白澤卓二(国際予防医学協会理事長)ブログより引用
夜勤シフトがある看護師に2型糖尿病の発症率が高いことが知られています。
その理由が生活習慣のためなのか、夜勤シフトそのものが原因となっているのか、正確には理解されていませんでした。
そんななか、中国・華中科技大学の研究チームが、夜勤シフトは独立した糖尿病の危険因子であり、夜勤シフトと不健康な生活習慣が重なると糖尿病の発症リスクが相乗的に上昇することを明らかにして話題を呼んでいます。
研究チームは、米国で行われた健康に関する研究に参加した看護師約14万人を対象に生活習慣、夜勤シフトの頻度と糖尿病の発症率との関連性を22~24年間追跡調査しました。
生活習慣は肥満、喫煙、運動不足、食生活のなか4つの要因を聞き取り調査し、月に3夜以上の夜勤勤務をシフト勤務者と定義。
その結果、5年間のシフト勤務での糖尿病の発症率は、夜勤シフトのある看護師は夜勤がない看護師に比べ1.31倍に上昇、不健康な生活習慣がある看護師は1要因増えるごとに2.83倍に上昇と、夜勤シフトと不健康な生活習慣の間に相乗効果があることが分かったのです。
さらに夜勤シフトがあり、不健康な生活習慣のある看護師の糖尿病の発症リスクにおける寄与率を計算すると、夜勤シフト17.1%、不健康な生活習慣71.2%、相乗効果11.3%でした。
夜勤シフトが不健康な生活習慣と同様に腸内細菌叢に影響を与えることにより、肥満や糖尿病の発症に相乗的な効果を果たしている可能性を、研究チームのシャン博士は考察。
夜勤がある人が糖尿病の発症を予防するためには、生活習慣の見直しがより重要な課題になるということです。