★ショートスリーパーとは?
睡眠には大きく分けて、「ショートスリーパー」と「ロングスリーパー」、加えて「バリアブルスリーパー」の3種類のタイプがあります。ショートスリーパーは、日常的に6時間未満の睡眠時間しかとっていなくても、問題なく健康が維持できている人を指します。一方、ロングスリーパーは、ショートスリーパーとは対照的に、9時間以上の睡眠時間が必要な人です。バリアブルスリーパーは、ロングスリーパーとショートスリーパーの間である約6〜9時間が最適な睡眠時間の人を指します。
★ショートスリーパーの特徴
ショートスリーパーは、6時間未満といった短い睡眠時間でも日中に眠くなることがなく、活動に影響が出ない点が特徴です。脳は起きていて体は眠っている「レム睡眠」の時間が少なく、脳が眠っている「ノンレム睡眠」の時間は一般の人とほぼ同様だと言われています。睡眠状態から覚醒への時間が非常に短いため、短時間しか眠らなくてもすっきりと目覚めて身体を回復することが可能です。
★ショートスリーパーの有名人
有名人の中にも、ショートスリーパーは多いと言われます。ショートスリーパーの偉人として、3時間睡眠のナポレオンや4時間睡眠のエジソン、5時間睡眠のモーツァルトなどが有名です。また、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や元アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプ氏も数時間しか睡眠をとらないショートスリーパーです。日本においては、2〜3時間の睡眠しかとらないと言われる明石家さんまさんが有名かもしれません。その他にも、ムツゴロウこと畑正憲さんが2〜3時間睡眠、Dr.中松こと中松義郎さんが4時間睡眠のショートスリーパーと言われています。また、女優の橋本環奈さんも3時間しか睡眠をとらないショートスリーパーとして有名です。
★ロングスリーパーの特徴
ロングスリーパーは入眠までに時間がかかり、レム睡眠の時間が長いため、9時間以上の睡眠時間が必要なところが特徴です。ショートスリーパーと対照的に、短い睡眠時間では身体を十分に回復させることができないでしょう。日中の活動時間が少なくなるため、時間が有効に使えないといったデメリットがあります。
★バリアブルスリーパーの特徴
睡眠の時間が約6時間〜9時間のバリアブルスリーパーは、大半の日本人が当てはまると言われています。日本人全体のおよそ80~90%がバリアブルスリーパーであり、この睡眠時間はごく一般的だと言えるでしょう。「バリアブル」とは変化しやすいという意味を持つ「variable」で、睡眠時間を短くすることも延ばすこともできるのが特徴です。
★ショートスリーパーと寝不足・不眠症との違い
同じ6時間未満の睡眠でも、ショートスリーパーと「寝不足」や「不眠症」は異なります。寝不足は、自分に必要な量や質の睡眠がとれていない状態のことを指し、不眠症は、1ヶ月以上の長期間にわたる睡眠トラブルによって集中力や意欲低下などの不調が発生する病気です。短時間睡眠でも健康な状態を保っているショートスリーパーとは明らかに違うので注意が必要でしょう。また、ショートスリーパーには遺伝的な要素があるとされています。遺伝子の影響で、必要な睡眠時間がもともと短いため、睡眠時間が短くても寝不足に陥りません。
★健康や寿命との関係性
ショートスリーパーは健康に悪く、早死にをする可能性があるのでは、と考える人も多いかもしれません。睡眠時間は、長すぎても短すぎても病気を発症するリスクが高いことがわかっています。睡眠時間が長すぎると脳卒中に、短すぎると心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患になりやすいとされ、一番死亡リスクが低いのは7時間ほどの睡眠時間の人だとされています。ショートスリーパーの場合、6時間未満の睡眠が一般人の6時間以上の睡眠に匹敵するため、健康や寿命にさほど影響がないと言えるでしょう。
★自分がショートスリーパーか診断する方法
自分がショートスリーパーなのか知りたい場合、ふだんの就寝時間(できれば睡眠に入ったと思われる時間)と起床時間を睡眠日誌に記録することをおすすめします。1週間以上の期間で1日の睡眠時間が6時間未満であることを確認し、その上で日中に眠気や体調不良を感じず、勉強や仕事の集中力も問題ない場合はショートスリーパーと判断します。また、睡眠時間だけでなく、起きた時の目覚めの良さや日中の眠気などの記録をつけておくことで自分の睡眠の傾向がわかるでしょう。
★ショートスリーパーになる方法はある?
ショートスリーパーになる方法がいくつか紹介されていることがありますが、安易にショートスリーパーになろうとするのは問題です。ショートスリーパー以外の人が睡眠時間を短縮すると、日中の活動や健康状態に影響が出てくる可能性があります。ショートスリーパーは遺伝性のものと言われているため、ロングスリーパーやバリアブルスリーパーが睡眠時間を無理に削ることはおすすめできません。日中の健康的な活動を目指したいなら、睡眠時間を削るよりも睡眠の質を高めることが大切です。
★ショートスリーパーを目指す危険性
「訓練をすればショートスリーパー以外の人でもショートスリーパーになることができる」といった情報が出回っていますが、前述のように、簡単になることは難しく、また危険が伴う場合もあります。ここでは、ショートスリーパーを目指す危険性について詳しく解説していきます。
★慢性的な睡眠不足になる
睡眠時間を無理に短くすることで、慢性的な睡眠不足に陥るおそれがあります。慢性的な睡眠不足の状態が続くことを「睡眠負債」と言いますが、この負債が蓄積されると心身に支障をきたす可能性が出てきます。たとえば、7時間が適切な睡眠時間の人が5時間だけしか眠っていない場合、10日間で20時間、30日間では60時間の「睡眠負債」を抱えることになるのです。自分に合った適切な睡眠時間を維持して睡眠負債を抱えないように心がけましょう。
★日中のパフォーマンスが低下する
毎日の睡眠時間を削っていると、少しの時間短縮でも認知機能や注意力が下がり、パフォーマンスの低下につながってしまいます。睡眠時間を数時間削って活動時間を増やした場合、眠気によってその時間に集中しづらくなり効率が悪くなることも多いでしょう。それなら睡眠時間を多くとって日中の活動に集中する方が効果的だと言えるのではないでしょうか。また、睡眠不足によるパフォーマンスの低下が慢性化してしまうと、「短時間睡眠に適応した」と勘違いするおそれがあるので注意が必要です。
★身体の不調を引き起こす
寝不足状態が続くと、「前頭前野の機能低下」「自律神経の乱れ」「食欲増加や満腹感の低下」などが発生し、これに伴ってさまざまな身体の不調が起こる可能性があります。疲労感や倦怠感、ストレスの増加、肥満といった不調が少しずつ現れてくるため、身体の変化に気をつけなければいけません。
★どうしても睡眠時間を減らしたい場合は睡眠の質を高める
仕事や家事などでどうしても睡眠時間を減らさざるを得ない場合、少しの時間でも効率よく最大限の睡眠効果を得られるよう、睡眠の質を高めると良いでしょう。ここでは、睡眠の質を高める方法をいくつかご紹介します。
★食事や入浴の時間に気を付ける
リラックスした状態で眠りにつくことで、睡眠の質が向上します。寝る直前に食事をとると、寝ている間に胃が活発に動き続けるため、深い睡眠に入りにくくなります。食事は寝る2~3時間前に済ませておくことがおすすめです。また、入浴すると身体の「深部体温」が上がるので、スムーズな入眠が難しくなります。深部体温は2時間ほどで下がると言われているため、入浴は寝る1~2時間前に済ませましょう。
★寝る前にスマートフォンやパソコンを触らない
スマートフォンやパソコンなどの電子機器から放たれているブルーライトは、太陽の光に近い性質だと言われています。寝る前に触ることで脳が時間を誤認識して目が覚めてしまうため、眠りづらくなります。睡眠の質を高めたいなら、ベッドにはこれらを持ち込まないように心がけましょう。
★日中適度な運動をする
日中の適度な運動もおすすめです。ウォーキングやジョギングのほか、散歩などで身体を動かしても質の高い睡眠に効果があります。また、日中に運動があまりできなかった場合でも、体の血液循環を良くするストレッチを行うと良いでしょう。深部体温を下げたり、筋肉の緊張をほぐしたりする効果があるため、深い眠りにつきやすくなります。
★寝る前にはちみつやヨーグルトを食べる
寝る前にはちみつやヨーグルトを食べる方法も、睡眠の質を向上させる効果があります。寝る前のはちみつは血糖値を徐々に上げて睡眠の質を安定させ、寝る前のヨーグルトは腸内環境を整えてメラトニンの分泌を促進させます。詳細を知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
★寝具やマットレスにこだわる
良い寝具やマットレスで眠ることも、質の良い睡眠には欠かせません。寝返りや発汗など、睡眠中の動きや生理的変化を妨げない寝具を選ぶと良いでしょう。大きさや形、柔らかさはもちろん、保温性・吸湿性・放湿性といった機能性にもこだわることが重要です。
★まとめ
6時間未満の睡眠時間でも健康に活動できるショートスリーパーは遺伝的要素が強く、一般の人が目指そうとしても寝不足や不眠症に陥りがちです。自分に合った適切な睡眠時間を確保する必要性を理解し、さまざまな方法で効率よく睡眠の質を高めていきましょう。
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