「悪い姿勢」と「ストレス」が首・肩を悪化
●首に負担をかける何気ない日常生活に注意
頚椎症を抱える人の多くは、首と頭が前に出て背中が丸まった「ねこ背」の姿勢になっています。頭が前に出る形になると、実際の頭の重さよりも、大きな負担が首にかかることになります。
こうした首に大きな負担のかかる悪い姿勢を、長時間、そして長年続けていくと、首・肩の筋肉や骨の状態が悪化していき、しまいには首・肩の痛みや腕のしびれなどの症状が現れることになるのです。
また、姿勢の問題のほか、心理的な要因も頚椎症と深くかかわっています。現代人は、仕事や生活の場面で、精神的な緊張を強いられることが多く、ストレスを抱え、それが身体に影響を与えます。
実際、頚椎症のかたの多くは、仕事のノルマが厳しい、仕事と子育ての両立が大変、親の介護で気が休まらない、配偶者とうまくいっていないなど、さまざまなストレスを抱えています。
ストレスが多いと、自然と姿勢が悪くなり、それで首への負担も増していきます。
さらに、ストレスは交感神経と副交感神経からなる自律神経(呼吸、消化、血液循環など、身体の無意識的な活動を調整する神経)のバランスを崩し、交感神経の働きを高めます。すると筋肉の緊張が高まり、首・肩の状態が悪化します。自律神経失調症といった全身の不調の原因になることにつながります。
●ストレスを上手に管理して、首・肩に溜まったコリを解消
頚椎症悪化の要因となるストレスは、自律神経のうち、緊張状態をつくりだす交感神経の働きを高ぶらせ、頚椎症を悪化させる主要因である、首・肩の緊張とコリを招くからです。
しかし、生活している以上、ストレスから完全に開放されることは困難です。上手にストレスを管理することが必要になります。
具体的には、生活の場面の中で、適度に首・肩の力を抜いて緊張をゆるめたり、心身を休息させる時間をつくることです。
たとえば、オフィスで座って仕事をしているときなら、30分に1度は、姿勢をリセットして首・肩にかけていた緊張を解除する「30分ルール」を実行しましょう。実行するための工夫としては、時計「0分」と「30分」を示したときに姿勢をリセットするように習慣づけたり、スマホやパソコンのアラーム機能で、30分ごとに音を鳴らす設定にしておくといった方法があります。
また、お昼休みにはしっかり1時間の休息をとりましょう。そして、昼食後には、15分ほどの仮眠をすることをおすすめです。ストレスによる心身の疲れをリセットできます。
横になってしまうと、眠り込んでしまうので、座ったままがよいでしょう。首・肩が痛くならないなら、机に伏せる姿勢でもかまいません。
座った状態では、落ち着いて眠れないという人は、肩の力を抜き、静かに目を閉じて心を静める瞑想でも休息効果は得られます。
また、車や電車に長時間乗るときは、それを休息時間として使うのもいいでしょう。その場合も、肩の力を抜いて、外からの情報をシャットアウトするために目も閉じ、心を静めましょう。
耳栓をするのもおすすめです。音や人の気配が消せるので、電車やオフィスでより心を静めやすくなります。