1.スマホ首・前方頭位とは
スマホ首とは、スマートフォンやパソコンを見るときに頭が前へ出て、首や肩に負担がかかりやすくなっている状態を表す言葉です。医学的な病名ではありません。
前方頭位とは、横から見たときに、耳の位置が肩より前へ出ている姿勢を指します。
次のような姿勢がある方は、スマホ首・前方頭位になっている可能性があります。
頭や顎が前へ出ている
背中が丸くなっている
肩が内側へ入っている
横から見ると耳と肩の位置がそろっていない
スマートフォンを見るときに首を深く下げている
スマホ首・前方頭位とストレートネックは、同じ意味ではありません。
前方頭位は頭の位置を表す言葉で、ストレートネックは首の骨のカーブが少なくなった状態を表します。頭が前に出ていても、必ずストレートネックとは限りません。
また、姿勢が悪く見えても症状がない方もいます。スマホ首や前方頭位にお悩みの場合は、見た目だけでなく、首の動きや筋肉の状態、生活習慣まで確認することが大切です。
2.頭が前に出ると首に負担がかかる理由
頭が背骨の上に自然に乗っていると、首や肩の筋肉への負担は分散されます。
しかし、頭が前へ出ると、首の後ろ側の筋肉が頭を支えるために働き続けます。その状態が長時間続くと、首こりや肩こり、頭の重さなどにつながることがあります。
特に負担がかかりやすいのは、次のような部分です。
首の付け根
後頭部
肩の上
肩甲骨の内側
首の前側
胸や肩の前側
スマホ首では、首だけでなく、背中の丸まりや巻き肩も関係します。
背中が丸くなると視線が下を向くため、前を見るために顎を出し、頭を前へ動かしやすくなります。
また、姿勢の形だけではなく、同じ姿勢を長時間続けることも大きな負担になります。無理に良い姿勢を保ち続けるより、定期的に立つ、歩く、肩を動かすことが重要です。
3.スマホ首・前方頭位で起こりやすい症状
スマホ首・前方頭位では、主に首や肩まわりに症状が現れます。
首こり・肩こり
頭を支える筋肉が緊張することで、首の重さや肩の張りを感じやすくなります。
「仕事が終わる頃につらい」「マッサージを受けてもすぐに戻る」という方もいます。
首の動かしにくさ
首を左右に振り向く、上を向く、横へ倒すといった動作がしにくくなることがあります。
頭痛・後頭部の重さ
首の付け根や後頭部の筋肉が緊張すると、後頭部からこめかみ、目の周辺にかけて重さや痛みを感じる場合があります。
眼精疲労
長時間画面を見ることで目が疲れ、画面へ顔を近づけることで、さらに頭が前へ出やすくなります。
肩甲骨や背中の張り
巻き肩によって肩甲骨が外側へ広がると、肩甲骨の内側や背中に張りを感じることがあります。
腕や手のしびれ
姿勢によって腕や手のしびれを感じる方もいますが、しびれの原因はスマホ首だけとは限りません。
手に力が入りにくい、物を落とす、しびれが強くなる場合は、整形外科を受診してください。
4.スマホ首・前方頭位の主な原因
スマホ首・前方頭位は、一つの原因だけで起こるとは限りません。
スマートフォンを低い位置で見る
スマートフォンを胸やお腹の近くで持つと、首を下へ曲げた姿勢になりやすくなります。
パソコン画面が低い
ノートパソコンは画面が低くなりやすいため、顔を前へ近づけてしまうことがあります。
長時間のデスクワーク
身体を動かさず、同じ姿勢を続けることで首肩の筋肉が疲労します。
猫背・巻き肩
背中が丸く、肩が前へ入ると、頭も前へ出やすくなります。
運動不足
首や肩甲骨、体幹を支える筋肉の持久力が低下すると、姿勢を保ちにくくなることがあります。
画面の見えにくさ
文字が小さい、視力が合っていない、画面が遠いなどの理由で、無意識に顔を近づける場合があります。
食いしばり
歯を強く噛みしめる習慣があると、顎やこめかみ、首の筋肉が緊張しやすくなります。
マホ首や前方頭位の原因を確認するときは、姿勢だけでなく、画面の位置、椅子や机の高さ、仕事時間なども確認する必要があります。
5.スマホ首・前方頭位に対して鍼でできること
鍼で首の骨を直接動かしたり、前方頭位を一度で元へ戻したりすることはできません。
鍼では、主にスマホ首に伴う首肩の痛み、筋肉の緊張、動かしにくさなどに対して施術を行います。
首肩の緊張をやわらげる
首の付け根、後頭部、肩、肩甲骨周辺など、状態を確認したうえで必要な部分へ鍼を行います。
首を動かしやすい状態を目指す
筋肉のこわばりをやわらげ、振り向く、上を向くなどの動作を行いやすい状態へ整えます。
頭痛や肩甲骨の張りに対応する
スマホ首に伴う後頭部の頭痛や肩甲骨周辺の張りについても、関連する筋肉を確認します。
顎やこめかみの緊張を確認する
食いしばりがある方は、顎やこめかみ、首の前側に負担がかかっている場合があります。
運動へ取り組みやすい状態をつくる
鍼は姿勢を固定するものではありません。
痛みや筋肉の緊張をやわらげ、ストレッチやトレーニングを行いやすい状態へ整えるための補助的な方法です。
6.自宅でできるスマホ首対策
スマホ首対策では、特別な運動を一度だけ行うより、毎日の姿勢や環境を少しずつ変えることが大切です。
スマートフォンの位置を上げる
端末を目線に近づけ、首を深く下げた姿勢を長時間続けないようにしましょう。
腕が疲れる場合は、反対の手やクッションで支えます。
30〜60分ごとに身体を動かす
立ち上がる
数歩歩く
肩を回す
背伸びをする
遠くを見る
など、短い休憩を取り入れましょう。
顎を軽く引く
正面を向き、顎を軽く後ろへ引きます。
首を強く押し込まず、後頭部を上へ伸ばすように行います。5秒保ち、5回程度繰り返します。
胸を開く
壁や柱に手をつき、身体を反対側へゆっくりひねります。
胸の前側が気持ちよく伸びる位置で、20秒程度保ちます。
肩甲骨を動かす
肩を耳へ近づけるように上げ、後ろへ回してゆっくり下ろします。
5〜10回程度、呼吸を止めずに行いましょう。
デスク環境を調整する
画面を目線に近づける
足の裏が床につく椅子を使う
画面へ顔を近づけなくても文字が見えるようにする
ノートパソコンにはスタンドを使う
必要に応じて外付けキーボードを使用する
強く揉みすぎない
首を強く揉む、勢いよく回す、無理に伸ばすことは避けましょう。
しびれや鋭い痛み、めまいが出る場合はセルフケアを中止してください。
腕や手に力が入りにくい、歩きにくい、強い頭痛がある場合は、スマホ首と自己判断せず、整形外科などの医療機関へ相談しましょう。