眠れない人 武彦さんの場合 前篇(2019年08月07日 16時50分) 回復力の整体

大杉武彦さんは初老の紳士です。家族で小売業を18年間続けて2年前にリタイアしました。以来、身体に変調を来して様々な病院を受診しています。眩暈が続きMRI検査や脳の検査を受診したが異常は見つからない。突発性の不整脈とも診断されています。膝や腰など全身が不具合でやる気がでません。心療内科で催眠剤抗不安薬、抗鬱剤など複数の薬を処方されています。それでも眠ることが出来なくて来院されました
背中が曲がって捩じれや左右差も大きく、腹部は力無く、頚椎と頭蓋骨が詰って体液の流れを滞らせているようです。アキレス腱が硬く足首が自由に回りません。腰の骨は前にカーブしているのがノーマルですが、後ろへカーブして固まっています。…と記してくるととても異常感がありますが、話のしっかりした初老の紳士です。子供達を育て上げ、さらに孫の面倒もたくさん見てきた良き祖父でもあります。

とはいえ、このように苦労を重ねて歪んだ身体は何処から手を付けたら良いのだろうと迷いますね。ともかく眠りたい分けです。そのまま頭の調整を始めるのも良くないので、足首を観ます。アキレス腱か硬くなると足首の回り方も小さくなりますし、古い捻挫でもう痛くはなくても、そのままではやはり足首はきれいに回りません。歩く度に全身に影響する訳です。足首が硬いと首周りも固くなるもので特に踵が動かない人は後頭骨と首の間も動きが悪いようです。
大杉さんも足首にトラブルが観えます。が、足首だけを調整しても直ぐには直りません。足のトラブルは全身に影響を及ぼしますが、足首も又全身からの影響を受けているのです。先ずは膝から下を調整します。身体全体を少し緩めてから、足首の捻挫跡を調整します。すると足首の回りが良くなってきます。其れから頭蓋を調整します。
一気にたくさん調整してはいけないと思います、慎重にクライアントの身体の本来の動きに合わせていきます。すると大杉さんの脳脊髄液の動きがピタッと止まって頭の中がシーンと、静まりかえってしまいました。大杉さんは深い呼吸をしていてどうも寝入っているようです。