メンタル不調から脱却する生活習慣の視点(2025年02月15日 09時00分) 手技のかみだいら

メンタル不調から脱却する生活習慣の視点
現代社会は、まるで終わりのないマラソンのように、私たちに絶え間ないストレスを与え続けます。心の疲労を感じ、やる気が湧かない時、私たちは内なる声に耳を傾け、「もっと強くならなければ」「ポジティブ思考を身につけなければ」と、心のあり方を必死にコントロールしようとします。しかし、心の不調は、私たちの内面だけに起因するものでしょうか?

実は、心の健康は、日々の生活習慣と深く結びついています。脳内の神経伝達物質、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン。これらの物質が私たちの気分、意欲、集中力を司っていることは、もはや常識と言えるでしょう。そして、これらの物質の原料は、私たちが口にする食べ物、体を動かすことで得られる刺激、そして質の高い睡眠によって供給されるのです。

食事は、心の健康を支える土台です。タンパク質は、セロトニンやドーパミンの材料となり、ビタミンB群は神経伝達物質の合成を助け、鉄分はセロトニンの働きをサポートします。オメガ3脂肪酸は、脳の神経細胞膜を構成し、情報伝達をスムーズにします。一方で、加工食品や精製された炭水化物、過剰なカフェインやアルコールは、心のバランスを崩す要因となり得ます。

運動は、心の活力源です。ウォーキングやジョギングはセロトニンの分泌を促し、目標達成型の運動はドーパミンを、持続的な運動はエンドルフィンを分泌させます。これらの物質は、幸福感、意欲、高揚感をもたらし、ストレスを軽減します。また、運動は血行を促進し、脳に酸素と栄養を届け、睡眠の質を高める効果も期待できます。

そして、睡眠は、心の充電時間です。質の高い睡眠は、脳と体を休息させ、心の状態をリセットします。毎日同じ時間に寝起きし、寝る前にリラックスする時間を作り、寝室を暗く静かな環境にすることで、睡眠の質を高めることができます。

心の不調を感じた時、私たちはつい自分の内面に目を向けがちです。しかし、心の状態は、身体の状態に表れると言われます。心の健康は、食事、運動、睡眠といった日々の生活習慣と密接に結びついているのです。「心のあり方をコントロールしよう」とするのではなく、まずは日々の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。バランスの取れた食事、適度な運動習慣、質の高い睡眠。これらの生活習慣を改善することで、脳内の神経伝達物質のバランスが整い、心の安定につながります。

心の不調は、私たちに立ち止まり、自分自身と向き合う機会を与えてくれます。心の声に耳を傾け、生活習慣を見直すことで、心身ともに健康な状態を取り戻し、より豊かな人生を送ることができるでしょう。