「私は何処が悪いんですか?」と施術後に尋ねられました。
腰が痛かったり身体が重かったりすると、半年に一度くらいの頻度で来院なさる若い母親。
今回も腰が重く辛くなり自力では回復しそうもなく更に悪化しそうだと思って来院なさいました。
術後にこういった質問はたまに受けるのですが、どう応えたら言ったらよいか…。
というのもクライアントさんの「自分の身体に対する捉え方」に沿って答えないと相当に異なった受け取り方になってしまうようなのです。異なってしまう・・というより「間違ってしまう」と言った方がよいかもしれません。
この方には、うっかり腎臓が緊張していたので・・と言いかけて、腎(系)周辺の緊張で身体の水分調整に無理が出ていたようですねと言いなおしました。腎臓と言ったワードを使うと「私は腎臓が悪い。」と言われた(判断された)と間違って解釈されてしまうよう思います。
整体師は身体に触れてその方の身体緊張を感じます。お腹の中についても、お腹に触れると様々な感触がありますから、元気な方のそれと不具合な方のそれとでは自ずと違いが有るものです。足がむくんでいたり、腰が重いと訴えたりしている場合は左の腎臓の周辺が強張ってたりすることが多いのです。
しかし、医学的に腎臓の生理学的な数値を調べているわけでもなければ、また腎臓の機能だけを調べたいと想っているわけでもありません。そもそも腎臓が悪いなどと思っているわけでもないのです。
☆身体は一つの繋がったユニットですから、足先を引っ張っても頭のてっぺんまで引っ張られるわけです。これは至極あたりまえのことですよね、ところが身体を部位の名前で理解しているだけだと頭と足は別のものという考えが入り込んで、足先のことが頭に直接影響するとは思わないのが普通になってしまっています。頭と足は一つの身体の端と端ですから、どちらを触ったとしても同じものを触っているのです。それは当たりまえの事なんです。片脚を怪我すると誰もがそれなりの歩き方をします。怪我した足をかばったり動かない部分を他の動きでやりくりしたりして移動するわけです。この時の頸の動きだけを見ていたら、とても普通の正常な頸とは思えないと思います。もしこの時に頸だけを見ていれば「頸は悪い」と云うとになります。間違っていませんね。脚を見ていれば脚が悪いことになりますし、脚も頸も見ていれば脚と頸が悪いと云うことになるかも知れませんが、よく観察すれば、腰の動きも手の動きも普通でないことが分かりますから、悪い処はもっともっとたくさんあると思います。身体を部位別に分けて、其々が別々の要素と考えるのであれば、パーツの繋がりが身体だと思っていくことになります。部位別に捉えるのは、これは便利で大切なことですが、人間の「考え」でして、これだけだと生命の実際を取り逃がします。
☆整体はパーツで何処が悪いとは考えません、何処が…とは云えないのではないかとも思います。悪いと言い出したらみんな悪いのです。私は悪いとは見ないで、不具合になったところを全体で補い合ってなんとか対応していると思っています。一般に整体施術でも不具合になった元の処が見つかれば、其処にアプローチすることが重要な調整箇所になりますが、そこが不調の原因のようでも、その箇所もまた何かの不具合を補っているうちにそうなったのかも知れませんから、特定の部位を悪者扱いにしないでくださいね。