冷え改善、温活の第一歩。まずは首を温めよ!|医学博士インタビュー⑥

■コラムテーマ
女性の5大不調 ~その原因とリセット法

学博士・健康科学アドバイザー福田千晶先生
1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年よりフリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。

福田千晶先生インタビュー【第6回目】は、冷え対策、おすすめの温活について

むくみ、肌荒れ、アレルギーの原因にもなるという「冷え」について、医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶先生が解説します。

今回は、冷え対策の実践編。おすすめファッション・NGファッションの他、冷えを根本から改善させる方法をご紹介します。

女性の大敵、冷えとの決別で、体と心のコンディションアップを!

マフラー、カイロ、入浴の3点セットで冷えを撃退!

編集部
冷えを感じたとき、とりあえずカーディガンを羽織ったりしますが、
何か効果的な、冷えのリセット法というのはありますか。

福田
まずは首を温めてください
ストールでもマフラーでも何でもいいので巻いてみる。
冷えやすい人は、首元の大きく開いた服装を避けます
冬なんかはタートルネックのニットなどがいいですね。

編集部
真っ先に温めるべきは、首なんですね。

福田
そうです。
首には頸動脈(けいどうみゃく)という大きな血管が通っています。
全臓器の中でも1、2位を争う血液量を必要とする脳に、
充分な血液を送るためです。

編集部
手で触れると、ドクドクしているところですね。

福田
はい。この頸動脈は皮膚のすぐ下を走っているので、
首を冷気にさらしていると、大量の血液が冷まされることになり、
短時間で体温が奪われてしまうのです。

編集部
逆にいえば、頸動脈付近を温めると、
全身を効率よく温めることができるということでしょうか。

福田
その通りです。あとは、お腹や腰を触ったときに、
ひやっとすることがあると思うんです。
そんなときは、その部分をカイロで温めるのがおすすめです。

あと、自宅で手軽にできる冷え対策は「入浴」ですね。
手足が冷たくて眠れないという人は、
肩までしっかりとバスタブに浸かる全身浴をした後、
熱めのお湯と、ぬるめのお湯を足に交互にかける
温冷浴をしてからベッドに入ると、
血行がよくなって眠りにつきやすくなると思いますよ。

筋肉は自前の発熱器

編集部
ただ、一時的に体は温まっても、体質的に冷え性というか……。
自分も子供の頃から年じゅう手足が冷たかったりするのですが、
根本的な冷えの改善というのは、なかなか難しいのでしょうか。

福田
男性に比べて女性が冷えやすいのは、
一般的に筋肉量が少ないためなんですね。
体の熱産生の約6割は筋肉で行われています
ですから、冷えを根本から改善させるためには、筋肉をつけることが有効です。

編集部
自ら熱を発する体を作ると。

福田
はい。筋肉が増えれば、「発熱器」を体に内蔵しているような状態になります。
ちなみに脂肪は、保温効果はありますが熱は作り出せません。

編集部
自前の発熱器、欲しいです。

福田
スポーツジムに通えれば、それもいいですし、
たとえば、平日はストレッチ、休日はウォーキングやジョギング、
水泳、自転車などの全身運動にトライするなど、
定期的に体を動かすようにする。
そうすると、筋肉は基本的には大きくなっていきます。

編集部
筋肉がつくと、肩も凝りにくくなり、疲れが抜けやすくなり、冷えにくくなる。

福田
そうですね。
あと、温度差にも強くなる。

編集部
夢のようですね。
まさに、これが根本的な冷えのリセット法ですね。

冷えを侮ってはいけない

編集部
先生、改めてお聞きしますが、
冷えってそんなに悪いものなんですか?

福田
たかが冷えと思われがちですが、実は冷えというのは侮れないんです。
体が冷えているというのは、血の巡りが悪い状態なわけで、
細胞に酸素や栄養が充分に行き届かない、

すなわち細胞が酸欠、飢餓状態になりやすい。
これが、むくみ、肌荒れ、貧血症状、アレルギーをはじめ、
さまざまな心身の不調や病気につながるおそれがあります。

編集部
まさに、冷えは万病の元なんですね。
逆にいえば、冷えを改善することは、
いろいろな不調を克服する近道にもなりそうです。

福田
そうですね。近道だし、体を温めることなら簡単にできる。
すぐに筋肉をつけるのは、ちょっと大変でしょう。

編集部
はい、やや気が遠くなります。

福田
もちろん筋肉をつけるに超したことはありませんが、
冷えを放置しない、温めるだけでも意味はあります。

編集部
そうですか。

福田
温めると血行がよくなるので、体の各所にしっかり酸素や栄養が届きます

もちろん筋肉にも酸素や栄養がしっかり与えられ、
老廃物をスムーズに取り除いてくれるので、
心身のコンディションがよくなるんですね。
そんな巡りのよい状態を、常にキープしておきたいですね。

冷え・冷え性 まとめ

冷えとは?

運動不足、ストレス、冷たいものの取りすぎ、薄着、クーラー、生活習慣の乱れなどによって血の巡りが悪くなり、手足や腹部など、体のどこかに冷えを感じて不快に感じられる状態。

冷えのメカニズム

寒さを感じた時、あるいはストレスを受けると、体に力が入り血管が縮まって血の巡りが悪くなる。

すると、血流と共に運ばれるべき熱が体のすみずみまで充分の届かず、手足などが冷たくなる。

手足が冷えやすいのは、血液は生命維持にとって重要な臓器から優先的に提供され、手足などの末端は後回しとなるため。

こんな人は注意

筋肉が少ない
ストレスを抱えやすい
運動不足
など

冷えのリセット法

その場でリセット……首、腹、腰を温める
自宅でリセット……入浴(全身浴)
根本リセット……運動による筋肉育成

千晶語録

自前の発熱器である筋肉は、加齢とともに減る傾向にあります。すると、どんどん冷えやすい体に。最近は男性の冷え性も増えているようです。

まずは、体を動かす習慣を!ストレスとうまくつきあう工夫を!

また、冷えやすい方は、体を締め付けるようなファッションは避けましょう。

▼次の記事を読む

関連記事

連載をはじめから読みたい方はこちら

 

  • お話を伺った人

    福田プロフィール
    医学博士・健康科学アドバイザー
    福田千晶(ふくだ ちあき)先生

    • 1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。医療機関での診療、企業の産業医活動も行う。『自分でスッキリ消せる! 肩こり・腰痛・ひざの痛み』(永岡書店)、『心も体もきれいになる!その場で「あたため」ストレッチ』(講談社+α文庫)、『花粉症がみるみるよくなる62の対策』(日東書院)、『1日10分! 足の悩みは自分で治せる』 (実業之日本社) など著書・監修書多数。

      ホームページ

コメント

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!

【初回ネット予約限定】最大2,000円割引!