わたしは海外文学の文章に苦手意識があったのですが。
ここはけっこう翻訳者さんの個性が出るところなので人によるのかもしれません。
というのも一冊、教えてくれた友人に感想文を提出したほど気に入っている海外小説がありまして、それがアントニオ・タブッキの『インド夜想曲』です。
わたしは観ていませんが、この小説は映画化もされているみたいですね。
『インド夜想曲』はあまり起承転結のない小説です。
あらすじは一応、主人公が友人を探してインドを旅する話ということになるのですが、現実なのか夢なのかといったような、かなり内省的な内容で構成されているので、悪くいえばよく分からない小説、という感じになっています。
つまり、自分の内面を探っていくような話が好きな方にはおすすめということですね。
わたしがこの小説でとくに好きなところは、なんと言っても夜の描写。
基本的に夜の場面が多い小説で、インドという土地の雰囲気も相まって、雑多で妖しい濃密な気配が感じ取れる……そんなところが魅力です。
この雰囲気に浸りたくて、何度も読み返していると言っても過言ではないですね。
あまりメジャーな作品ではないので、気になった方はこの機会にどうぞ読んでみてください。