病院の理学療法士として働いていた時代によく受けた質問
「歩行中の腕の振り」についてお話しします。
「腕を振ることを意識した方が良いのか?」
結論から言うと、腕が自然に振れている方が健康的です。
ただし、意識して腕を振るのは少し違います。
腕が振れていることが良い理由は以下の通りです
・腕が自然に振れていると、体の中でねじれ運動が起きている証拠です。
・ねじれ運動が起きると、背骨周りのインナーマッスルが働いています。
・インナーマッスルは意識できない筋肉なので、意識は体よりも周囲に向きやすくなり、注意力が向上します。
・意識的な運動よりもストレスホルモンの分泌が少ないです。
・インナーマッスルが使われることで、脳が全身の膨大な情報を処理し、認知機能の向上が期待できます。
このように、腕の自然な振りは脳とホルモンに非常に良い影響を与えます。
リハビリテーション病院に勤務していた頃、骨折や脳梗塞の患者さんの歩行再獲得を目指してリハビリを行っていました。「良い歩行」の指標の一つに、腕の振りが含まれていました。腕が自然に振れていない場合、意識的に力を入れたアウターマッスルによる運動となっているからです。
本来、無意識で歩けていたのに、体に意識を向けて力の入れ方をコントロールすると、変な所
が痛くなったり、ストレスホルモンが出てイライラしやすくなったり、疲れやすくなったりします。
理学療法士によっては、「ここに力を入れて歩くんだよ」と運動指導をすることがありますが、私はそれをナンセンスだと感じています。なぜなら、もともと使っていた無意識の神経と筋肉を使わないからです。患者さんには不思議に思われましたが、私はひたすら力を抜くことを追求してリハビリを提供していました。力が抜けるということは、意識的なアウターマッスルの活動がなくなるからです。
これは将来的に関節痛や持久力に大きく影響します。
全米ベストセラーの「癒す心、治す力」の著者、Dr.アンドリュー・ワイルに読者から「どんな運動をすれば健康によいですか?」という質問が寄せられました。彼の答えはシンプルで「複雑なことはいいからとにかく歩け!」というものでした。理由は有酸素運動が血流にも神経にも良いから。この神経の部分が上記の内容になります。
ではどうやって腕が無意識に振れるようになるのか。続きはまた後日。