを組むのが有効です。

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もしよろしければ、あなたの現在の痛みの具体的な場所(臀部のどの部分か、脚のどのあたりへ放散するか)、痛みの性質の詳しさ(鋭い痛みなのか、鈍痛・ズキズキか、波のように出るか)、日常の動作との関係、最近の検査結果などを教えてください。より個別に、伝えやすい言葉での説明文を作成します。