血圧は基本的に昼に高く、夜に低くなります。就寝中の血圧は昼間の血圧に比べ、10~20%低下するのが普通とされます。
異常な血圧変動として、早朝に急激な血圧上昇を示す「血圧モーニングサージ」といわれるものがあります。
血圧は覚醒・起床とともに上昇しますが、この上昇が大きすぎることが問題です。
とくに「心臓肥大」や「冠動脈硬化」といった障害がある場合、朝の血圧上昇が大きすぎると、心臓に負荷がかかり、突然死の原因にもなると考えられています。
・1杯の水が血管を守る
心筋梗塞や脳梗塞は、朝の起床後からの数時間に最も多いことが知られています。
高血圧や糖尿病、脂質異常症など、血管の病気が起こるリスクを抱えている人が、朝の薬を飲み忘れてはいけない理由がここにあります。
朝は、休息と活動の切り替えの時間帯です。体の仕組みは一気に「休息モード」から「活動モード」に切り替わります。活動開始にともない、脈拍や血圧が上がり、心臓や脳といった重要な臓器を働かせるために、多くのエネルギーと酸素を必要とします。しかし、朝は血液が流れにくく、固まりやすい状態になっています。また朝は、固まった血を溶かす働きをしている「t-PA」という物質の働きが落ちていて、血液がいったん固まると溶けにくい時間帯となっています。
心臓や脳といった各臓器で酸素やエネルギーの需要が増えるのに、供給はしにくい状態のため、血圧を上げ供給しようとします。その際に、血中にできた血液の塊を押し流し、心臓の血管に詰まると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞になります。
朝を健やかに迎え、1日を元気に過ごすためにぜひ実行していただきたいのが朝起きてすぐ、コップ1杯の水を飲むことです。健康法として水を飲むことが一般的になっていますが、大事なのは「いつ飲むか」です。
血液の粘度が上がり、固まりやすく、詰まりやすくなっているのが朝です。朝の起き抜けの水は、健康増進のために大切なコツの1つですので是非試してみてください。