痛みを感じたときに服用する鎮痛薬。
薬局などで手軽に入手できるため、日常的に服用する人も少なくありません。
ところが最近、その使い過ぎによって引き起こされる頭痛が世界的な問題となっています。
痛いから薬をのみ、薬をのんだことでかえって頭が痛くなる悪循環です。
いま、その回復の手段として鍼灸治療が注目されています。
潜在患者数100万人超!?薬の使い過ぎで起きる頭痛
慢性頭痛にはさまざまなタイプがありますが、片頭痛、緊張型頭痛に次いで患者数が多いとされる頭痛が「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」です。
もともと頭痛持ちの人が鎮痛薬などを頻繁に使うと、薬が原因となる頭痛が起きてしまうことがあります。
詳しいメカニズムは分かっていませんが、海外の研究によると有病率は人口の約1~2%で、日本の患者数は120~240万人と推定。
症状は、ほかのタイプの頭痛と変わらないため、MOHであることに気づかないまま薬をのみ続けて、症状が悪化している人が少なくないと考えられます。
MOHの治療には、原因となる薬の使用を止めることが大切ですが、痛みがあるなかで薬を止めることは容易ではありません。
そこで、減薬や断薬の助けとなっているのが、鍼のチカラです。
再発防止の効果も!?期待される鍼灸
MOHは、いったん断薬に成功したとしても、痛みがあるとまた薬を使ってしまう「再発」が多いことが問題とされ、その防止にも鍼灸が期待されています。
2021年の頭痛診療ガイドラインの改訂では、新たにMOHに対する鍼が追加されました。
薬なしで頭痛に耐えるのは非常に困難で、不安も大きいと思います。
我慢せず、鍼灸をうまく活用し、MOHの状態を抜け出し、頭痛で苦しまないよう役立ててほしいです。