ヒトの体は外界の環境や、内部の変化に対して常に生命維持に必要な生理的な機能を正常に保とうとする機構を備えています。
この仕組みを「ホメオスタシス」と呼びます。1)
簡単に言うと、身体の状態を一定に保つということです。漢字では恒常性です。人によっては生態恒常性とか恒常性維持とか様々な表現をします。
これは生理学の最初に習う内容なのですが、これがすべてにおいて大事だと私は思っています。
例えば体温が下がれば、身体は自然と震えて筋肉から熱を産生しようとして体温を上げます。
風邪をひくとウイルスを倒したり外に出すために熱や鼻水が出ますが、最終的に元の健康な状態に戻ります。
怪我して傷ができても多くの場合ふさがって元の状態に戻ります。
血圧や血糖値が高くなっても、身体の反応によりホルモンが分泌されて元の値に戻っていきます。
すべて身体が元の基準の状態に戻そうとする働き(フィードバック)です。
しかし、ここでキーワードになるのが”元の状態”です。
元の状態に戻ると記載しましたが、その元の状態が悪い状態だとしたら?
血圧が上がっても身体のあらゆる場所で血圧を下げようと働きます。
しかし、血圧が上がる状態がずっと続くと身体は誤認してしまって血圧が上がっている状態が元の状態だと勘違いすると私は考えています。
だから徐々に基本の血圧の値が上がってくると考えられます(もちろん老化による身体の機能の衰えもあります)。
身体の内側についてお話ししましたが、もちろん身体の外側についても同様のことが考えられます。
何故肩コリが慢性化するのか?何故すぐに肩コリのある状態に戻るのか?
それは遺伝で肩コリが生じやすい骨格や体型であること、肩コリになりやすい姿勢をよくしている・身体を動かしていないなどの生活習慣が一番の原因ですが、
その他の理由として「その肩コリの状態を放置しているから」が挙げられます。
察しが良い方は何が言いたいのかこの時点でわかるかもしれません。
つまり、肩がこっている状態が身体にとっての”元の状態”になってしまっていないかということです。
肩がこっている状態が”元の状態”になってしまっていると、時間をかけて筋肉をほぐしても肩コリのある状態へと身体が戻っていきます。
ほぐす、コルの永遠にいたちごっこをする羽目になります。
そのため、当店の整体ではコリをほぐすこともそうですが、骨格を調整してコリにくい身体をつくる、そしてコリが生じる姿勢や癖に対するアドバイスを取り入れています。
そうすることで身体がこっていない状態を”元の状態”へと導いていきます。
肩コリがない状態が”元の状態”になっていると多少コリが起こりやすいことがあっても、自分の身体が自然とこらない状態へともっていってくれます。
当店でなくても構いません、コリを放置せずコリがほぐれた状態を可能な限り、身体の”元の状態”にしましょう。
ホメオスタシスを軽視する方はたくさんいますが、基本だからこそ馬鹿にできない身体の機能です。
後日に薬は何故増量・追加になるのかについても記載します。
今回のホメオスタシスの考え方が元になっていますので、興味のある方はお読みください。
1)医科「生理学展望」 16版 p44