9月21日は世界アルツハイマーデー 〜本人だけでなく、家族にも深く関わる問題〜
毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」。1994年に国際アルツハイマー病協会(ADI)が制定した、アルツハイマー病や認知症についての理解を深め、社会全体で支え合うことを目的とした国際的な記念日です。
アルツハイマー病は、単に「物忘れが増える病気」ではありません。少しずつ記憶や判断力、日常生活を送る力が失われていくことで、本人の生活はもちろん、支える家族にも大きな影響を与える病気です。
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本人にとっての影響
初期の段階では「最近忘れっぽくなった」「予定をすぐに忘れる」などの症状から始まります。しかし進行すると、身近な人の顔や名前が分からなくなったり、日常生活の動作(料理・買い物・服の着替えなど)が難しくなったりします。
本人は「なぜできなくなったのか」分からず、不安や混乱を抱え、感情が不安定になることも少なくありません。
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家族にとっての影響
アルツハイマー病は「家族の病気」とも言われます。
なぜなら、本人を支える家族の生活が大きく変わるからです。
・毎日の介護や見守りで、時間や体力が奪われる
・感情の変化や言動に振り回され、精神的に疲れてしまう
・仕事や趣味を制限し、介護中心の生活になってしまう
さらに、介護の長期化によって経済的な負担が大きくなるケースも少なくありません。本人と同じくらい、家族もサポートを必要としているのです。
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社会全体で考えるべきテーマ
日本は世界でもトップクラスの高齢化社会。今後、認知症の人の数はさらに増えると予測されています。つまり、アルツハイマー病は「特別な誰かの問題」ではなく、誰にでも関わってくる身近なテーマなのです。
大切なのは、本人を「病気の人」としてではなく「一人の人」として尊重すること。そして家族や介護者の心身のケアを、社会全体でどう支えていけるかを考えることです。
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世界アルツハイマーデーにできること
・アルツハイマー病や認知症について知る
・偏見や誤解をなくし、理解を深める
・家族や介護者の声に耳を傾け、支える輪を広げる
たとえば、地域の講演会やイベントに参加するのも一つの方法です。また、身近に認知症の方や介護する家族がいれば、ほんの一言の声かけが大きな支えになるかもしれません。
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まとめ
9月21日の世界アルツハイマーデーは、「病気を正しく知る日」であると同時に、「家族や社会で支えることの大切さを考える日」でもあります。
アルツハイマー病は本人だけの問題ではありません。家族の生活、地域社会の在り方、私たち一人ひとりの意識にも深く関わるテーマです。
この日をきっかけに、「もし自分や大切な人が認知症になったら?」と想像してみること。それが未来への備えにつながります。