二日酔いで頭が痛くなる「原理」(専門的に)
結論から言うと、二日酔いの頭痛は主に
①脱水と電解質異常 ②血管の拡張(神経血管性頭痛)③炎症性サイトカイン ④睡眠の質低下 ⑤低血糖
が組み合わさって起こります。
1) アルコールの利尿作用 → 脱水・電解質ズレ → 頭痛
アルコールは脳下垂体から出る抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑えます。すると腎臓で水の再吸収が弱まり、尿量が増えて相対的な脱水になりやすい。脱水になると
・血漿量(循環血液量)が減る
・血液が濃縮ぎみになる
・脳の髄膜・血管周囲の痛覚系が刺激されやすくなる
などが重なって頭痛が出ます。さらに汗・尿・嘔吐でナトリウムやカリウムなどの電解質バランスも崩れ、だるさや吐き気も増幅します。
2) 代謝産物(アセトアルデヒド)と血管拡張
アルコール(エタノール)は主に肝臓で
エタノール →(ADH)→ アセトアルデヒド →(ALDH)→ 酢酸
と分解されます。アセトアルデヒドは毒性が強く、血管拡張、動悸、吐き気、頭痛に関与。体質(ALDH2活性)で処理能力が違うので、少量でもしんどい人がいます。
さらにアルコールは**一酸化窒素(NO)などを介して血管を拡張させます。頭の血管が拡張し、三叉神経系が関わる神経血管性頭痛(片頭痛に近い仕組み)**が起きやすいのがポイント。だから「ズキズキ」タイプの痛みになりやすいんです。
3) 免疫・炎症反応(サイトカイン)で「具合の悪さ」が増える
飲酒後は腸管バリアがゆるみ、エンドトキシンが血中に入りやすくなるなどの影響で、**炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α など)**が上がりやすいと言われています。これが
・頭痛
・倦怠感
・集中力低下
・気分の落ち込み
を引き起こし、「風邪っぽい二日酔い」を作ります。
4) 睡眠の質低下(REMの抑制・中途覚醒)→ 痛み閾値が下がる
アルコールは寝つきを良くする反面、後半に覚醒が増えて睡眠が分断されます。睡眠不足は痛みの抑制機構を弱めるので、同じ刺激でも頭痛を強く感じがち。いびきや無呼吸がある人はさらに悪化しやすいです。
5) 低血糖(肝臓の代謝優先)→ 頭痛・冷や汗・動悸
肝臓がアルコール処理を最優先すると、糖新生が抑えられ、食事が少ないと低血糖ぎみに。頭痛やふるえ、冷や汗、焦燥感が出ることがあります。特に空腹飲みの人はここが大きい。
今すぐできる対処法(優先順位つき)
まず最優先:水分+電解質+糖を「ちょっとずつ」
一気飲みは吐き気を悪化させるので、少量を頻回に。おすすめは
・経口補水液(OS-1等)を少しずつ
・スポドリはOKだが濃いと気持ち悪いなら薄める
・みそ汁、スープ(塩分で循環を戻しやすい)
・バナナ、はちみつ少量、ゼリー飲料(糖を少し)
「水だけ」より、塩+糖が入ると吸収が安定します。
頭痛薬は「選び方」が大事
胃が荒れていることが多いので、一般論として
・アセトアミノフェン:胃への負担が比較的少なめ。ただし肝臓で代謝されるので、飲酒直後や大量飲酒後に連用は避けたい(用量厳守)。
・NSAIDs(イブプロフェン等):効くこともあるが、胃粘膜障害・出血リスクがあるので空腹や胃痛がある時は注意。
※「どれが安全か」は飲酒量や肝機能で変わるので、不安なら薬剤師に確認が安心です。
吐き気が強い時
・無理に食べず、まずは温かい飲み物を少量
・しょうが湯、白湯
・体を起こして深呼吸(迷走神経反射の落ち着き)
・どうしても水分が入らない、尿がほぼ出ないなら受診も検討
カフェインは「少量ならアリ、頼りすぎは逆効果」
コーヒーで血管が収縮して楽になる人もいますが、利尿や胃刺激で悪化することも。試すなら少量で。
休む:暗い部屋+冷やす or 温める
ズキズキで血管拡張っぽい時は
・こめかみを冷やす
・静かな場所で休む
緊張型っぽいガチガチ頭痛なら
・首肩を温める
も合うことがあります。
東洋医学(中医学・漢方)的な見立て
中医学では二日酔いはざっくり
・湿熱(しつねつ):酒・脂っこい食事で体内に「熱」と「湿」がこもる
・肝(かん)の疏泄失調:気の巡りが乱れ、頭部(清陽)が上がらず痛む
・痰湿(たんしつ):胃のムカつき・頭重感
みたいに捉えます。
症状別のセルフケア(東洋医学寄り)
・顔が熱い、口が苦い、胸やけ、尿が濃い:熱が強め(湿熱)
→ 麦茶、緑茶を薄めて少量、きゅうり・大根おろし、しじみ汁(食べられる範囲で)
・頭が重い、むくむ、だるい、胃がちゃぽちゃぽ:湿が強め(痰湿)
→ 温かいスープ、生姜少量、ネギ、軽いおかゆ
・イライラ、こめかみズキズキ、目が充血:肝の上逆っぽい
→ 暗いところで休む、深呼吸、首の緊張をゆるめる
ツボ(押し方は「痛気持ちいい」程度で)
・内関(ないかん):吐き気・胸のムカムカに
・合谷(ごうこく):頭痛全般に使われやすい
・足三里(あしさんり):胃腸の立て直しに
※妊娠中は刺激を避けたいツボもあるので該当する場合は控えめに。
漢方の考え方(一般論)
二日酔い系で相談されやすいのは
・胃のムカつき・げっぷ:半夏瀉心湯系
・吐き気が強い:小半夏加茯苓湯系
・だるさ・むくみ:五苓散系(「水」の偏り)
など。ただし体質・症状で選び方が変わるので、店頭で症状を具体的に伝えるのがコツです。
予防(次回の自分を助けるやつ)
・空腹で飲まない(たんぱく質+脂質少し+水)
・1杯ごとに水を挟む(飲酒量の自己ブレーキにもなる)
・寝る前に経口補水液 or スープ少量
・蒸留酒よりも、糖や不純物が多いお酒で悪化する人もいるので「自分の地雷」を把握
二日酔いの頭痛、なんであんなにズキズキするの?
