よく聞くフレーズとして「年をとって膝の軟骨がすり減って痛い」というものがありますが
これには多少誤解があります。
確かに長年使っていれば半月板と呼ばれる膝関節のクッションのような働きをする軟骨は摩耗してしまうのですが、これには神経がほとんど通っていないため、すり減ったとしても痛むことはありません。
実際に痛みを起こす大きな原因となっているのは、大腿部の筋力低下です。
特に内腿にある内側広筋という筋肉が弱くなってくると膝の支えが失われ、グラグラと不安定になります。
すると体の反応として、膝の安定性を高めるため関節面を広げようとする働き、関節の変形が起きますへ。これが変形性膝関節症と呼ばれるものです。
レントゲンや超音波で画像を撮ると、膝の関節面(特に内側)の部分で骨が出っ張るような変形(骨棘)を見ることができます。
この尖った部分が周囲の軟部組織に食い込み圧迫することで膝の痛みが起きます。
あるいは膝関節の中に水が溜まっているケースも多いです。
筋力による膝の支えが少なくなることで関節自体にかかる負担が増えてしまい、その状態が長く続くことで炎症を起こします。
体の防衛反応として炎症を抑えるために水が出てくるので、これが吸収しきれずに関節の中に溜まってしまうことで、周囲が圧迫され痛みが起きます。
特に膝を深く曲げた時に中がより窮屈になるため痛みが強くなりやすいですが、溜まる場所や程度によって変化します。
対処法としては、とにかく膝関節に負担をかけないよう安定させることが第一です。
そのために太腿、特に内側広筋を鍛えます。筋力が足りないうちはサポーターを頼ります。
ですが痛みが強い状態では運動は逆効果になるので注意しましょう。
急性期で炎症が起きている最中の場合は、まずは炎症を抑えるため冷却します。膝を保護するためサポーターも装着します。
炎症と痛みが落ち着いてきた段階から、水の吸収を早めるため温めて血行を促進します。水の量が多すぎる場合、水が古くなりゼリー状で吸収されにくい場合は、注射で抜くことも選択肢に入ります。
徐々に運動療法を開始し筋力を取り戻していきます。最初は動的なトレーニングは負担が大きいので、抵抗運動など静的なものから始めます。
このように関節自体に問題のある症状の場合は、マッサージとは別の治療アプローチになります。
次回はマッサージの話