鼻閉によって正常な呼吸が障害されると、頭痛や疲労感、睡眠障害、日中の眠気、集中力の低下などが生じてしまいます。さらに、二次性の上気道疾患や高次脳機能障害、発育障害などにもつながる可能性があります。特に睡眠中は日中と異なり、鼻閉が生じても意識的な口呼吸ができないため、狭窄された鼻で呼吸しようとするため呼吸が不安定になり、睡眠障害が生じやすくなります。
鼻閉によって睡眠中のいびきや無呼吸などが起こる原因がいくつかあります。
・ベルヌーイの定理
鼻閉により、鼻腔抵抗が高まると、咽頭管内の陰圧が上昇し、咽頭が閉塞してしまい、無呼吸が生じます。
・不安定な口呼吸
鼻腔抵抗が高まることにより代償的に口呼吸の割合が上昇します。口呼吸は、下顎と舌骨が後下方へ移動し舌根が沈下するため、咽頭が狭窄され睡眠時の呼吸障害が誘発されます。
・鼻肺反射
鼻腔気流の減少により、鼻粘膜のレセプターの活動性が低下し、咽頭開大筋の緊張低下や換気量・換気数の低下が生じます。
・一酸化窒素
鼻腔気流障害によって肺に送られる一酸化窒素量は減少し、咽頭筋の緊張や睡眠調節と同様に、肺でのガス交換機能にも影響を及ぼします。
鼻閉を治療することが睡眠時の呼吸障害を必ずしも治癒するわけではありませんが、夜間の鼻閉が改善されると日中の眠気などの自覚症状の改善が認められることが多いとされています。睡眠時の寝苦しさやいびき、日中の眠気、寝起きの悪さが気になる方は鼻閉の問題があるかもしれません。