パソコンやスマートフォンを長時間使用したあとに、目が重い、目の奥が痛い、ピントが合いにくいと感じることはありませんか。
目の疲れだけでなく、まぶたがぴくぴくする、頭痛や首肩こりが続くといった症状がある場合は、眼精疲労や目の周囲の筋肉への負担が関係している可能性があります。
一方で、まぶたのぴくつきがすべて眼精疲労によるものとは限りません。
片方のまぶたが細かく動く一時的な「眼瞼ミオキミア」のほか、両目が強く閉じてしまう眼瞼けいれん、顔の片側まで動く片側顔面けいれんなど、眼科や神経内科での評価が必要な状態もあります。
1.眼精疲労とは
眼精疲労とは、目を使う作業を続けたことで目の痛みや重さ、かすみなどが現れ、休息や睡眠を取っても症状が十分に軽くならない状態です。
目の症状だけでなく、頭痛、首こり、肩こり、吐き気、集中力の低下など、身体全体の不調を伴うことがあります。
日本眼科医会では、目の使いすぎによって、目の疲れに加えて首肩こり、頭痛、イライラ感などが生じる状態を眼精疲労と説明しています。
疲れ目と眼精疲労の違い
一般的な疲れ目は、目を閉じて休んだり、一晩しっかり眠ったりすることで軽くなることがあります。
一方、眼精疲労では、休んでも症状が残りやすく、目以外の不調を伴うことがあります。
疲れ目の特徴
目を休ませると軽くなる
一晩眠ると回復する
症状が一時的
主に目の重さや乾燥を感じる
眼精疲労の特徴
睡眠を取っても目が重い
毎日のように症状が繰り返される
頭痛や首肩こりを伴う
仕事や日常生活に支障が出る
ピントが合いにくい状態が続く
十分な睡眠を取っても目の疲れが残る場合は、単なる目の使いすぎだけでなく、ドライアイ、眼鏡の度数、眼位の問題などが関係している可能性があります。
眼精疲労で起こりやすい目の症状
眼精疲労では、次のような症状が起こることがあります。
目が重い
目の奥が痛い
目がショボショボする
目が乾く
目がかすむ
ピントが合いにくい
まぶしく感じる
涙が出る
目が赤くなる
まばたきが増える
まぶたがぴくぴくする
物が二重に見える
日本眼科医会も、疲れ目の症状として、目の重さ、痛み、乾燥、かすみ、まぶたのぴくつきなどを挙げています。
目以外にも症状が出る理由
パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、目だけでなく首や肩にも負担がかかります。
画面を見るために頭が前へ出る姿勢が続くと、首や肩の筋肉が緊張します。また、作業に集中することで、まばたきが少なくなり、目が乾燥しやすくなります。
その結果、次のような全身症状が起こる場合があります。
頭痛
首こり
肩こり
背中の張り
吐き気
めまい感
集中力の低下
イライラ
倦怠感
2.まぶたがぴくぴくする状態とは
まぶたが自分の意思とは関係なく細かく動く状態を、一般的に「まぶたのぴくつき」と呼びます。
一時的な疲労や睡眠不足に伴って起こる場合もありますが、ぴくつき方や範囲によっては、眼科や神経内科で確認したほうがよい場合があります。
眼瞼ミオキミアとは
最もよくみられるまぶたのぴくつきは「眼瞼ミオキミア」と呼ばれるものです。
上まぶたまたは下まぶたの一部が、細かく波打つように動きます。
次のような特徴があります。
片方の目に起こることが多い
上まぶた・下まぶたのどちらにも起こる
数秒から数分で止まる
断続的に繰り返す
数日から数週間続く場合がある
まぶたが完全に閉じるほどではない
眼瞼ミオキミアは、多くの方が一度は経験する一般的なぴくつきです。片目だけに起こることが多く、短時間で治まる場合もあります。
眼瞼ミオキミアに関係しやすい要因
一般的な眼瞼ミオキミアには、次のような要因が関係することがあります。
眼精疲労
睡眠不足
身体的な疲労
精神的なストレス
カフェインの過剰摂取
飲酒
目の乾燥
コンタクトレンズの刺激
長時間のパソコン・スマホ作業
多くの場合は、休息や睡眠、カフェインの調整などによって自然に軽くなります。
3.眼精疲労・まぶたのぴくつきの主な原因
眼精疲労やまぶたのぴくつきは、一つの原因だけで起こるとは限りません。
パソコンやスマートフォンの使いすぎ、目の乾燥、睡眠不足、眼鏡やコンタクトレンズの問題、首肩の緊張など、複数の要因が重なっていることがあります。
スマートフォン・パソコンの長時間使用
画面を長時間見続けると、目は近い距離へピントを合わせ続けます。
さらに、仕事や動画などに集中すると、まばたきの回数が減り、目の表面が乾燥しやすくなります。
次のような作業は目への負担になりやすい傾向があります。
長時間のデスクワーク
スマートフォンでの動画視聴
細かい文字の入力
ゲーム
オンライン会議
暗い場所での画面操作
休憩を取らない作業
日本眼科医会では、パソコンや携帯電話などの画面を長時間見るVDT作業によって、眼精疲労が起こりやすくなると説明しています。
近い距離を見続けることによる負担
近くを見るとき、目はピントを合わせるために調節機能を働かせます。
近距離作業が長く続くと、遠くへ視線を移した際にピントが合いにくい、目の奥が重いといった感覚が出ることがあります。
スマートフォンはパソコンよりも顔へ近づけて使用することが多いため、使用距離にも注意が必要です。
まばたきの減少とドライアイ
まばたきには、涙を目の表面へ広げ、乾燥を防ぐ働きがあります。
画面へ集中すると、まばたきの回数が減少し、涙が蒸発しやすくなります。
目が乾燥すると、次のような症状が起こることがあります。
目がショボショボする
異物感がある
目がかすむ
光をまぶしく感じる
涙が出る
コンタクトレンズがつらい
まぶたがぴくぴくする
意識してまばたきを増やすことは、目の疲れ対策の一つとして日本眼科医会でも案内されています。
睡眠不足・身体的疲労
睡眠不足が続くと、目や身体の回復が追いつきにくくなります。
特に、夜遅くまでスマートフォンを見ている場合は、目を使う時間が長くなるだけでなく、睡眠時間も短くなるため、翌日の眼精疲労につながる可能性があります。
ストレス・緊張
精神的なストレスや緊張が続くと、無意識に目を見開いたり、眉間へ力を入れたりすることがあります。
また、首肩へ力が入りやすくなり、眼精疲労と頭痛、肩こりが同時に起こる場合があります。
ストレスだけを眼精疲労の原因と断定することはできませんが、症状を長引かせる関連要因になる可能性があります。
4.眼精疲労と首・肩・姿勢の関係
眼精疲労は目だけに負担がかかって起こるものではありません。
パソコンやスマートフォンを見る姿勢が続くと、首肩の筋肉にも負担がかかります。
頭が前へ出る姿勢
画面へ顔を近づけると、頭が身体より前へ出やすくなります。
頭を支えるため、首の後ろや肩の筋肉が働き続け、次のような症状につながる場合があります。
首の付け根の張り
後頭部の重さ
肩こり
こめかみの頭痛
背中の張り
腕の疲労
首肩へ力が入りやすい作業環境
次のような作業環境では、首肩への負担が増えやすくなります。
モニターが低すぎる
椅子と机の高さが合っていない
ノートパソコンを長時間使用している
肘が机から浮いている
スマートフォンを下へ置いて見ている
画面が暗すぎる、明るすぎる
小さな文字を見続けている
後頭部と目の疲れ
後頭部には、頭の位置や視線の安定に関わる小さな筋肉があります。
画面を見続ける姿勢では、これらの筋肉が緊張しやすくなり、後頭部の張り、頭痛、首の動かしにくさなどにつながる場合があります。
鍼灸施術では、目の周囲だけでなく、後頭部や首肩の筋緊張も確認します。
胸鎖乳突筋の緊張
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨・胸骨へ伸びる首の筋肉です。
頭が前へ出る姿勢や、画面へ顔を向け続ける姿勢では、胸鎖乳突筋へ負担がかかることがあります。
ただし、首の筋肉が硬いことだけで眼精疲労の原因を説明することはできません。眼鏡の度数やドライアイ、眼科疾患などの可能性も含め、目と身体の両方から状態を確認することが大切です。
姿勢を正すだけでは不十分な場合もある
姿勢を意識しすぎて胸を張り、身体へ力を入れ続けると、かえって疲れる場合があります。
大切なのは、同じ姿勢を長時間続けないことです。
一つの理想的な姿勢を維持し続けるよりも、定期的に立つ、遠くを見る、肩を動かすなど、負担を分散することが重要です。
5.眼精疲労に対して鍼でできること
目の周囲の筋緊張を確認する
眼精疲労では、目の周囲や額、こめかみに力が入りやすくなることがあります。
鍼では、状態に応じて次のような部位を確認します。
眼輪筋周辺
眉間周辺
前頭筋
側頭筋
後頭部
首肩部
施術部位は、症状、体調、鍼への慣れ、皮膚の状態などを確認して選びます。
首肩こりへの施術
眼精疲労と首肩こりが同時にある場合は、顎や目の周囲だけでなく、首肩部の筋肉にも施術を行うことがあります。
対象となることがある部位は次のとおりです。
僧帽筋
肩甲挙筋
胸鎖乳突筋
後頭下筋群
側頭筋
背中の筋肉
筋肉の緊張をやわらげ、首や肩を動かしやすくすることで、デスクワーク中の負担を減らしやすい状態を目指します。
頭痛への補助的なケア
眼精疲労に伴い、こめかみや後頭部に頭痛が出る方がいます。
鍼では、側頭筋や後頭部、首肩の筋肉を評価し、頭痛に関係すると考えられる筋緊張へ施術します。
ただし、突然起こった激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつの回りにくさ、発熱などがある場合は、鍼灸を受けず医療機関を受診してください。
まぶたのぴくつきへの鍼
まぶたがぴくぴくしている場合も、まず状態を確認します。
一時的な眼瞼ミオキミアが疑われ、睡眠不足、眼精疲労、首肩こりなどが伴う場合は、目の周囲や頭頸部への鍼を補助的に検討できます。
6.眼精疲労に対する立体動態波とは
立体動態波は、複数の中周波を身体の中で立体的に干渉させ、電気刺激を加える物理療法です。
伊藤超短波製のES-530を使用し、症状や施術目的に応じて複数のモードを使い分けています。
立体動態波の仕組み
一般的な低周波治療器は、皮膚に貼った電極から電気刺激を加えます。
立体動態波では、複数方向から流れる中周波を組み合わせ、広い範囲または深部へ立体的な刺激を届けることを目的とします。
眼精疲労への施術では、眼球へ直接電気を流すのではなく、専用スティックなどを使用して、眼窩の骨の周囲、こめかみ、額、頭部、首肩などへ刺激する場合があります。
立体動態波で目指すこと
立体動態波は、次のような目的で補助的に使用します。
目の周囲の筋緊張をやわらげる
こめかみや額の重さを軽減する
首肩部の筋緊張へ刺激を加える
眼精疲労に伴う不快感を軽減する
筋肉を動かしやすい状態へ整える
7.自宅でできる眼精疲労・まぶたがぴくぴくするときのセルフケア対策
眼精疲労や一時的なまぶたのぴくつきでは、施術だけでなく、日常生活で目への負担を減らすことが重要です。
定期的に画面から目を離す
長時間画面を見続けないよう、定期的に休憩を入れましょう。
作業の区切りごとに、数十秒でも遠くを見る時間をつくります。
遠くを見るときは、目を凝らさず、窓の外や部屋の奥を楽に眺めます。
20-20-20ルールを取り入れる
デジタル機器を使用するときの目安として、20分ごとに20秒間、約20フィート、つまり約6メートル先を見る「20-20-20ルール」が知られています。
厳密に20分ごとでなくても構いません。目の疲れを感じる前に、近くを見る作業を中断する習慣をつけることが大切です。
意識してまばたきをする
画面へ集中すると、まばたきが減ります。
作業中は、ときどきゆっくり目を閉じ、まぶたを軽く閉じ切るようにしましょう。
目を強くつぶる必要はありません。
日本眼科医会も、目の疲れ対策として、意識的にまばたきを行うことを案内しています。
画面との距離を見直す
スマートフォンを顔へ近づけすぎないようにします。
パソコン画面は、文字が無理なく読める大きさに調整し、画面へ顔を近づけなくても見える環境をつくりましょう。
文字サイズを大きくすることも有効です。
モニターの高さを調整する
画面の上端が目の高さと同じか、やや下になる程度を目安にします。
画面が低すぎると頭が前へ出やすくなり、高すぎると目や首へ負担がかかります。
ノートパソコンを長時間使用する場合は、台や外付けキーボードを活用する方法があります。
照明と画面の明るさを調整する
画面だけが極端に明るい、または暗い状態を避けます。
窓や照明が画面に映り込む場合は、モニターの角度や机の位置を調整します。
画面の明るさは、周囲の明るさと大きく差が出ないように設定しましょう。
目を強く揉まない
まぶたがぴくぴくすると、指で押したり揉んだりしたくなるかもしれません。
しかし、強く揉むと目の表面や皮膚へ負担がかかります。
目をこすらず、まぶたを閉じて休ませましょう。
睡眠時間を確保する
眼瞼ミオキミアでは、疲労や睡眠不足が関係する場合があります。
夜遅くまでスマートフォンを見る習慣がある方は、就寝前の使用時間を減らしましょう。
蒸しタオルを使用する場合
目の周囲を温めると心地よく感じる方もいます。
蒸しタオルを使用する場合は、熱すぎない温度にして、まぶたの上へ短時間置きます。
首肩を軽く動かす
長時間の作業後は、痛みのない範囲で首や肩を動かします。
肩回し
肩をゆっくり持ち上げる
後ろへ大きく回す
力を抜いて下ろす
5回程度繰り返す
胸を開く運動
椅子へ座る
両手を身体の後ろで軽く組む
肩甲骨を軽く寄せる
10~20秒間保つ
痛みやしびれが出たら中止する
深呼吸で身体の緊張を減らす
呼吸法は眼科疾患を治すものではありませんが、作業中に力が入り続けている方が休憩を取るきっかけになります。
椅子へ楽に座る
肩の力を抜く
鼻から自然に息を吸う
口または鼻からゆっくり吐く
1~2分繰り返す
無理に大量の空気を吸い込む必要はありません。