便秘外来の現場で見た、間違いだらけの「腸活」

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「腸のことを気にするのは、便秘や下痢に悩んだときだけ」という人も多いでしょう。
しかし、腸は「第2の脳」「全身の臓器の窓口」でもあり、健やかな生活を送るためには日常的なセルフケアが大切なのです。そこで、美しい腸を保ち、便秘や冷え性などによる心身の不調とサヨナラする秘訣を、看護師で一般社団法人日本美腸協会理事長の小野咲さんに、全10回にわたって教えていただきます。

■コラムテーマ
美腸ナースが教える『人生を変える腸活』

日本美腸協会代表理事小野 咲先生

一般社団法人日本美腸協会理事長。美腸ナース。国立成育医療研究センターPICU(小児集中治療室)勤務を経て、小林メディカルクリニック東京の便秘外来で腸について集中的に学ぶ。2013年、一般社団法人日本美腸協会設立。著書に『下がらないカラダ』(サンマーク出版)、『腸が変われば、人生変わる 美腸の教科書』(主婦の友社)がある。

【第1回】小野さんが美腸ナースになった原点について

私が便秘外来を選んだ理由

編集部
小野さんは「美腸ナース」として活躍されていますが、腸に興味を持たれたのはなぜでしょうか?

小野
私が新卒で入職した国立成育医療研究センターは、国内でも有数の小児病院です。PICUと呼ばれる小児集中治療室で子どもたちのケアに当たる中で、腸の状態が命に大きく影響することを目の当たりにし、衝撃を受けたのです。

編集部
それがきっかけで、腸について学びたいと思うようになったのですね。

小野
はい。便秘治療の第一人者である小林暁子先生の下で知見を深めたいと思い、小林メディカルクリニック東京の便秘外来へ転職しました。実は、私自身も子どもの頃からひどい便秘症だったのですが、腸について学び、正しいケアを行うことで徐々に改善していきました。

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編集部
小野さん自身も便秘に苦しんだ経験があったのですね。そういえば、便秘というと女性のイメージが強いですが、便秘外来にはどのような患者さんが訪れるのですか?

小野
男女問わず、赤ちゃんからお年寄りまで、さまざまな患者さんがいらっしゃいます。決して女性だけの問題ではないんですよ。

編集部
誰でも抱える可能性がある悩み、ということですね。

小野
その通りです。どの患者さんも「便が出ない」という相談が基本となりますが、「出してもすっきりしない」「下剤がやめられない」「お腹が張って苦しい」など、それに付随する悩みをお話しされることも少なくありませんでした。

編集部
やはり「セルフケアには限界があってお手上げ状態」という重症の方がいらっしゃるのでしょうか?

小野
重症度は患者さんによってさまざまですね。「前よりもひどくなった」「自分なりの対策をしたのに改善しない」というタイミングで来院されるケースが多かったように思います。

ダイエット目的で、安易に下剤を飲む女性が多い

編集部
「自分なりの対策」とは、具体的にどんなことだったのでしょうか?

小野
「食物繊維が多い野菜を選んで食べていた」「とにかくたくさんヨーグルトを食べることを習慣化した」「便通が良くなると聞きコーヒーをよく飲むようにした」など、食習慣に関するものが多いですね。残念ながら、これらは腸ケアとしては正しいとはいえないものばかりです。

編集部
いかにも便秘に良さそうなものばかりなのに意外ですね! 具体的な食事の改善法は、後ほどじっくり伺いたいと思います。

小野
それから、下剤に頼っている方がとても多かった印象があります。毎日のように下剤を飲まないと排便できない状態を、当然のことのように認識してしまっているのは問題ですね。中には「1日に300錠飲んでいます」という患者さんもいて仰天しました。

編集部
ご飯の代わりに錠剤を飲んでいるレベルというか……。

小野
特に女性の場合は、ダイエットのために安易に下剤を服用し始め、そこからエスカレートしていくケースが少なくありません。そもそも刺激性の下剤は依存性が高いため、濫用しないよう注意が必要です。分かりやすく体重が減るものの、とてもリスクが高いことを知ってほしいです。

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編集部
便秘外来では、どのような治療が行われるのですか?

小野
まずはカウンセリングをし、必要に応じて腹部エコーやX線撮影、血液検査などを行います。患者さんは処方された薬剤やサプリメントを服用したり、生活上のアドバイスを受けたりする中で、徐々に症状を改善していくイメージです。

編集部
便秘外来におけるゴールとは、どのような状態になることを指すのでしょうか?

小野
刺激性の下剤に頼らなくても自力で排便できるようになることです。一般的には早くて3ヵ月くらいで改善に向かっていきます。便秘の状態や年齢によっては、1年くらいかかることもありますね。

薬剤に頼らない腸ケアを目指して、日本美腸協会を設立

編集部
便秘外来では、何年くらい現場に立たれていたのですか。

小野
約2年半ですね。私が勤めていた小林メディカルクリニック東京では、できるだけ刺激性の下剤の使用を抑える方針でしたが、それでも医療機関では薬物療法がメインになりがちなんです。看護師として「薬剤に頼らず生活習慣で改善する」ことにもっと力を入れていきたい……そんな思いから、2013年に一般社団法人日本美腸協会を立ち上げました。

編集部
院長の小林暁子先生には、協会の顧問やテキスト監修をお願いしたのですね。美腸協会はどのような活動を行っているのでしょうか?

小野
私は、これまで3,000人以上のお腹を見てきた経験を生かし、「美腸エイジング」というオリジナルの腸もみ法を考案しました。協会では、その専門的なセラピストであり、腸に関する正しい知識を啓発する存在として、「美腸プランナー」と「美腸アドバイザー」を育成しています。

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編集部
そういえば、ここ数年で「腸もみ」という言葉を聞くことが増えてきた気がします。

小野
お腹の上から腸をもむことで、腸の働きを促進するのが「腸もみ」です。便秘改善に効果的ですが、大事な臓器をおさめている腹部をもむわけですから、間違った方法では健康被害が出てしまうおそれもあります。当協会では、安全で痛みがなく効果的な腸もみの施術法を教えるほか、一般の方でも安全に行える簡易化した方法もお伝えしています。

編集部
ぜひ、自宅でできるセルフマッサージの方法を知りたいです!

小野
「生まれ持った体質だから」と、腸に関する悩みをあきらめることはありません自分の腸を知り、正しいケアを続けることが大切です。これから、その具体的な内容をお伝えしていきますので、一緒に“美腸”を目指しましょう!

お話を伺った人


日本美腸協会代表理事
小野 咲(おの さき)先生

一般社団法人日本美腸協会理事長。美腸ナース。大学卒業後、2007年より国立成育医療研究センターPICU(小児集中治療室)勤務。その後、小林メディカルクリニック東京の便秘外来に移り、腸について集中的に学ぶ。2013年に一般社団法人日本美腸協会を設立。著書に『下がらないカラダ』(サンマーク出版)、『腸が変われば、人生変わる 美腸の教科書』(主婦の友社)がある。

日本美腸協会

撮影/山本未紗子 取材・文/中澤仁美(ナレッジリング)

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