その強烈な眠気はどこから来る?|睡眠時無呼吸症候群、原因と治療法

睡眠時無呼吸症候群-治療

成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられるという『睡眠時無呼吸症候群』は、睡眠中頻繁に息が止まり、日中に眠気がくる疾患。『CPAP(シーパップ)』で症状が劇的に改善したという女性を例に、睡眠時無呼吸症候群の原因と治療法を原田文植医師が解説します。

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

高校の定期試験が終わると、仲間で映画を観るのが恒例だった。
試験直前しか勉強しないから、「一夜漬け」になる。
眠さマックスなので鑑賞中に寝てしまう。
友人たちに頼み込み、もう一回付き合ってもらう。
そんなことを繰り返しているうちに思いついた。
開始後すぐに寝ることにした。
つまらないCMの間に眠っておく。万が一、映画が始まってしまい、冒頭部分を見損ねても、友人に付き合ってもらう被害が少ない。
後半で眠ってしまったら、映画を丸々一本分付き合ってもらわないといけなくなる。

何の話をしているのか?
昭和の映画館は「入れ替え制」がなかったのだ!
そのまま次の上映を観ることができたのだ。
万が一寝落ちしてしまったとき、中盤や終盤だと被害がでかい。
序盤だと、被害が少ない。我ながら名案だと思っていたのだが、上映開始そうそう眠る態度は当然不評だった。
いまだに、仲間から当時の自分勝手さを咎められるのは言うまでもない…

「睡眠時無呼吸症候群」という疾患がある。
肥満や扁桃腺肥大、寝る体位などが原因になりやすい。
眠っているときに頻繁に息が止まる。
酸欠状態が続くわけだから、重大な病の原因になることもある。
日中に眠くなるのが特徴だ。
運転中や、大切な仕事中など眠ってはいけない状況でも眠くなる。
仰向けで寝ないなどの、眠る姿勢の矯正や、マウスピース使用などで改善することもある。
最も有効なのは、CPAP(持続陽圧呼吸療法)だ。
CPAPとは、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道( 空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法だ。
CPAPは、睡眠時無呼吸症候群と診断されると保険適用になる。
自宅で簡易に検査できる方法もある。心当たりのある人は医師に相談した方がいい。

紺野さん(70歳)は睡眠時無呼吸症候群と診断された。
彼女の人生の質はCPAPで劇的に改善した。
日中どんよりしているから、周囲からは「うつ病」と思われていた。
CPAP導入後、スッキリしたそうだ。
何より、映画を最後まで観られるようになったことが嬉しいらしい!
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは映画を観るのが大変だ。

紺野さんのケースは非常に著効した例だ。
かならずしも上手くいくとは限らない。
CPAPをつけずに眠ってしまう患者さんが非常に多い。
特に、ソファでテレビを観ながら寝落ちしてしまうのだ。
よく考えれば、仕方がないかもしれない。
それが睡眠時無呼吸症候群の特徴だからだ。
時間を決めて、装着するという習慣をつけることも必要なのだ。
高校時代に話は戻る。
普段から勉強する習慣がついていたら、映画鑑賞中に寝ずに済んだかもしれない…

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◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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