「大量に汗をかいてもカラダは絞れない」「お風呂に入ると肌は乾燥する」…。ショッキングな言葉が石川さんの口から次々と。でもご安心を! 「やせやすいカラダ」や「もっちり肌」を作るための入浴法をしっかりご紹介します♪
編集部
ズバリ、お聞きします。入浴でダイエットはできますか?
石川さん
んー、残念ながらお風呂に入っただけではやせません。入浴時の運動量は、普段安静にしているときとほぼ変わらないんです。ただし、入浴で「やせやすいカラダをつくる」ことはできます。
編集部
と、いうのは…。
石川さん
ちょっと専門的な話になりますが、脂肪や糖を分解してエネルギーを作るときに使われるのが「酸素」、その酸素を運ぶのが「血液」です。そして血液の温度が高いほど酸素は分解に使われやすいという特性をもっています。「基本の入浴」をすると体温は1.5℃から2℃ほど上がり、それに伴って血液も温まります。その結果エネルギーを作りやすいからだになってきます。また骨と筋肉をつないでいる腱は主にコラーゲンでできているため、熱が加わることで伸縮しやすくなり身体も動きやすくなります。つまり、入浴習慣によって、代謝のよいやせやすいカラダを作ることができるということなのです。
編集部
面白いですね。ちなみにお風呂で汗をかくと、何となくカラダが絞られたような気になりますが、やはりそれだけではダイエットにならないんですね。
石川さん
はい、汗をかいた分ほんの少しは体重が落ちるかもしれませんが、お風呂上りに水を飲めばすぐに戻ってしまいます。半身浴がダイエットにいいといわれたのも、おそらく長時間の入浴で大量の汗をかくからで、「わー、汗がいっぱい出てる!」なんていっても、実際には全身浴の方が汗はかいていますから。
編集部
その半身浴ブームはだいぶ落ち着いてきたようですが、最近は岩盤浴やゲルマニウム温浴などが注目されています。
石川さん
形態はどうであれ、カラダを温めること自体が血液循環をよくして新陳代謝を高めますから、どちらも健康への一定の効果は得られると思いますよ。ただし通常の入浴を含めて、コップ1杯程度の水かお茶を入浴前後に飲むようにしてください。入浴中には大人で500CCほどの汗をかいています。体内の水分が少なくなるといわゆる“血液ドロドロ”の状態となり、血栓などによって脳卒中を引き起こす危険が出てきます。
編集部
では、マッサージやリラクゼーションサロンに行った日の入浴で何か気をつけることはありますか。
石川さん
ごく普通に入浴していただければいいと思います。マッサージによって血の巡りがよくなってこりもとれているなら、仕上げとしてお風呂に浸かればよりリラックスできますし、入浴を習慣にすることで、肩もこりにくくなると思いますよ。
編集部
わかりました。続いて肌と入浴の関係について教えてください。よく、お風呂で汗をかいて毛穴の汚れが取れたなどといいますが、美肌になる入浴法ってあるんでしょうか。
石川さん
確かに入浴による洗浄効果はありますが、肌と入浴について、まず大前提としていえるのが、お風呂に入ると肌は乾燥するということです。「美肌の湯」などの温泉に入って、肌がぬるぬるしたことはありませんか。「わ~、なめらか!」と喜んでいる人がいますが、あれは自分の皮脂と温泉成分が混ざって溶け、石鹸のような状態(鹸化という状態)になっているもの。つまり、お湯に浸かると私たちの肌を保護している皮脂は溶け出してしまいます。だからお風呂上りには肌が乾燥するのが普通です。
編集部
そうなんですか。ちょっとショックではありますが…。
石川さん
さらに、お湯の温度が高いほど皮脂は流出しやすくなりますから、美肌を目指すなら熱いお風呂は絶対にダメ。37~38度のお湯に肩まで10分ほど浸かる。つまり、「ぬるめで短時間」という入浴法をとってください。
編集部
入浴によって血行が促進されれば、肌つやはよくなりますよね。ただし、肌表面の皮脂が流れ出すので、うるおいが逃げやすい状態になるということですね。
石川さん
はい、そうです。ですから、乾燥対策として、お風呂から出たら10分以内にスキンケアをしましょう。それともうひとつ、「美人は夜作られる」といわれるように、美肌づくりにおいて非常に大切なのが「睡眠」。そしてよい睡眠へとスムーズに導いてくれるのが入浴なんです。
編集部
確かに、お風呂から上がってぐっすりと眠った翌朝に、驚くほど肌がもっちりとしていることがあります。
石川さん
そうでしょう。もう少し詳しくいうと、肌を修復させる「成長ホルモン」がもっとも活発に分泌されるのは入眠後の3時間の深い眠り。この時間帯に深く眠っていることが肌づくりにおいて肝心で、タイミングよく深い眠りに入ることができれば、肌の状態は良くなってきます。美肌のためには、入浴と睡眠をセットで考えるといいですね。
(つづきます)
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