最新の研究で、不眠症など睡眠の問題を自覚していない人でも「毎日約1時間」の潜在的な睡眠負債があるということが明らかになりました。睡眠負債とは、身体に蓄積された睡眠不足のことをいいます。
この潜在的な睡眠負債を解消するためには、一時的な「寝だめ」では足りず、9日間連続して十分な睡眠をとらなければならないということがわかっています。
「プレゼンティーイズム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
プレゼンティーイズムは日本語で「疾病就業」と訳され、出勤しても、頭や身体のなんらかの不調のせいで本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態のことをいいます。
睡眠負債がたまっていくと、体内時計が乱れこのプレゼンティーイズムに陥り、集中力が低下してつまらないミスをしてしまうなど、パフォーマンスを著しく低下させることがわかっています。プレゼンティーイズムによる日本の経済損失は、約18.3兆円にも達しているとされています。
成功者にはショートスリーパーが多いといわれてきましたが、それも近年見直され、生粋のショートスリーパーはほとんどいないといわれているのです。実際に、3時間睡眠だったとされるナポレオン・ボナパルトも、近年の調査によると、実は日中に昼寝や仮眠をとっていたという説が出ています。一方で、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは「8時間眠ると1日ずっと調子よく過ごせる」と語っています。また、AppleのCEOであるティム・クックやMicrosoft創業者のビル・ゲイツも、7時間睡眠で、忙しい中でも睡眠時間の確保はしっかりしているのです。
睡眠時間の確保は、体内時計の乱れや病気のリスクも減らしてくれます。しっかり睡眠時間を確保するためにも睡眠ファーストという考え方が必要です。大谷翔平選手も実践しており、いつ寝るか、睡眠時間を最初に決め、そこから他の予定を立てる考え方になります。毎日ぐっすり眠れれば、起きている間ずっといいコンディションでいられるため、生産性が格段に高まります。1日のなかで連続したもっとも長い時間を占めるものが睡眠であり、睡眠時間次第でほかの活動のリズムも決まるため、賢明なスケジュールの立て方と言えます。
ご自身の睡眠を見直し、良い睡眠習慣を身につけて、自分の能力を最大限に発揮できる毎日を目指しましょう。