自分らしい生き方?|原田文植 医師コラム

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士 原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

私たちは、時間とともにどんどん「自分らしく」なっていきます。
「自分らしさ」を失っていくのではなく、増していくのです。

これは自己啓発系の「自分らしい生き方」とかそういう話ではありません。
身体というものの本質の話です。
産まれたときはみな極めてシンプルな構造をしています。
個体差もそれほど大きくありません。
生後しばらくの間はお母さんからもらった「免疫」に守られています。
お母さんからの免疫が少なくなり、病原微生物などの「外敵」に接する。
すると対応すべき「免疫システム」が作られていきます。
環境は皆それぞれ異なります。
居住地、周囲の人々、衛生状態などなど。
「個性的」な「免疫システム」が構築されていくわけです。

実は脳の中でのできごとも非常に似ています。
直面する経験によって「神経ネットワーク」も増えていきます。
考え方、ふるまい、クセが出来上がり、身体的能力が成熟していきます。
どんどん、どんどん他者とは違う「自分らしく」なっていくのです。

つまり、社会との関わりによって「自分らしさ」が作られているということです。
ここで言う「社会」とは、周りの全存在です。
物理的な存在だけではなく、先人の知識なども含まれているのです。
非常に面白いと思いませんか?

考えてみれば当然かもしれません。
普段何気なく実感しているはずです。
たとえば「自分」というものを定義してみてください。
自分以外の要素を使ってしか説明できないことがわかります。
出身地、職業、所属、住んでいる場所・・・
名前でさえも自分がつけたものではありません(芸名など特別な場合を除きます)。

このコラムを読んでいる間もどんどん変化している自分。
イヤでも「自分らしさ」を増しているのです。
今いる場所で心身ともにどんどん「自分らしく」なっているのです。

どうあがいてもオリジナリティ溢れる自分になってしまうのです。
不確定要素をコントロールすることはできません。
であれば、好きなコトをやる他ない。
自分で決定できるものくらい自分のコントロール下におくべきでしょう。
職業も含めた所属、趣味、住む場所……
「なりたい自分」にはなれるでしょう。

他者に影響を受けて自分らしくなる。
好きなタイプの異性(同性?)に出会うとドキドキする。
おそらく「タイプ」の形成には神経も免疫も影響を受けていると思われます。
「自分らしさ」を垣間見るからかもしれません。

自分の一挙手一投足も周囲に影響を与えているのです。
不機嫌な顔が嫌がられるのは、生存本能が警告音を発しているのかもしれません。
これからは
『自分らしい生き方』
というタイトルを見かけると吹き出してしまうかもしれません。
勝手にどんどん自分らしくなっていくのですから……

◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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