眉毛下制筋(主に皺眉筋=corrugator supercilii、鼻根筋=procerus、眼輪筋の一部など)は、眉を内側・下方向へ引き下げ、眉間の縦ジワや鼻根部の横ジワを作る「しかめ面」の主役です。解剖学的には、眉毛上方の皮膚や眉間の筋膜に付着し、収縮すると前頭筋(眉を上げる筋)と拮抗します。つまり、眉が「上がりやすい人」「下がりやすい人」は、前頭筋と眉毛下制筋群の綱引きバランスで決まりやすい、ということです。
この眉毛下制筋群が過緊張になる背景として多いのが、近見作業(スマホ・PC)とまぶしさ/ピント合わせの負荷です。細かい文字を見続けると、無意識に「視野を狭めて集中する」ために眉間を寄せやすくなり、同時に眼輪筋も働きます。さらに、ドライアイやコンタクトの不快感、度数が合わない眼鏡などがあると、視覚情報が不鮮明になり、代償的に“しかめ”が増えます。ここで重要なのは、眉毛下制筋の緊張は「目そのもの」だけでなく、前頭部・こめかみ・後頭下筋群といった頭頸部の筋緊張と連動しやすい点です。眉間を寄せる癖が強い人ほど、頭皮が硬く感じたり、側頭部の圧迫感、夕方の重だるさ(緊張型頭痛様)を訴えることがあります。眼精疲労は「目の酷使」だけでなく、こうした表情筋・頭頸部の持続収縮が上乗せされて起きる“全身の疲労化”として捉えると改善戦略が立てやすいです。
ただし注意点として、眼精疲労の原因がすべて眉毛下制筋ではありません。屈折異常(近視・乱視)、調節機能の低下、斜位、ドライアイ、睡眠不足、ストレスなどが関与します。目の奥の痛み、吐き気、視力低下、片側性の強い頭痛がある場合は、セルフケアより先に眼科・医療機関での確認が安全です(これは推測ではなく一般的なリスク管理です)。
トレーニングは「鍛える」より、まず過緊張を下げて、前頭筋との協調を取り戻す発想が有効です。おすすめは次の3段階です。
・①リリース(1分)
眉間をギュッと押し込まず、指腹で眉頭の内側〜眉間を“皮膚ごとゆっくり揺らす”ようにほぐします。痛気持ちいい程度で、呼吸は長く吐く。強圧で揉み潰すと防御収縮が出るので避けます。
・②ストレッチ(30秒×2)
眉頭を内上方へ軽く引き上げ、眉間の皮膚を広げる方向にテンションをかけます。その状態で「目を細めず、まぶたは軽く閉じる」→息を吐く。目尻を強くつぶさないのがコツです。
・③再教育(1日3回・各10秒)
鏡の前で、眉間に力を入れずに「おでこを上げる」のではなく、眉尻がふわっと上に逃げる程度の微表情を作ります。ポイントは“額にシワを作りすぎない”こと。前頭筋を最大収縮させると逆に疲れやすく、眉毛下制筋との綱引きが激化します。
加えて生活側の介入が効きます。画面は目線より少し下、照明の映り込みを減らす、瞬きを意識してドライアイ対策をする、20〜30分ごとに遠くを見る(調節の休憩)などで「しかめる必要がない環境」を作ると、筋トレ効果が定着しやすいです。
最後にセルフチェック。文章を読んでいる時に、眉間に縦ジワが出る/鼻根部がつまる感覚がある/無意識に奥歯を噛む、これらがある人は眉毛下制筋の過活動が疑われます。まずは“力を抜ける状態”を作り、そのうえで軽い再教育を積む。これが専門的にみた近道です。
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