筋肉は足腰から弱る
「鍛えるなら、まずは足腰の筋肉から」と中村さんは言う。その理由を次のように説明する。
「人間は足腰の筋肉から弱っていきます。足腰の筋肉が弱ると、まず、外出が億劫になり、行動範囲も狭まります。
そして外に出ないとさらに筋肉が弱くなり、さらに動きたくなくなる…という悪循環に陥ります。また家の中だけで生活していると、脳への刺激がなくなり、精神的に落ち込んだり認知機能が落ちたりするようになるという悪影響もあります」
足腰から鍛えることはトレーニングの効率としても理に適っている。
「足腰の筋肉は、体全体の筋肉の3分の2を占める大きな筋肉。だからこそ、一度落ちてしまうと元に戻すのが大変。そこで、普段から鍛えておくことが大切です」
2種目で体の3分の2の筋肉を鍛える
では、どのようなトレーニングをすればいいのだろうか。
「シニアでも30%も筋力がアップするなんて、どんなにハードなんだろう…」と思った人は、拍子抜けするかもしれない。
基本の2種は、「椅子座り」と「かかと下ろし」。
「椅子座り」は、どの家庭にでもある椅子に、3秒間かけてゆっくりていねいに腰を下ろす。
「かかと下ろし」は、椅子の背もたれに手を添えて、3秒間かけてゆっくりていねいにかかとを下ろす。
たったこれだけ。この2種目を1日10回、1~2日おきに週3回以上行い、2カ月半(10週間)続けることを目標にしたい。
「椅子座り」では太ももの前の大腿四頭筋と太ももの後ろのハムストリングス、お尻の大殿筋が鍛えられる。「かかと下ろし」では、ふくらはぎの下腿三頭筋が鍛えられる。