2019年12月11日 更新
腰痛と胃痛の意外な関係について
腰痛と胃痛は多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、この2つが密接な関係にあることは案外知られていません。今回は、腰痛と胃痛の意外な関係に迫ってみたいと思います。
腰痛と胃痛は関係ないと思っていませんか?
腰痛の原因は腰に、そして胃痛の原因は胃にあると考えるのはごく普通のことです。だからこそ、人は腰が痛ければ湿布を貼ったりマッサージを受けたりし、胃が痛ければ胃薬を飲んだりするわけです。
しかし、腰痛と胃痛は全く無関係だというわけではありません。実は腰痛が原因で胃が痛くなったり、胃痛によって腰痛が引き起こされたりする場合があるのです。
それに気づかずに痛い場所だけをケアしていても、スムーズな改善は期待できません。腰が痛い、胃が痛いという場合は、根源的な原因を見極める必要があるのです。
腰痛が原因となる胃痛とは?
まず、腰痛から始まり、それが原因で胃が痛くなるケースですが、その多くはストレスによるものだといわれます。その原理を説明しましょう。
体の中でも胃腸はかなりストレスに弱い部位。極度の緊張状態になるとお腹が痛くなる場合がありますが、それもストレスによるものです。同じように、「腰の痛み」というストレスにさらされ続けると胃にも影響を与え、吐き気や痛みを感じることがあるというわけです。
その場合、いくら薬を飲んでも根本的な解決にはなりません。対策としては、とにかく腰の痛みを和らげ、ストレスのもとを断つことが肝心です。ストレスが改善されれば、胃も次第に元気を取り戻していくでしょう。
胃痛によって引き起こる腰痛とは?
腰痛が原因で胃痛が起きるのと逆のパターンで、胃痛が引き金となる腰痛が存在するようです。胃痛が起こると内臓を支えている筋肉も硬くなり、その負担が内臓に近い腰にかかってくるのです。その結果、腰の筋肉が圧迫されて血流が悪くなり、腰痛を招いてしまうというわけです。
例えば、食べ過ぎや飲みすぎなどで胃もたれを起こし、内臓の疲れが腰痛になって現れるというケースは決して珍しくありません。内臓の疲れを防ぐには暴飲暴食をしない、冷たいものやアルコールを飲みすぎない、ストレスをためない、睡眠を充分にとるといったことが大切になってきます。
同時に痛みが起きた時は…
腰痛と胃痛が同時に起きた場合は、消化器系や泌尿器系のトラブルの可能性もあるようです。また、腰痛の際に服用する鎮痛剤で胃を悪くすることがあります。出血をともなう胃潰瘍を発症することもあるので、注意が必要です。
痛みの原因を自分で正確に突き止めるのは、簡単なことではありません。腰や胃の異変が気になるときは、医師の診断を仰ぎましょう。
まとめ
腰痛や胃痛を感じた場合、必ずしもそこだけに痛みの原因があるとは限りません。単なる腰痛だと思って放置していたら、実は内臓に不調が起きていたというケースもあるといいます。とくに腰痛と胃痛が同時に起きたときは、自己判断をせずに、医療機関で診てもらった方が良いでしょう。
◆監修◆
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。 ホームページ