2019年12月11日 更新
その腰痛の正体は?痛む場所や動作から読み解く腰痛タイプ
ひと口に腰痛といっても、そのタイプはさまざま。今回は、痛む「場所」と、痛む「動作」、それぞれの原因や対処法を解説します。
腰痛の場所、位置ごとの対処法
骨盤まわりが痛むなら長時間の同じ姿勢に注意
骨盤まわりの痛みは、妊婦さんに多く見られます。妊娠するとスムーズな出産のために骨盤の可動域を広げる作用が働き、骨盤まわりの筋肉や靭帯が徐々に緩んでいきます。これによって骨盤への負担が大きくなり、こりや痛みが生じやすくなるといわれています。
さらに、胎児が成長すると体の重心がずれ、バランスをとろうとして骨盤を後傾させるなどして姿勢を崩すため、骨盤が歪んで腰痛が発生するとも考えられているのです。骨盤痛を防ぐ方法としては、姿勢を正しくする、同じ姿勢を長く続けないといったことが推奨されています。
尾骨が痛む場合には腰を起こして座る
尾骨の痛みは、尻もちをつくなど外部からの衝撃によるものがまず考えられます。しかし原因が定かではないのに慢性的に痛む場合は、座り方に問題があるかもしれません。いわゆる体育座りのような格好をすると、尾骨に負担がかかります。また、イスに座る場合も、座面の前側に座り腰を丸めるような姿勢を取り続けると、尾骨にストレスを与えて痛みにつながると考えられています。この場合、対策としては腰を起こした正しい座り方をする、同じ姿勢で座り続けないということになるでしょう。
腰から足にかけて痛むなら、プロに相談
腰から足にかけて痛むものとして、坐骨神経痛があります。坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫されることで起こる痛みやしびれのこと。必要に応じて治療を受けた上で、回復期には腰や股関節のストレッチを行い、硬い筋肉を柔らかくすることが効果的だといわれています。硬くなった筋肉をほぐすには、マッサージ・リラクゼーションサロンなどを活用する方法もあるでしょう。
腰痛の症状が出る動作ごとの対処法
反ると痛い場合にはまず安静
体を後ろに反ると痛い腰痛は、後屈型の腰痛と呼ばれています。高齢者によく見られる腰痛ですが、動きの激しいスポーツをする若い人にも起こることがあるようです。いずれの場合も、基本的には安静にすることが望ましいとされています。
前かがみになると痛いなら長時間同じ姿勢でいない
前かがみになると痛い腰痛は、前屈型の腰痛と呼ばれます。長時間、同じ姿勢で座っている事務職やドライバー、重い荷物を持つ運送業などの職業についている人に起こりやすいといわれる腰痛です。痛みの軽減や予防のためには、長い時間同じ姿勢を続けないこと、姿勢を正すことなどが挙げられます。
ひねると痛くなる場合は日頃からの予防が重要
腰をひねった時に痛みが増す腰痛は、回旋型の腰痛と呼ばれます。回旋型の腰痛は、筋力の低下、筋肉の柔軟性低下、体の左右バランスの崩れなどが原因として考えられ、野球やテニスなど回旋運動の多いスポーツで発生しやすいといわれています。日頃からストレッチやマッサージなどで筋肉を柔軟にしておくなど、体のメンテナンスをすることが予防につながるでしょう。
まとめ
たいていの人が一生に一度は経験するといわれる腰痛。今回は「痛む場所」と「痛む動作」にスポットを当て、さまざまな腰痛のタイプをご紹介しました。原因の特定が難しいといわれる腰痛ですが、その多くは生活習慣から来ているといいます。普段からバランスのよい体の使い方や正しい姿勢を心がけ、適度な運動やマッサージなどによるボディメンテナンスも上手に取り入れたいものです。なお、腰の痛みが続く場合は、すみやかに医療機関で受診するようにしましょう。
◆監修◆
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。 ホームページ