自律神経について(1)
「自律神経が乱れている」という言葉をよく耳にすることがありますが、一体どういうことか。実際にはなかなか理解しにくいと感じている方が多いと思います。
名称はしられているのに、わかりづらいのが自律神経です。血圧や血糖値などとは異なり、健康診断で数値を測ることはありません。自分の自律神経が現在、どのような状態にあるのか知るは意外と難しいものです。一方で自律神経を整えることは、病気の予防や健康に確実につながります。自律神経は呼吸、血圧、体温調整、消化、免疫など、生命維持に不可欠な機能を司っているからです。
今回は、「自律神経の乱れ」ついて解説します。
【自律神経の乱れは、なぜ起こるのか】
では自律神経は、身体の中でどのような役割を果たしているのだろうか。そして「自律神経が乱れている」とは、一体どのような状態のことなのだろうか。
■自律神経は、交感神経と副交感神経のセット
私たちが物を掴んだり、声を発したりするとき、そこには自分の意思があります。脳の指令を手や声帯に伝えるのが「体制神経」で、これは自分でコントロールできる神経です。
これに対して、多種多様な生命維持をつかさどる「自律神経」は自分でコントロールできません。心臓を動かそうと考えなくても鼓動が続き、睡眠中に呼吸ができるのも自律神経のおかげです。
自律神経は、交感神経と副交感神経がセットになっており、この2つは対照的な特徴を持っています。活発な活動をするときに働くのが交感神経で、リラックスするときに働くのが副交感神経です。自動車にあてはめて、アクセルとブレーキの関係と考えるとわかりやすいでしょう。
自律神経が整った状態とは、交感神経と副交感神経が高いレベルで拮抗し、正しく働く状態。アクセルを踏めば軽快に加速し、ブレーキを踏めばしっかり止まる、安全で快適な自動車です。
ところが、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてどちらかが一方的に優位になると、自律神経が乱れて、本来の役割が果たせなくなります。交感神経が優位な状態が続けば、ブレーキが利きづらい車でアクセルを踏み続けるのと同じで、危険な状態です。一方、副交感神経が優位な状態が続くと、アクセルを踏んでも加速できません。ことらも問題です。もう1つ、交感神経と副交感神経のバランスはとれていても、働きがとても弱い、パワー不足の状態も好ましくありません。
(交感神経の特徴)
昼間や活動しているときに優位になる。ストレスや緊張によって、交感神経が活性することもある。
1、昼間に優位になる
2、身体を活動的にする
3、血圧が上がる
4、瞳孔が開く
(副交感神経の特徴)
夜間に身体を休ませるため、副交感神経が優位になる。身体がリラックスしたり、快眠が得られるのは、副交感神経によるもの。
1、夜間に優位になる
2、身体を休ませる
3、血圧が下がる
4、瞳孔が閉じる
■現代人の生活は自律神経が乱れやすい
ストレス過多の現代人に多いのは、交感神経が優位になる自律神経の乱れです。人間は不安や恐怖などのストレスを受けると、血圧の上昇や発汗、動悸などでストレスを抑えようとして、交感神経が高ぶります。
メタボリックシンドロームも交感神経を活性化させることも指摘されています。現代人の生活習慣が、自律神経の乱れを引き起こしている面も見逃せません。
ストレスは自律神経の大敵ですが、全くストレスを感じない状態が続いても自律神経のバランスは崩れます。のんびりと暮らしているうちに、無気力になるようなことがあったら、副交感神経が過度に優位になっているかもしれません。
自律神経の乱れは、ほとんどの場合、自覚なしに起こります。日頃から、自律神経を整える生活を心がけることが大切です。
(自律神経が乱れる原因)
精神的なストレス、パソコン、スマホなどの疲労、自堕落な生活習慣が自律神経を乱す原因となる。
また、40代半ばを過ぎると更年期の症状があらわれ、自律神経を乱すこともある。
1、仕事の悩みやストレス、緊張、興奮
2,疲労の蓄積、不眠、不規則な生活
3,栄養バランスの乱れ、ホルモンバランスの変化など