食べたくない時は食べてはいけない?
風邪をこじらせたり体調が悪い時、食欲がなくなる時があります。
「食べなきゃ元気が出ない。」と信じて無理してでも食べてしまう方もいるかと思いますが、ほとんどの場合逆効果になります。
この事は風邪や内臓の不調でもそうですが、腰が痛すぎて食欲が無いとか、頭が痛すぎて食べたくないといった時もほとんど同じです。
こんな時は「修復作業にエネルギーを使いたいから食事という作業を今は持ち込まないでくれ」という体のメッセージであることがほとんどです。
食事というのは消化管を働かせることになりますが、その際に大量の血液が胃腸などの消化器に送られます。
そうすると、ウィルスや癌などと戦っている兵隊も駆り出される事になり、風邪ならば悪化、或いは治りにくい状態になってしまうのです。
2016年ノーベル生理学医学賞を受賞した大隅良典博士の研究では体内で死んだ細胞や、バクテリアの死骸、細菌の死骸などのゴミを回収し、その中のタンパク質を再利用する事で新たな細胞に生まれ変わる事が分かりました。
現代人の一般的な食事では1日40~70gのたんぱく質量が必要だといわれていますが、実際に人体が新陳代謝等に使用しているタンパク質量は1日なんと200~300gだそうです。まるで足りていない筈なのに健康でいられるのも、このオートファジー機能があるからこそなんですね。
ここで重要なのが「この素晴らしいリサイクル機能を発動させるためには長時間空腹でいる事」が必須条件になります。教授によると「16時間食事をしない事」だそうです。
3度の食事を決まった時間に採らないと健康でいられないと唱える学者もいますが、体内時計を安定させるという意味では正しいかも知れませんが、食欲不振の時に食事を採ると多くの人が体調を崩す事からも時には一日に2食、或いは1食の生活をした方が健康に繋がると僕は考えます。
大隅博士は毎日動物性たんぱく質を大量に採っているとオートファジー機能を発動させる機会を失い、体の中がゴミだらけになり、癌、2型糖尿病、パーキンソン氏病、アレルギーなどを引き起こしやすくなると言っています。
また、オートファジー機能を活性化するには断食を定期的にすることが効果的だという事も分かっています。
「断食は無理」という方は、週に1日か2日動物性たんぱく質を採らない日を作るだけでも効果があるそうです。
体調の悪い時ほど肉や魚を食べたいと思わず、おかゆや野菜スープなどを口にしたくなるのも体の声を反映させているのかも知れません。
なんだか食べたくない…特別に体調が悪くなくても食欲が無い時があります。こんな時、試して頂きたいのは「おなかが空くまで食べない」という選択です。
是非参考にしてみて下さい。
お客様の事例 その1
ある痩せた女性が酷い腰痛になって来院した時に、あまりの痛みに食欲がなくなってしまったと言っていました。
それでも「これ以上痩せてしまうと体力が無くなってしまうのではと心配して無理やり食べていた」というのです。
腰痛は一向に良くならず胃の不快感が出てきた上に、便通も止まってしまい途方に暮れて当院に来ました。
僕が初めにお話ししたのは「まず食事を休んでください。ただし、水分が足りなくなってしまうので、温かいほうじ茶を少し多めに飲んでおいて下さい。」という事でした。
効果はすぐに現れ1日断食した翌朝から便通が始まり、胃の不快感もなくなって腰も少しずつ回復して来たと仰いました。
お客様の事例 その2
いつもメンテナンスに来ていただいているお客様のお話です。普段は腰の痛みをそれほど訴えない方なのに、今回は強烈なストレスで激しい腰痛が出たと仰っていました。調べてみると腸の動きが止まっているように感じて食欲があるか聞いてみると、「1日全く食べたくない日があった。」と仰います。
「試しに一度断食してみて下さい。辛かったら1日1食でも2食でも良いので。」と伝えると少しためらっていましたが「やってみます」と覚悟を決めて下さり実践する事になりました。
この方の場合、お仕事の都合上、どうしても昼食だけは食べなければならないらしく、1日1食に決めたそうです。
1週間後に再度来院して頂きお話を伺うと腰の痛みがどんどん回復して胃腸も調子良く、なんと花粉症の症状が劇的に改善したそうです。
飽食の時代に合った健康法
戦中戦後の物の無い時代なら、普段が食べられないのだから食べた分だけ元気になる人も多かったことでしょう。
しかし現在はいつでも手軽に食べたいだけ食べられる時代です。肥満や糖尿病もその時代と比べれば増加している事は間違いありません。
そして何より先進国で唯一、癌が増加の一途を辿っている国が日本だと考えれば、もはや1日3食健康法は崩壊しているように思えてなりません。
皆さんはどう感じたでしょうか。