70代の女性が急に腰が痛くなったと身体をくの字にして来られました。
この方は過去に通院歴のある方だったのですが、ここ2年程来てませんでした。
酷い痛がりようで、歩くだけでも「ハァ、ハァ…」と呼吸を乱し、両手でガッチリと太ももを掴んで歩く姿は見ているだけでも辛くなってしまいます。
「3日前から急に左腰が痛くなって何も出来なくなっちゃいました…」と震えるような涙声で仰います。
とても痩せている方なので、一日も早く痛みを取ってあげないと体力を消耗してしまいます。
深くお辞儀をしたような姿勢のままで少しでも体を起こそうとすると左腰に激痛が走るようです。動作のテストをする余裕はないので痛む左を上にして横寝して頂きます。
股関節周囲を探ってみると屈曲方向へ強烈に固まっていて、腰というより股関節を伸ばす事が出来なくなっています。
歩く事をしなくなり、家で座ってばかりの生活をしていたのかもしれません。
さて、そうと分かればもう安心です。
「Kさん、これすぐ良くなるからね。大丈夫ですよ。」
「あぁ、ありがとうございますぅ…お願いしますぅ…」と何かに怯えているような涙声でおっしゃいます。(なんだろ…この感じ)という違和感を少し感じましたが施術に入って行きます。
施術内容はとてもシンプル。左の股関節の固まっている部分と連動している筋肉の動きを付け、痛んでいない側の庇い疲れを取るだけです。これだけで腰の骨などは一切触れず痛みを取る事が出来ます。
施術後
「あぁ…立てます…ありがとうございます…」と泣き出してしまいました。
「お爺さんも体が悪いから私が入院なんて事にでもなったらどうしようかと不安で不安で…」と仰います。
「それは不安でしたね。でも大丈夫。まだ少しギクシャクするでしょうけど2~3回も手入れすればすっかり良くなりますよ。」
「ありがとうございますぅ…」また泣き出してしまいました。
初めに様子をお伺いした時に感じた違和感の正体がこれで納得出来ました。
3日後二度目の来院して頂きました。
女性が来院するなり深々とお辞儀をして「先生、本当にありがとうございました。」と涙声で仰います。
「腰はあれっきり何でもないです。なんか今朝になって肩が張ってるのを感じたくらいで、布団の上げ下ろしをしても腰は何ともありません。」
「それは良かったですね!」と言葉を交わし、その日の施術をして行きました。
お帰りの際も安堵の涙を流されていましたが、家の事を自分一人でやらなければいけない状況なのに腰痛で動けなくなったこの女性の不安はどれ程大きなものだったでしょう。
ともあれ、今回はすっかり元気になられて本当に良かったですね。
老々介護問題
2023年の厚生労働省の調査では日本の老老介護割合は全世帯の63%だそうです。2019年の調査では59%だったのが4年で4%上昇したことになります。
少子高齢化、核家族化、社会保障…これらの問題に歯止めが掛かる日が来る事を願ってやみません。