躁うつ病が和らいだとお言葉頂いたので、処方箋について学びます(2025年12月23日 16時30分) 杉山手技療法・西宮北口

躁うつ病(双極性障害)や強い不安を「和らげる目的」で処方される薬は、症状(躁・うつ・不安・不眠・焦燥)と時期(急性期/維持期)で使い分けます。ここでは代表的な薬の種類・作用(作用機序)・副作用を、専門寄りに整理します

1) 気分安定薬(双極性障害の土台)
炭酸リチウム(リーマス等)
作用
中枢神経に複合的に作用して情動の高まりや衝動性を抑え、気分の波を小さくします。作用機序は完全には解明されていないとされます。nikkeibp.co.jp
主な副作用/注意
吐き気・食欲不振、手のふるえ(振戦)、眠気、口渇、多尿、体重増加。甲状腺機能低下、腎機能への負担、血中濃度が上がると中毒(ふらつき、強い振戦、意識障害など)のリスクがあり、血中濃度の採血モニタリングが重要です。kokubunji-east-clinic.com
バルプロ酸(デパケン等)
作用
興奮性を下げる方向(GABA系など)に働き、躁の高まりやイライラを抑える目的で使われます(臨床的には急性躁や混合状態で用いられることが多い)。
主な副作用/注意
眠気、ふらつき、体重増加、肝機能障害、血小板減少、脱毛など。妊娠可能性がある場合は胎児への影響が問題になりうるため、必ず医師とリスクベネフィットを相談します。
カルバマゼピン(テグレトール等)
作用
神経の過剰な興奮(電気的な発火)を抑える方向に働き、気分の波や焦燥を軽くする目的で用いられます。
主な副作用/注意
眠気、めまい、ふらつき、低ナトリウム血症、肝機能障害、発疹。まれに重い皮膚障害(SJS/TEN)などがあり、皮疹は要注意です。薬物相互作用(併用薬の効き方を変える)が多いのも特徴です。
ラモトリギン(ラミクタール等)
作用
主に**双極性の「うつ」や再発予防(維持療法)**で使われることが多い薬です(躁を強く止める薬というより、気分の安定を支える役割)。
主な副作用/注意
発疹が重要な注意点で、開始・増量はゆっくり行います。眠気やめまい、頭痛など。
※日本で「気分安定薬」と呼ばれる代表例として、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンが挙げられます。sugiura-kokoro.comcocoromi-mental.jp
2) 非定型抗精神病薬(躁・不安・不眠・焦燥にも効くことがある)
作用
ドパミンD2受容体やセロトニン5-HT2A受容体などに作用し、躁の高揚、易刺激性、焦燥、思考の加速、時に不安を落ち着かせます。双極性障害では気分安定薬に追加されたり、単剤で使われる場合もあります(薬剤ごとに得意領域が異なる)。
主な副作用/注意
眠気、体重増加、代謝異常(血糖・脂質)、錐体外路症状(そわそわ、手足のこわばり等)、高プロラクチン血症、QT延長など。定期的な体重・採血チェックが行われます。
3) 抗うつ薬(不安や抑うつを和らげるが、双極性では注意が必要)
作用
SSRI/SNRIなどはセロトニンやノルアドレナリン系を介して不安・抑うつを改善します。
双極性での重要な注意
双極性障害では、抗うつ薬が**躁転(躁状態への切り替わり)**や気分の不安定化に関与する可能性があるため、気分安定薬や抗精神病薬と併用しながら慎重に使われることがあります。
主な副作用/注意
吐き気、下痢、眠気/不眠、性機能障害、賦活症候群(飲み始めに焦燥・不安が一時的に増す)、中止での離脱症状など。
4) 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など:即効性があるが依存に注意)
作用
GABA-A受容体を介して脳の興奮を抑え、短時間で不安、緊張、パニック、筋緊張、不眠を和らげます。
主な副作用/注意
眠気、ふらつき、注意力低下、転倒リスク。連用で耐性・依存が起きうるため、漫然と長期使用せず、必要最小限・漸減が原則になりやすいです。アルコールとの併用は危険です。
5) 睡眠薬(不眠が悪化因子になるとき)
作用
不眠は躁・不安・うつを悪化させるため、睡眠を整える目的で処方されます(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬、非ベンゾ系など)。
主な副作用/注意
翌朝の眠気、ふらつき、健忘、夢の増加など。薬剤により転倒やせん妄リスクの注意点が異なります。
6) インスタ投稿向けの「大事な補足」(安全のため)
・同じ「不安」でも、双極性の躁/混合状態・パニック・強迫・不眠など背景で処方が変わります。
・自己判断で中断/増減すると、再燃や離脱症状が出ることがあります。
・特にリチウムは採血での管理が重要です。nikkeibp.co.jpkokubunji-east-clinic.com
・妊娠可能性、持病(腎・肝・甲状腺)、併用薬、飲酒習慣は必ず医師に共有を。
参考(Web)
〔名古屋栄ひだまりこころクリニック|記事日付不明〕nagoyasakae-hidamarikokoro.or.jp
〔日経メディカル処方薬事典(炭酸リチウム)|記事日付不明〕nikkeibp.co.jp
〔すぎうらこころのクリニック|記事日付不明〕sugiura-kokoro.com
〔国分寺イーストクリニック|記事日付不明〕kokubunji-east-clinic.com
〔田町三田こころみクリニック|記事日付不明〕cocoromi-mental.jp