2019年12月11日 更新
骨盤の歪みが不調の原因!?知っておきたいNG習慣と改善ストレッチ
肩こり、腰・膝の痛み、猫背、生理痛……。これらの悩みは、骨盤の歪みが原因で起きているかもしれません。今回は骨盤の歪みに着目! 健康的な体を取り戻すための方法をお伝えします。
まずは「改善のエクササイズ」。さらにそもそもの「骨盤について」「骨盤の歪みによる不調」も合わせてご紹介しますので、体の不調で悩んでいる方はぜひ読んでください。
本コラムで、歪みのない健康な生活を過ごせるようになればうれしいです。
そもそも骨盤ってどんなもの
骨盤とはひとつの骨を指しているわけではありません。尾骨、仙骨と2つの寛骨という、計4つの骨が組み合わさったものを「骨盤」と呼びます。
この4つの骨は周囲にある筋肉とじん帯で支えられており、「上半身と下半身をつなぐ」「腸、子宮、精巣、膀胱といった臓器を守る」「姿勢を保つ」といった重要な役割を果たしています。
なぜ骨盤は歪んでしまうのか?
筋肉やじん帯で支えられているはずの骨盤が、なぜ歪んでしまうのでしょうか?
骨盤を支える筋肉には、大腰筋、腸腰筋、骨盤底筋群などがあります。これらの筋肉は長時間同じ姿勢で過ごしたり、偏った動作をしていたりすると、その位置で固まりやすくなってしまいます。
そして、固まった筋肉に引っぱられて骨盤の歪みが生じることに。特に子宮や直腸、膀胱を支えている骨盤底筋群は、偏った動作によって緩むことが多いとされています。
また、運動不足が続くと骨盤を支える筋肉の力が低下し、骨盤を支えきれず歪みにつながることも少なくありません。
骨盤の歪みは体の不調につながる!?
骨盤の歪みは体にさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。骨盤が歪むことによって起こりやすいとされる体の不調を見ていきましょう。
1.肩こり、腰・膝の痛み
骨盤が歪んで体のバランスが崩れると、それを補おうとして特定の箇所に負荷がかかり、筋肉のこりや痛みが生じやすくなります。腰痛や肩こりの他、骨盤が歪むことで左右の脚の長さに差異が生じると、片方の脚に負荷がかかって膝の痛みの原因に。また、肩こりの悪化によって頭痛が引き起こされるなど、骨盤の歪みとはあまり関係のないような症状が引き起こされることも少なくありません。
2.姿勢の悪化、猫背
加齢や運動不足などで腸腰筋(ちょうようきん)という骨盤周りにある筋肉が衰えると、骨盤は後ろへ傾いていきます。骨盤が後ろへ傾くと猫背になりやすく、姿勢の悪化につながります。
猫背は見た目の問題だけでなく、血行不良を引き起こして肩こりや片頭痛などの原因にもなるといいます。
3.生理痛
骨盤の歪みは、生理痛悪化の要因になる可能性があります。
理由としては、骨盤が歪むことで骨盤内にある子宮の血行が悪くなることが挙げられます。子宮は筋肉でできており、収縮を繰り返すことで経血を排出します。子宮への血行が悪くなると子宮が収縮しにくくなり、経血を排出するためにより強い収縮が生じるため生理痛がひどくなるのです。
あなたもやっている!?歪みを生むNG習慣とは
骨盤の歪みを生む要因は、日常の中に潜んでいます。普段の何気ない行為が骨盤を歪ませ、体の不調につながっているかもしれません。この機会に自分の習慣をチェックしてみましょう。
1.足を組んで座る
椅子に座る時、無意識に取ってしまいがちな“足を組む”というポーズ。骨盤や背骨の片側のみに負担がかかり、歪みの原因になります。また、血流を悪化させてむくみの原因にもなることも少なくありません。
2.椅子の背にもたれ、足を前へ投げ出す
疲れるとついやってしまう行為。骨盤が後ろに傾いた状態となります。長時間この姿勢を取ることで、骨盤の歪みを生むだけでなく腰痛にもつながってしまうとか。
3.片方の足に体重をかけて立つ
信号待ちをしている時や人と待ち合わせをしている時、片方の足に体重をかけて立っていませんか? これも習慣化すると、体の片方のみに負担がかかって骨盤が歪む原因となります。
4.ハイヒールを頻繁に履く
ハイヒールでの歩行は正しい体重移動がしにくいため、猫背や骨盤を歪ませる原因となります。また、サイズの合わない靴も不自然な歩き方を招き、骨盤の歪みの原因に。腰痛や肩こりにもつながるそうです。
5.内股歩き・ガニ股歩き
内股歩きは骨盤を横に広げ、ガニ股歩きは骨盤が後傾しやすくなるといわれます。歩き方のクセは、デカ尻やO脚など見た目にも影響を及ぼすことがあります。
骨盤の歪み改善におすすめのエクササイズ
骨盤の歪みを改善させるためのエクササイズをご紹介します。骨盤を正しい位置に戻す努力を行い、健康的な体を取り戻しましょう。
お尻歩き
1.両足を揃えて伸ばし、座ります。
2.胸の前で腕を交差させます。この時、背筋をしっかり伸ばしましょう。
3.お尻が浮かないように、脚を交互に前に出します。
4.前に6歩、後ろに6歩行き来しましょう。
前後で1セットとして、3セット行います。
腰をひねるストレッチ
1.仰向けになり、両膝を立てます。
2.両膝をつけて、右にゆっくりと倒していきます。この時、しっかりと息を吐きましょう。
3.そのまま10秒間静止。左側も同じように行いましょう。
顔と上半身は天井に向け、膝と一緒に倒れないようにします。
左右1セットとして、3セット行います。
バランスボールでお尻を振る
1.バランスボールに座ります。
2.両手を太ももの上において、ゆっくりとお尻を左に突き出していきます。
体の中心を意識しましょう。
3.右側も同じように行います。
左右1セットとして、5セット行いましょう。
まとめ
今回は骨盤の歪みが引き起こす体調不良から、歪み改善のためのエクササイズまでお伝えしました。
上半身と下半身をつなぐ骨盤は、体の要ともいわれる大切な場所。座り方や立ち方、歩き方といった普段の行動を見直した上で、適切なメンテナンスを行いましょう。
◆◆監修◆◆
内科医・公衆衛生医師
成田亜希子(なりた あきこ)先生
2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。二児の母でもある。