白澤卓二(国際予防医学協会理事長)メルマガより引用
これまでの研究から、適度な運動が脳の海馬の容量を増やし、高齢者の認知機能の維持に重要な役割を果たすことが報告されています。
しかし、そのメカニズムについて詳細には理解されていませんでした。
最近、運動により分泌が増加する「イリシン」というホルモンが記憶力を高める作用があると報告されて話題を呼んでいます。
ブラジルのリオデジャネイロ連邦大学のフェルナンダ・デフェリーチェ博士らの研究チームは、運動時に筋肉細胞から分泌されるイリシンというホルモンが脳の記憶に重要な役割を果たす海馬の神経細胞に作用する点に注目。
イリシンは筋肉細胞のみならず海馬でも分泌されていますが、研究チームがアルツハイマー病患者の脳で測定したところ、その発現量が減少していることがわかりました。
さらにアルツハイマー病を発症したモデルマウスでもイリシンの発現量が減少していることを確認。
研究チームがマウスに遺伝子操作をして海馬でイリシンが発現できないようにすると、マウスの認知機能は低下しました。
いっぽう、アルツハイマー病を発症したモデルマウスにイリシンを強制発現させると認知機能は改善。
アルツハイマー病を発症したモデルマウスを運動させると認知機能は改善しましたが、遺伝子操作によりイリシンの発現を抑制すると運動による改善効果は見られなくなりました。
デフェリーチェ博士は運動による認知機能改善効果はイリシンによる作用と考察しています。
これまでも、定期的な運動をしている高齢者は認知機能が予防されているとの報告がありますが、もし、イリシンを増やすことで認知症が予防できるなら、新たな認知症の予防・治療戦略が開発できるかもしれません。
いずれにしても定期的な運動を心掛けて認知機能を予防したいものです。
運動出来ていない方は、定期的に運動が出来、効率よくトレーニング出来るKPトレーニングをおススメします。