側弯症の改善や悪化予防のために運動療法を取り入れる方が増えています。
特に、ドイツ発祥の シュロス法(Schroth Method) は、側弯症に特化した運動療法として世界的に認められています。
しかし、すべての運動が側弯症にとって良いわけではありません。
間違った運動は、かえって背骨の歪みを悪化させてしまう可能性もある のです。
そこで今回は、 シュロス法の考え方に基づき、「やってはいけない運動」 を解説します。
1. シュロス法とは?
シュロス法は、側弯症のカーブを補正するための特別な運動療法 です。
主に以下の3つの要素を取り入れています。
✅ 非対称な姿勢の修正:背骨のカーブに合わせた補正動作
✅ 三次元的な呼吸法(回旋呼吸):歪みを整える呼吸トレーニング
✅ 筋肉の再教育:正しい姿勢を保つための筋肉強化
つまり、シュロス法では 側弯症のカーブに合わせた適切な運動を行い、歪みを悪化させる動きを避けること が重要なのです。
2. 側弯症でやってはいけない運動
① 背骨をねじる運動(ツイスト系のストレッチ・エクササイズ)
側弯症では、すでに背骨が左右にねじれています。さらに ツイスト動作を加えると、ねじれが悪化する可能性がある ため、避けた方がよいでしょう。
❌ 避けるべき運動例
ロシアンツイスト(腹筋を鍛えるために上半身を左右にひねる運動)
ゴルフのスイングやテニスの強い回旋動作
ねじりながらのストレッチ(座った状態で体をひねるポーズなど)
✔ シュロス法では?
シュロス法では、 ねじれを修正する方向への運動を行う ため、無理にツイスト動作をする必要はありません。
② 片側だけに負荷をかける運動(非対称な負荷がかかる動作)
側弯症の人は、左右の筋肉のバランスが崩れているため、 一方にだけ負荷がかかる動作は背骨の歪みを助長する ことがあります。
❌ 避けるべき運動例
片手での荷重トレーニング(片手だけでダンベルを持ち上げるなど)
片足立ちのスクワットやバランス運動
一方向への側屈運動(横に体を倒すストレッチなど)
✔ シュロス法では?
シュロス法では、 左右のバランスを整えるための特別なエクササイズ を行います。偏った動作ではなく、適切な筋肉の働きを意識することが重要です。
③ 背中を丸める運動(猫背姿勢を助長する動作)
側弯症の方は 胸椎(背中の部分)が丸まりやすい 傾向にあります。そのため、背中をさらに丸める運動は 姿勢の崩れを悪化させる可能性 があります。
❌ 避けるべき運動例
クランチやシットアップ(一般的な腹筋運動)
長時間の前屈姿勢(前屈ストレッチなど)
デスクワーク中の前かがみの姿勢
✔ シュロス法では?
シュロス法では、 正しい脊柱のアライメント(並び)を保つ運動 を重視します。背中を丸めるのではなく、適切な姿勢を維持することが大切です。
④ 高強度の衝撃が加わる運動(背骨に負担がかかるスポーツ)
激しいジャンプや高負荷の運動は、 脊柱に強い圧力をかけるため、側弯症の悪化を招く可能性があります。
❌ 避けるべき運動例
バーベルスクワットやデッドリフト(高重量の筋トレ)
バスケットボールやバレーボール(ジャンプの繰り返し)
長距離ランニング(衝撃が蓄積される)
✔ シュロス法では?
シュロス法では、 衝撃を最小限に抑えながら、適切な筋肉を鍛えるエクササイズ を行います。強い負荷をかけるよりも、 コントロールした動きで筋肉を鍛えることが大切 です。
3. 側弯症の方が安全にできる運動
では、側弯症の方が安心して取り組める運動は何でしょうか?
✅ シュロス法のエクササイズ(専門指導のもとで行う)
✅ 軽い体幹トレーニング(バランスボールを使ったエクササイズなど)
✅ ウォーキングや水中運動(衝撃が少なく、血流促進に効果的)
✅ 適度なストレッチ(正しい姿勢を意識したもの)
無理なく続けられる運動を取り入れ、 側弯症の進行を予防しながら健康的な体を目指しましょう!
4. まとめ
側弯症の運動療法では、 「やっていい運動」と「やってはいけない運動」を正しく理解することが重要 です。
❌ 避けるべき運動
背骨をねじるツイスト運動
片側だけに負荷がかかる運動
背中を丸める動作
強い衝撃が加わるスポーツ
✔ 取り入れるべき運動
シュロス法のエクササイズ
軽めの体幹トレーニング
衝撃の少ないウォーキングや水中運動
「どんな運動をしたらいいのかわからない…」という方は、 専門家の指導を受けることをおすすめします。