不養生は名医への道|原田文植 医師コラム

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士 原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

医師もたまには風邪を引く。
人間だもの…
大抵みな我流の「治療技」を持っている。
門外不出!
とまでは言わないが、人には真似させられない秘伝もある。
自分の話で恐縮だが、インフルエンザであっても、平均3~4時間で治し続けてきた。

慢心は最大の敵だ。
実はこの度、治療開始が遅れ、風邪をこじらせた。
外来診療終了時に、悪寒と関節痛を自覚した。
自宅で検温したら、なんと40度!
発汗!発汗!発汗!
汗を出そうと散々手を尽くすのだが、翌朝になっても解熱しない。
出勤直前の一時間で大量発汗し、40度の発熱を37.2度まで下げた。
午前中の往診は気合で乗り切った。
残るは午後の外来のみ。
フラフラだったが、もうちょっとの辛抱だ。
「好きで選んだ仕事やろ!」
心を奮い立たせた。
次から次へと現れる自分より軽症の患者さんたち。
悪寒と全身痛がひどくなっていく。
暖房を入れた。でも、寒い。
見かねたナースに検温された。
38.4度…
ドクターストップならぬナースストップ。

午後3時45分。外来打ち止め。
残り45分だったのに…

優しいナース?そのとおりだ。
翌々日の日曜日が区の休日当番なのだ。
朝9時から夜10時まで。
絶対に穴を開けるわけにはいかない。
今から代打を見つけるのはほぼ不可能だ。
だからここで無理されるよりも、という配慮だ。
なにより患者さんに感染してはまずい。

何でこうなったのか?
自分の体調変化に鈍感だったことだ。
最近マジメに生活し過ぎたのだ…

以前の自分の生活を告白する。
2時就寝の6時起床。
食生活も空腹なら食べる、超適当。
たまには酒も飲む。超たまには葉巻も…
長年そんな生活だった。
常に臨戦状態だったのだ。
だから身体の異変にもすぐに気づく(あくまで個人的思い込みです)

ちょっとしたきっかけがあり180度生活を変えた。
12時までに就寝し、飲酒も完全に止めた。
こんなマジメな自分が風邪引くわけない!
慢心が治療開始を遅らせたのだ。
いつもなら3時間程度で治している。
今回は2日弱かかってしまった。
まあ、仕事の穴は45分で済んだのだが。

結果的にはそれなりに楽しめた。
感冒の全症状、40度の発熱、下痢も。
「一過性の病」という確信があるからだ。
痛みという束縛は確かに不快だ。
しかし、緻密に観察してみる。
すると、周期的に快感があったりする。
これでもか、というほど汗が出た。
排尿量もすさまじかった。
身体中がクリーニングされた感覚だ。
世間でいう「デトックス」とはこれか?
漢方薬を倍量飲み、初めて動悸が出た。
風邪だとわかっていても弱気になる瞬間があった。
「残された家族は?」
そして不安は確実にIQを下げ
そんなとき「主治医・原田」を熱望した。

とにかく身を持って有益な体験ができたし、情報も入手できた。
診療に還元されていくことだろう。

ただでは転ばない。
名医への道とは?
それはジャーナリストの精神を持ち続けることなのである。
なんちゃって…

 

◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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