五十肩(肩関節周囲炎)は「急に肩が痛い・上がらない」だけでなく、三角筋前部繊維との関係がかなり深いです。ここを理解すると、なぜ治りにくいか、どうアプローチすべきかが見えてきます。
三角筋前部は
・腕を前に上げる(屈曲)
・内側にひねる(内旋)
動きで強く働く筋肉。デスクワーク・スマホ・家事・運転などで「肩が少し前に出た姿勢」が続くと、常に軽く緊張したままになり、そのすぐ下を走る腱板(棘上筋・棘下筋など)や関節包にじわじわ負担がかかります。
この慢性的ストレスが
1)腱板・関節包の微細な炎症
2)痛みをかばって動かさない期間の増加
3)関節包の線維化・拘縮(いわゆる“凍結肩”)
という流れを作り、「時間がかかる五十肩」へ進行していきます。
ポイントは、炎症そのものより「動かさない時間」が長くなるほど関節包が縮み、可動域が落ちていくこと。一度固まった関節包が入れ替わるには、筋肉痛の修復とは桁違いの時間が必要で、数カ月〜1年以上かかることも珍しくありません。
さらに、痛みの初期にはローテーターカフ(インナーマッスル)がうまく働かなくなり、代わりに三角筋前部が頑張りすぎることで、上腕骨頭がわずかに前上方へずれやすくなります。これがインピンジメント(骨と腱がぶつかる状態)を助長し、「動かすと常に痛い」「夜間痛が強い」という悪循環を生みます。
回復を早めるには
・「痛みを我慢して大きく動かす」ではなく、「痛くない範囲で小さく・高頻度に動かす」
・肩甲骨まわり(前鋸筋・下部僧帽筋)の安定化と、ローテーターカフの軽負荷トレーニングで「三角筋前部だけに頼らない」動かし方を再学習
・急性期はアイシングや鎮痛薬・注射などで炎症をコントロールし、無理なストレッチは避ける
・痛みが落ち着いたら、振り子運動・壁を使ったスライド・タオルを使った軽い外旋運動などを毎日コツコツ積み上げる
ことが重要です。「週1でハードに」より、「毎日少しずつ」の方が、拘縮した関節包には効果的です。
栄養面では、
・タンパク質:体重1.0〜1.5g/kg/日を目安に、肉・魚・卵・大豆などからしっかり確保
・オメガ3脂肪酸:青魚・亜麻仁油・えごま油などで炎症バランスを整える
・ビタミンC・E・ポリフェノール:コラーゲン合成と抗酸化サポート(果物・野菜・ナッツ)
・ビタミンD・カルシウム:骨・腱付着部の環境を整える(魚・きのこ・乳製品・日光浴)
一方、喫煙・過度なアルコール・極端な糖質過多は血流と修復力を落とし、治癒を確実に遅らせます。「これだけ飲めば治る」魔法のサプリはなく、適切なリハビリと不足のない栄養が、結果的に最短ルートです。
そして忘れてはいけないのが、「本当に五十肩かどうか」の鑑別。腱板断裂・石灰沈着性腱炎・頚椎由来など、似た症状でもアプローチが全く変わる疾患が多くあります。画像検査と専門家(整形外科医・理学療法士)の評価を受け、自分のステージに合った運動とケアを選ぶことが、遠回りに見えて実は一番の近道です。
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