★片頭痛? 緊張型頭痛? あなたの頭痛タイプと対処法
頭痛の約8割は、原因となる病気がないのに繰り返し起こる慢性頭痛※、いわゆる「頭痛もち」の頭痛であるといわれ、日本人の「頭痛もち」人口は3000万人にものぼるといわれています。
頭痛にはいろいろな種類がありますが、代表的な頭痛タイプは、脳表面の血管が収縮・拡張することで起こる片頭痛と、首や肩周りがこって血流が悪くなることで起こる緊張型頭痛の2タイプです。
タイプによって対処法が異なるので、自分の頭痛はどちらのタイプかを見極め、適切なケアを行いましょう。
※慢性頭痛以外には、風邪や二日酔いなどが原因で日常的に起こる頭痛、脳の病気に伴う頭痛があります。
★片頭痛タイプ
片頭痛の原因とセルフチェックリスト
脳表面の血管が収縮・拡張することで起こる片頭痛。気圧が変化したときや、女性の場合は月経前や排卵期に起こりやすいのが特徴です。
脳内物質のセロトニンが何らかのきっかけで増減するのに伴い、脳血管が収縮・拡張し、周辺の神経が刺激されることで起こる片頭痛。
女性ホルモンの分泌量の変動が原因の1つなので、女性は月経前や排卵期に起こりやすく、睡眠不足、気圧や天気の変化、特定の食品(後述)の摂取が原因になることもあります。
また、気温とともに湿度が上がっていく初夏から梅雨の頃や、台風シーズンに増えることも知られています。
睡眠不足も片頭痛の強力な誘発要因の1つです。睡眠不足で二度寝や昼寝をした後に片頭痛が起こることも多く、そのため週末の朝に起こりやすいという人もいます。
★片頭痛が起きたときの対処法
光や音の刺激をシャットアウトして安静に。強い光や大きな音は脳を刺激し、片頭痛の悪化につながります。片頭痛の発作中は、カーテンで日光を遮り、照明も暗くしましょう。物音でズキズキするときは耳栓をするなどして、安静にすることが大切です。
★こめかみを冷やす
片頭痛が起きたときは、冷たいタオルや冷却シートなどでこめかみを冷やしましょう。
★病院で専用薬を処方してもらう
医師に片頭痛専用の鎮痛剤(トリプタン製剤)を処方してもらうのが確実です。痛みは動くと悪化するので鎮痛剤を服用したあとも1~2時間は安静にしましょう。
★胃腸を温め、余分な水分を取り除く「食べ物」で片頭痛を緩和
東洋医学では、普段から胃腸が弱く冷え症の人は、外界の過剰な湿気(湿邪)によって頭痛、めまい、吐き気などが起きやすくなると考えられており、片頭痛にはこれらの胃腸を温める食べ物がよいとされます。
トウガラシ、サンショウ、コショウなどの辛味の香辛料や、フェンネル、カルダモン、シナモンなどのスパイスには胃腸を温める効果が期待できます。
また、ダイズ、アズキ、ソラマメなどの豆類や海藻類、タマネギなどには、体内の余計な水分を取り除く「薬膳効果」があります。
★片頭痛の予防法
片頭痛タイプの人は控えたい食べ物
体によいと知られるポリフェノールですが、血管を拡張させる作用があるため、片頭痛タイプの人は控えたい成分です。
ポリフェノールを多く含む赤ワインやチョコレートは控え目に。その他、チーズやハム、うま味調味料を使った料理、ファストフードなどにも注意が必要です。
★片頭痛の予防に「漢方」
頭痛薬漬けの悪循環を改善し頻繁に起こる片頭痛を予防したい場合には、胃腸を温め「湿(しつ)」を取り除く漢方薬、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)などが役立つことがあります。
東洋医学では外界の過剰な湿気「湿邪(しつじゃ)」が人体に悪影響を及ぼすと考えます。特に普段から胃腸が弱く冷え症の人が湿邪にさらされると頭痛、めまい、立ちくらみ、吐き気、下痢などの不調が起きやすくなります。
もちろん、体質や悪化要因の個人差があるので、漢方治療は専門家に相談することを勧めます。
★緊張型頭痛タイプ
緊張型頭痛の原因とセルフチェックリスト
首や肩周りがこって血流が悪くなることで起こる緊張型頭痛。老若男女を問わず多く見られるタイプの頭痛で、パソコンやスマートフォンの長時間使用により悩まされる人が増えています。
首や肩周りの筋肉が緊張すると、筋肉内の血行が悪くなり、筋肉はますますこわばって緊張型頭痛が起こります。長時間のデスクワーク、目の酷使、精神的ストレスが原因になりやすく、俗にパソコン頭痛、スマホ頭痛とも呼ばれます。
★緊張型頭痛が起きたときの対処法
頭痛が起きたときは、背筋を温めると効果的。仕事や勉強で長時間座りっぱなしな人は、こまめに休憩をとって気分転換をはかりましょう。ときどき背筋を伸ばすなどのストレッチをして、筋肉をほぐすと◎。
★緊張型頭痛の予防法
座り方を直して首や肩周りの負担を軽減。デスクワークの人に起こりがちな緊張型頭痛は、座り方を工夫するだけでも改善が見込めます。パソコンを使っている人は、ディスプレイをやや見下ろす高さで座り、腕は机の上か肘かけに置いて固定するようにしましょう。
首や肩、背中への負担が軽減され、頭痛が和らぎます。
★日々のストレッチで筋肉の緊張をほぐす
こわばった筋肉をほぐすストレッチも大切です。こまめなストレッチで筋肉の緊張を和らげましょう。
★ストレスをためない生活を心がける
心身のストレスを解消するためにゆっくりとお風呂に浸かる、首や肩をマッサージするのもいいでしょう。
ひと駅分歩いたり、散歩したり、ヨガなどで軽い運動をすることもおすすめです。
★片頭痛・緊張型頭痛の両タイプに共通! 薬物乱用頭痛に要注意
薬物乱用頭痛というと怖いイメージですが、いつもバッグに頭痛薬を入れているあなたもそうかもしれません。どんな鎮痛剤であれ、2~3日に1回のペースでのんでいると鎮痛剤の禁断症状として頭痛が起こるようになります。
"頭の重い嫌な感じがするので「ひどくならないうちにのんでおこう」といつもの鎮痛剤をのむと30分もしないうちにすっきりする"そんな場合は、薬物乱用頭痛に陥っている可能性があります。
薬物乱用頭痛は禁断症状であるため、薬をのむと短時間でよくなります。頭痛にはいろいろな種類がありますが、最も多いのは肩こりに伴う緊張型頭痛、次いで脳表面の血管の収縮・拡張に伴う片頭痛です。どちらの頭痛であれ、鎮痛剤をのんで30分以内にすっきり消えることはありません。
月に15日以上鎮痛剤をのんでいる場合は、薬物の使用過多による「薬物乱用頭痛」です。月に10日以上のむようになったら、一度のむのをやめ、医師に相談しましょう。
★薬物乱用頭痛の症例
介護職について3年目のAさん(20代女性)も市販の頭痛薬が手放せなかった1人です。先に治療を開始していたお母さんの頭痛がよくなり市販薬をのまなくなったのをみて緑蔭診療所を受診しました。
愛用の頭痛薬は鎮痛成分に鎮静成分がプラスされた市販のもの。市販の鎮痛薬には、イブプロフェンなどの主となる鎮痛成分以外に、カフェインや鎮静成分が配合されたものがたくさんあります。カフェインも鎮静成分も依存を起こしやすい薬物ですので、配合薬は薬物乱用頭痛もより起きやすくなるのです。
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