私が離婚を決めたのは、自分の中で「許せない一線」を越えられたと感じた出来事がきっかけでした。
それはお金や浮気といった分かりやすい問題ではなく、もっと心の奥の、静かな領域の話です。
誰にも踏み込まれたくない、自分の「心のテリトリー」がありますよね。
その一線を越えられたと感じた瞬間、心の奥で何かが「プツン」と音を立てて何かが切れました。
その瞬間は、怒りや悲しみというよりも、不思議と静かで冷静でした。
「ああ、もう戻れないな」
そう自分の心がはっきりと教えてくれたのでした。
★泣きながら考え続けた日々
とはいえ、決断したからといって、すぐに前を向けたわけではありません。
そのあとには、たくさんの葛藤が押し寄せてきました。
子どもたちのこと、経済的なこと、自分のこと、そして相手のこと…。
一つひとつ考えるたびに心が揺れて、何度も何度も迷いました。
「これで本当にいいのかな」
「子どもたちを傷つけてしまうのではないか」
「他にもっといい方法はなかったのかな」
そんな思いが次々と浮かんでは消え、心の中はいつも嵐のようでした。
仕事をしながら涙が止まらなくなったり、車の運転中にふと涙があふれたり…。
泣きながら働き、泣きながら運転する日々が続きました。
考えても考えても、「これだ」という答えは出てこなかった。
相手の気持ちも考えたし、自分なりに最善を探し続けました。
それでも、どこにも納得のいく道は見つかりませんでした。
★自分との約束
そんな中で、ふと心に浮かんだのが、今年の初めに自分と交わした小さな約束。
それは――
「自分の人生を生きる」
この一言でした。
この約束を軸に、もう一度深く自分の心と向き合いました。
正直、怖かったです。
自分を責める気持ち、罪悪感、未来への不安…。
自分でも気が付かないうちにストレスになり1ヶ月で6キロも体重が落ちました。
それでも、自分の人生を誰かのために我慢して生き続けることは、もうやめよう。
子どもたちにも、「自分の人生をちゃんと生きていい」という背中を見せたい。
そう思うことで、少しずつ心が定まり、未来の輪郭が見えてきました。
★人生の「伏線回収」
不思議なことに、離婚を決断してからの時間は、過去の自分と向き合う時間でもありました。
まるで、長い間心の中に張り巡らされていた伏線を、ひとつずつ丁寧に回収していくような感覚だったんです。
私の父は、借金を抱えたことがきっかけで家族がバラバラになりました。
幼い頃の私は、その出来事をうまく消化できず、心の奥にずっとしまい込んでいました。
さらに、親友が自ら命を絶ってしまうという大きな悲しみも経験しました。
何年経っても癒えないその出来事を、私はずっと「心の奥の引き出し」に閉じ込めたままでした。
でも今回、離婚という大きな選択と真剣に向き合う中で、私は初めてその引き出しをそっと開けることができました。
悲しみや怒り、後悔といった感情に真正面から向き合いながらも、少しずつ心の中に「感謝」の気持ちが芽生えてきたのです。
★過去への感謝
ここまで来ることができたのは、間違いなく私のこれまでの体験があったから。
あの時の出来事が、私を強くし、優しくし、今の私を形づくってくれたのだと気づきました。
亡き父親、そして親友へ。
心から、こう伝えたいです。
出会ってくれてありがとう。
私を支えてくれてありがとう。
まさか、こんな形で「人生の伏線回収」が訪れるとは思ってもいませんでした。
悲しみも痛みも、全部が無駄じゃなかった。
★おわりに
離婚という決断は、簡単なものではありません。
たくさん泣いて、悩んで、迷って…やっとの思いでここまで来ました。
でも今は、自分の足でしっかりと立ち、自分の人生を歩き始めています。
過去に感謝できるようになったこと。
自分の人生を、自分で選ぶ勇気を持てたこと。
それは、私にとって何よりも大きなギフトでした。
これから先も、きっといろんなことがあると思います。
でも、もう自分を見失うことなく、しっかりと「私の人生」を生きていきたいと思っています
