熱中症は、できるだけ予防したいものですが、万が一、症状が疑われる場合は、次のような応急処置が必要です。
まずは、涼しい場所へ移動しましょう。冷房の効いた部屋や、屋外では風通しのよい日陰で、できるだけ早く、体を冷やしてください。
衣服を緩めて、体から熱を逃がしましょう。体温を下げるためには、冷やした水のペットボトル、氷枕などを使って、両側の首筋や、わきの下、足の付け根を冷やすと効果的に体温を下げることができます。
水分と塩分を補給しましょう。冷たい水を、自分で持って飲んでもらうと、体にこもった熱を奪うだけでなく、水分補給もできます。また、経口補水液やスポーツドリンクを飲めば、汗で失われた塩分も適切に補えます。
ただ、吐き気を訴えたり、意識がなかったりするなど、自分で水分を摂ることができない場合は、口から水分を補給するのは禁物です。すぐに病院へ運んでください。
適切な水分補給とは
熱中症対策に詳しい、医師で済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜さんは「食事を3食しっかり取るだけでも水分は摂取できており、あまり神経質になる必要はありません。激しい運動をしなければ、食事以外で水分を1日計1~1.5リットル程度、取れば大丈夫でしょう」と説明します。
ポイントは、喉が渇いていなくても「こまめに飲む」こと。特に、高齢者は喉の渇きを感じにくく、注意が必要です。「1時間ごとにコップ1杯分飲む」というように時間を決めておくとよいと言います。
飲むものは、お茶か水が望ましいです。スポーツドリンクは運動した後などに素早く水分補給をするのに適していますが、糖分が多いものもあり、注意が必要です。
また、アルコールは水分補給に飲むものとして適していません。アルコールが体温を上げ、尿をたくさん出してしまうからです。お酒を飲むときは、水やお茶も一緒に摂取することが望ましいです。
本人が知らず知らずのうちに熱中症になってしまうこともあり、こまめに適切な水分補給を心がけてください。子どもや高齢者に対しては、いつもと様子が変わりないか、周りの人たちが気にかけることも大切です。