大学時代、遊びとアルバイトに忙しく、ふと気付くと四年生になり、卒業見込みをもらえないという状況に陥ってしまいました。
このピンチを乗り越えるため、一世一代のガリ勉をし、何とか単位を取って卒業。
そして無事、旅行代理店に就職できたのですが、思うところあって2年で退社したのです。
そして、6ヶ月間の失業保険をもらうことになった時、
"そうだ、ここで一念発起して身体を鍛え、長年のコンプレックスをなくそう"と決意しました。
家から歩いて3分のところに、小さなジムがありました。
およそ5.4m四方の9坪ぐらいの路面にある古びたトレーニング場でした。
10年前からあることは知っていたのですが、何しろ出入りする人たちがマッチョだらけで怖かったので、避けて通っていました。
その恐ろしげなジムに、大学生だった弟と二人、勇気を振り絞って足を踏み入れたのです。
まず入ると、一段高いところに、ゴッツイ白髪混じりの塾長が座っていました。
まず、頭を下げて挨拶をしたところ、「何をしに来たか」と問われ、緊張が走りました。
私は、「身体を鍛えにきました。」と塾長の目を見て答えました。
塾長に、「ここは本気の奴しか入れないんだけど、本気か?」と問われました。
弟と顔を見合わせ、2人でウッカリ「本気です!」と言ってしまったのです。
言った瞬間、3人のマッチョが呼ばれ、「今日から面倒見てやれ」と、塾長はほぼ命令調に告げました。
そして塾長に、その日から水曜日以外毎日必ずくるように言われ、弟と二人、真面目に通い始めました。
厳しい筋トレに耐え、自分で髪を洗うこともできない程の筋肉痛を抱えながら、頑張っていました。
2週間が過ぎようとした頃、朝から大雨が降っていました。筋肉痛もピークだったので、弟と今日は休んでしまおうと決めていました。
ビックウェンズデイのベータ版ビデオを見ながらまったりとしてたところに、ピンポーンと呼び鈴が鳴りました。
誰だろうとスコープを覗いたらジムの2人が立っているのです。
「今日、来ないのですか、塾長が呼んでますよ」と2人。
「いや、今から行こうと思っていました」ととっさに答えた私たち。
その時、自分達がとんでもない所に足を踏み入れてしまったと悟ったのです。