腸内細菌のホームグラウンドは「大腸」。1・5mほどの長さがあります。
そこに、40兆個ともいわれる無数の腸内細菌が棲んでいます。サッカーや野球の選手の役割がポジションで変わるように、腸内細菌も棲む場所で性質が異なります。
大腸の入り口近くに多く潜むのは、乳酸菌。腸内細菌は酸素を嫌う嫌気性だが、乳酸菌は酸素が多少あっても平気なタイプ。なので、酸素がやや多い大腸の玄関先に棲んでいます。
乳酸菌の好物は、ゴボウなどの根菜に含まれるイヌリンなどである。
大腸の中ほどから奥には、有益な短鎖脂肪酸を作るバクテロイデス属などが多い。
エサとなる食物繊維は、穀物に多いg-グルカンやアラビノキシラン。
そして大腸のいちばん奥では、酸素をもっとも嫌うビフィズス菌や酪酸産生菌の比率が高く、短鎖脂肪酸を作る。
ビフィズス菌が好むのは、前述のレジスタントスターチ。発酵に時間を要するため、大腸の奥まで届き、ビフィズス菌の栄養源となる。
腸内細菌の潜伏場所と好むエサが異なるという事実を踏まえると、多彩な食物繊維を偏りなく摂った方が、腸内環境は整いやすくなります。