2019年12月11日 更新
お腹の張りの正体はガスだった!ガス溜まりの原因と対処法は?
お腹の張りはガス溜まり!
便秘になると、お腹が張ってしまいます。しかし便秘以外のときでも、下腹部がパンパンに張って苦しい経験をしたことがある人は多いはず。ときには、スカートやズボンのファスナーが上がらないほど張ってしまう人もいるようです。
お腹や下腹部が張ってしまう原因は、そのほとんどが「ガス溜まり」。正常な人でも、腸の中には食事とともに飲み込んだ空気や消化された食べ物から発生したガスが存在します。これらのガスは排出と産生のバランスを保っているため、げっぷやおならは出るものの、それ以上の困ったことはありません。しかしガスが異常に多く産生されたり、うまく排出することができなくなったりすると腸内にガスがたまり、お腹の張りを感じるようになるのです。ここでは、そんなお腹の張りの原因や症状、対処法について詳しく見ていきましょう。
そもそも「お腹が張る」とはどういうこと?
一般的に「お腹が張る」というときの「お腹」は下腹部を指し、医学用語では「腹部膨満感」と呼ばれています。これは、何らかの理由で腸管内にガスが過剰にたまった状態、また胃腸の動きが極端に悪い状態のこと。症状は、軽く張った感じのものからパンパンに張って苦しいものまで様々です。
お腹の張りの原因とは
・便秘や食物繊維の取りすぎ
飲食物は消化管の中で体に必要な栄養素を吸収され、消化されながら最終的には便となって体外へ排出されます。この際、消化された飲食物からは多くのガスが発生します。このため、便秘が続くと多くのガスが発生し、お腹が張りやすくなります。また、便秘に良いとされる食物繊維ですが、イモ類や豆類に多い不溶性食物繊維は過剰に摂取すると便のカサが増してお腹の張りを引き起こすことも少なくありません。
・呑気症、空気嚥下症
食事と一緒に空気を飲みこんだり、緊張などによって無意識のうちに大量の空気を飲みやすい病気です。腸内のガスの7割は体内で発生したガスではなく、飲み込んだガスであるため、当然飲み込む量が多いほどお腹は張りやすくなります。
・生理前
生理前には「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンが多く分泌されます。プロゲステロンは腸の動きを悪くする作用があるため、生理前は便秘になりやすくなったり、お腹が張りやすくなったりする人も多くいます。
・婦人科系疾患
子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮ガンなどの病気は、進行するとすぐ近くにある大腸を圧迫したり、大腸に広がって運動機能を低下させたりすることがあります。その結果、便秘やお腹の張りが起こりやすくなることも少なくありません。
・その他の病気
急性胃炎、肝臓や胆のうの病気、大腸がん、腸閉塞、過敏性腸症候群など深刻な病気が原因となってお腹が張ることがあります。
お腹の張りの種類と対処法
お腹の張りは大きく2つのタイプに分けられ、それぞれ対処法が異なります。
<お腹の張りのタイプ>
・腸内ガス過剰型
便秘や呑気症によって、腸内にガスが溜まるタイプです。甘いものや炭酸飲料、でんぷん質を控え、ゆっくりよく噛んで食べるように心がけましょう。
・腸内ガス排泄低下型
胃腸の働きが悪くなり、うまくガスが排出できなくなります。また、胃腸に病気がある場合も考えられますので、長く続く場合は医療機関を受診しましょう。
<タイプ別の対処法>
・腸内ガス過剰型
便秘を改善し、食物繊維の多いイモ類や炭酸飲料などのガスを発生しやすい食べ物を控えましょう。食事はゆっくりと噛み、時間をかけて味わうことで消化をよくし、便秘やガスの発生を抑えることが可能です。
また、ビフィズス菌が配合されている整腸剤や消泡剤を服用したり、ビフィズス菌が多く含まれている乳製品などを積極的に摂ったりすると、ビフィズス菌の働きでガスを発生させる悪玉菌の働きを抑えてくれます。
・腸内ガス排泄低下型
胃腸の動きを悪くする原因となるストレスを取り除き、腸の動きを促す適度な運動を取り入れることをお勧めします。
お腹が張りやすい人は日ごろから食生活に注意し、つらい症状がある場合は「単なるお腹の張り」と軽く考えず病院で薬を処方してもらいましょう。
◆◆監修◆◆
内科医・公衆衛生医師
成田亜希子(なりた あきこ)先生
2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。二児の母でもある。