「お腹が痛かったからトイレに行って踏ん張ったのに、全然出ない…。」
これ、便秘で悩んでいる人のあるあるですよね。
そんな慢性的な便秘から抜け出したい方に、騙されたと思って一度試して欲しいのが足つぼマッサージ。実は足裏のつぼ押しは、便秘解消にとても効果的なんです。
つぼの位置や押し方はもちろん、足裏のつぼ押しが便秘に利く理由、慢性便秘の種類や対策など、役立つ情報を豊富にお伝えします。
快便体質になってストレスフリーな生活を手に入れたい方はぜひ最後までお読みください。
※「足つぼ」について
本稿でいう「足つぼ」とは、多くのリラクゼーションサロンで表現される、リフレクソロジーの「反射区」を指します。
1.慢性便秘に効く足つぼマッサージのやり方
早速ですが、慢性的な便秘に効果的な足つぼマッサージのやり方をご紹介します。
1-1.つぼ押しのための手指の形と押し方
足裏のつぼの押し方は、大きく分けて2つあります。
指の腹で押す方法と、関節を使って押す方法です。関節は第1関節、第2関節を使います。
それぞれの押し方や力強さの違いを説明します。
A)指の腹で押す方法
両手の親指の腹を使います。親指以外で足を掴んで固定し、両手の親指を重ねて腹でグッと押します。
親指の腹を使う場合は基本的に指を移動せず、1箇所のみに圧力をかけます。もし広範囲を指圧したい場合は、1箇所ずつじっくりと押します。そして指を離し、次のポイントに移動します。
関節を使うよりも簡単で、弱めから強めまで力強さを調整しやすいので、つぼ押しに慣れていない方におすすめの手法です。
親指の腹を用いてつぼを押す場合は、息を吐きながら3~5秒かけてゆっくりと圧を加えましょう。そして、そっと指を離します。
B)関節を使って押す方法
第1関節、もしくは第1関節と第2関節を使う方法です。
やや強めの圧で狭い範囲を押して流すなら第1関節のみを使い、やさしい圧で広い範囲を押して流したいなら第1~第2関節の間で平らな面を作って足裏を刺激します。
第1関節のみを使って指圧する場合は、息を吐きながら3~5秒かけてゆっくりと圧を加えます。その後、そっと指を離します。
第1~2関節を使って広い範囲を押し流す場合もほぼ同じです。圧を加えたまま、範囲に応じて3~7秒かけてゆっくりと指を移動させます。その後そっと指を離します。
1-2.慢性便秘に効く足つぼマップ
慢性的な便秘でお悩みの方におすすめの、消化器官に働きかけるつぼ(反射区)を9つ紹介します。
位置は分かりやすく足裏の中央に集中しています。
つま先の反射区は頭部に該当し、かかとの反射区は下半身に該当するという一定の流れに沿っているため、腸などお腹に関するものは足裏の中央にあるわけです。
慢性便秘に働きかけるつぼの位置をイラストで、期待できる効果を表で確認してみましょう。
【慢性便秘に効果的な足つぼの図】
【慢性便秘に効果的な足つぼの名称、位置、期待できる効果】 ①上行結腸(=右足の「下行結腸」) 【位置】右足のみにある。かかとの上、外側を縦に走っている。 【期待できる効果】大腸が収縮・弛緩して便を移動させ排出する動きを助ける。
②横行結腸 【位置】両足にある。足裏のちょうど真ん中あたり。両足を横断し、上行結腸と下行結腸を結んでいる。 【期待できる効果】大腸が収縮・弛緩して便を移動させ排出する動きを助ける。
③下行結腸 【位置】左足のみにある。かかとの上、外側を縦に走っている。 【期待できる効果】大腸が収縮・弛緩して便を移動させ排出する動きを助ける。
④直腸(S状結腸) 【位置】左足のみにある。かかとのすぐ上を横に走っている。 【期待できる効果】腸の出口部分に働きかけて排泄を助ける。
⑤肛門 【位置】左足のみにある。土踏まずの下部。 【期待できる効果】肛門付近の静脈の血行を促進し、便秘を予防する。
⑥腎臓 【位置】両足にある。足裏の中央からやや上。溝の部分。 【期待できる効果】老廃物の排出を促す。
⑦尿管 【位置】両足にある。腎臓から膀胱のつぼを結ぶように、足裏の中心部からななめ内側に走っている。 【期待できる効果】排泄物がスムーズに流れるよう促進する。
⑧膀胱 【位置】両足にある。くるぶしの横で、土踏まずの上部。 【期待できる効果】老廃物の排出や頻尿の緩和が見込める。
⑨小腸 【位置】両足にある。土踏まずから外側一辺に広がっている。 【期待できる効果】内臓の動きを正常に整えたり活発にさせたりして、消化を促す。 |
1-3.コの字を描いて順番に刺激
マッサージをより効果的にするためには、大腸から肛門まで便の移動経路に合わせ、コの字を描くようにつぼを刺激していきます。
下のイラストと表に参考に、刺激する順番と押し方を確認しましょう。
【順番と押し方】 ①上行結腸(=右足の「下行結腸」)/②横行結腸/③下行結腸(左足)/④直腸(S字結腸)/⑤肛門 指の第1~2関節の間を使う。グッと力を込めたままコの字を描くように押して流していく。 ※つぼ押しに慣れていない方、強い圧が好きな方は親指の腹や第1関節のみを使うやり方でもOK。その場合は、1点ずつ指圧して少しずつ位置をずらしていきます。
⑥腎臓/⑦尿管/⑧膀胱 まず腎臓のつぼを親指の腹でグーッと刺激する。次に尿管のつぼに沿って、第1~2関節の間の平らな面を使って押し流していく。最後に膀胱のつぼを、第1関節のみを使って強めに刺激する。 ※つぼ押しに慣れていない方、強い圧が好きな方は親指の腹や第1関節のみを使うやり方でもOK。その場合は、1点ずつ指圧して少しずつ位置をずらしていきます。
⑨小腸 第1~2関節の間で平らな面を作り、圧をかけてかかとの方向へ指を滑らせる。 ※つぼ押しに慣れていない方、強い圧が好きな方は親指の腹や第1関節のみを使うやり方でもOK。その場合は、1点ずつ指圧して少しずつ位置をずらしていきます。 |
最低限アプローチしたいのが大腸や肛門の働きを促す、①~⑤のつぼです。
上行結腸から肛門まで、便が出口に向かう流れに合わせて、コの字を描くようにつぼを刺激します。この順番で足裏の神経を刺激し各器官に働きかけることによって、先に大腸内の便の移動を、次に肛門から便の排出を促します。
消化器官である⑥腎臓、⑦尿管、⑧膀胱、⑨小腸のつぼ押しも加えると、更なる効果が期待できます。時間に余裕のある方は後半のつぼ押しもおこないましょう。
1-4.力加減は「痛気持ち良い」程度で
足裏のつぼ押しをするときは、痛気持ちいい程度の力強さを目安としましょう。
痛みに耐えられないほどの力強さで刺激するのは避けてください。あざや傷ができたり、揉み返しが起きたりなど、体調不良の原因となります。
仮に痛みに耐えられないほど力いっぱい押してしまうと、皮膚の下にある筋肉組織(筋)が損傷して炎症を起こしてしまいます。その結果、あざや傷、揉み返しが発生します。
足つぼマッサージをする際はつらい、耐えられないと感じるほど力を込めるのは避け、少し痛いけど気持ちいいと感じる程度の力加減でおこないましょう。
2.足つぼマッサージをする際に心がけたいポイント
足裏のつぼ押しをする際に心がけたいポイントを2つお伝えします。
2-2.事前にクリームやオイルを塗布する
マッサージする箇所には、事前にクリームやオイルを塗るようにしましょう。肌の滑りが良くなって、手指との摩擦が軽減されるからです。
何も塗らずにマッサージをすると摩擦によって肌が乾燥してしまいます。
特に秋冬は足裏やかかとはガサガサになりがちです。クリームやオイルを塗ってしっかりと保湿しましょう。
2-3.マッサージ後にコップ1杯分の水を飲もう
足つぼマッサージをおこなったあとは、コップ1杯分(約200ml)の水分を補給しましょう。足裏を刺激して血行が良くなっている状態で水を飲むと、老廃物が汗などとともに排出されやすくなるからです。
常温の水でも構いませんが、おすすめは白湯(さゆ)です。
白湯とは10~15分程度沸騰させ続けて水道水の不純物を取り除いたお湯を指します。人肌よりやや高めの温度まで冷ましてから飲むようにします。不純物がないぶん通常のお湯より消化に良く、内臓を温めてデトックスを促すとされています。
3.足つぼマッサージは便秘癖に効果あり!その理由は?
一時的な便秘のほか、繰り返す慢性的な便秘にも足つぼマッサージは効果的です(※効果にはあくまで個人差があります)。
その理由をご説明します。
3-1.リンパが流れて老廃物が出やすくなるから
マッサージをしてリンパを刺激すると、体内の不要物の排出が促進されて好転反応が起こります。好転反応とは、体内に溜まっていた老廃物や毒素などの不要物が体外へ出ていくとき、体が起こす反応です。
具体的には普段より汗をかきやすくなったり、尿の色が濃くなったりするほか、尿や便が出やすくなったり、人によっては下痢を起こしたりします。
便秘になっているときの体は、体内に不要物を溜め込んでいる状態です。つまり慢性的な便秘でお悩みの方は、不要物を溜め込みやすい体質だということです。
足裏のつぼ押しを長期間続ければ、少しずつクセが付いて排便しやすい体質へと変化していきます。
3-2.足裏の反射区が消化器官に働きかけるから
足裏の反射区を刺激することによって、自律神経が消化器官に向けて「排便しなさい」と指令を出すから。これが、足つぼマッサージが一時的な便秘に効果的であるもうひとつの理由です。
自律神経の乱れは、便秘に大きく影響しています。
普段私たちの体内では、自律神経が胃や小腸、大腸に「消化しなさい」「便意を伝えなさい」と指令を送っています。
しかし交感神経と副交感神経、2つの自律神経のバランスが乱れると、これらの消化器官が正常に働かなくなるのです。
現代社会ではこのように、ストレスによって交感神経が優位になり、消化器官の動きが悪くなって便秘が引き起こされるケースが多く見られます。
そこで胃や小腸、大腸に「きちんと働いてね」と信号を送るのが足つぼマッサージです。
足裏の反射区には細かな神経が密集しており、それらは胃や大腸などの消化器官のほか、全身の各器官や内臓とつながっています。足つぼマッサージでは、足裏を刺激して自律神経(交感神経・副交感神経)を揺さぶり、消化器官をはじめとした各器官の働きを助けます。
4.今日から役立つ!便秘体質を卒業するための豆知識
実は便秘にはいくつか種類があり、それぞれ特徴や原因が異なります。
自分がどのタイプなのか知って適切に対策すれば、便秘体質が徐々に改善されるかもしれません。
足つぼだけでなく、ぜひ普段の生活も見直して快便体質へ生まれ変わっていきましょう!
4-1.慢性便秘には種類がある
慢性的な便秘は大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類があり、機能性便秘はさらに3つに分類されます。
それぞれの特徴と原因をお伝えします。
■機能性便秘
何らかの機能が低下し、便をつくって排出する仕組みに問題があるケース。慢性的な便秘のほとんどが機能性便秘です。
機能性便秘はさらに以下3つに分類されます。
1.弛緩性便秘
【特徴】大腸の動きが悪くなり、便を押し出す「ぜん動運動」が上手くおこなわれず、体内に便が残ったままの状態が続く。そのまま便から水分がなくなってカチカチに硬くなる。最も出現頻度の高い便秘。
【原因】運動不足、水分不足、筋力の低下、食事制限ダイエット
2.痙攣(けいれん)性便秘
【特徴】自律神経のバランスが崩れて腸が緊張して引きつり、動きが悪くなって排便できなくなる。便が大腸内をスムーズに流れず、ウサギのようにコロコロとした便になる。便秘と下痢を繰り返すケースも見られる。
【原因】ストレスや環境の変化
3.直腸性便秘
【特徴】直腸まで便を送れているのに、便意を感じられず排出できない状態が続く。コロコロした便だけが出て残便感があったり、強く息まないと排便できなかったりする。
【原因】朝に時間がない、痔を発症しているなど、トイレを我慢するクセがあり便意に対して鈍感になってしまう
■器質性便秘
器質性便秘とは、病気によって起こる便秘を指します。
具体的には大腸がんや虚血性大腸炎、腸管癒着などです。体に現れる症状には発熱、激しい腹痛、嘔吐、血便などが挙げられます。
これらの症状が確認できた場合は、便秘の裏に何かしらの病気が隠れている可能性が高いので、必ず医療機関(消化器内科、胃腸内科、肛門外科)を受診しましょう。
4-2.便秘になりやすい人の特徴
病気が原因となる器質性便秘は除外し、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘になりやすい人の特徴をさらに細かくまとめました。自分がどのタイプの便秘なのか判断するため、参考にしてください。
弛緩性便秘
高齢者
妊婦
出産後の女性
デスクワーカー
運動不足
水分不足
食生活が乱れている
痙攣性便秘
ストレスを溜め込みやすい
緊張しやすい
仕事や家事で忙しい方
直腸性便秘
朝に排便する時間がない
痔を抱えていて排便時にふんばるのをためらってしまう
便意を感じても仕事中などだったら思わず我慢してしまう
高齢者や寝たきりの方
4-3.快便維持のために普段から心がけたいこと
毎回快便できるよう、日常生活で心がけたい便秘対策をいくつかご紹介します。
A)食生活の改善
特に「弛緩性便秘」の方におすすめ
栄養バランスの見直し、食事の回数や量の調整も便秘対策になります。
具体的な対策法を以下にまとめました。
・食物繊維を摂る(穀物、いも、豆、ひじき、寒天など)
・乳酸菌を摂る(納豆、ヨーグルト、チーズ、味噌、キムチなどの発酵食品)
・オリゴ糖を摂る(玉ねぎ、バナナ、大豆)
・極度に食事量を減らすようなダイエットは禁止
※痙攣性便秘の場合は膨張感が増し、かえって便秘が悪化するおそれがあるので、不溶性食物繊維(玄米、大豆、ごぼう、かぼちゃ、さつまいもなど)の摂りすぎは避けましょう
B)適度に運動する
特に「弛緩性便秘」の方におすすめ
適度な運動も便秘解消に有効です。
腹筋を鍛えることで排便時にいきみやすくなりますし、無理のない有酸素運動は体の血流を良くします。また有酸素運動によって副交感神経が優位になると、体がリラックス状態になって腸の動きも良くなります。
運動の種類としては、腹筋の筋トレ(※「弛緩性便秘」の場合は特に必要)や、ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動がおすすめです。
C)こまめに水分を摂取する
特に「弛緩性便秘」の方におすすめ
十分な量の水分がないと、体内にある余分な老廃物を排出できません。水分が腸内にある便を押し出すサポートをしてくれるのです。
しかし一度に大量の水を飲んでも、胃が吸収できる水分量は200~250mlなので、あまり効果はありません。
夜中にトイレに立ったときや、朝起きたとき、食事ごと、お風呂に入る前や出たあと、寝る前など、1日6~8回に分けてコップ1杯(200ml)の水を飲む習慣をつけましょう。1日に飲む水分量は1,200~1,500ml程度が目安です。
D)ストレスを溜め込まない
特に「痙攣性便秘」の方におすすめ
ストレスは快便の大敵。ストレスによって自律神経が乱れると、スムーズに便が排出できなくなります。
普段仕事や家事が忙しい方も、気分をリフレッシュさせる時間をしっかり確保してストレスを溜め込まないようにしましょう。
E)排便タイムを設ける
特に「直腸性便秘」の方におすすめ
快便生活を目指すのであれば、規則正しい排便習慣をつけましょう。
例えば朝食後。もし便意を感じていなくても、一度トイレに行ってみましょう。
毎朝忙しくて出勤前にトイレにこもる時間がなく、無意識のうちに便意を無視してしまっているかもしれません。そんな状況が続くと、いつの間にか便意を感じにくい体になり、便がコロコロと硬くなってしまいます。
一般的に朝の起床時は腸が活発に動いて、一日のなかでも特に排便しやすい時間帯です。朝食を食べてさらに腸を動かせば、より便意が感じられ、スムーズに排便できるでしょう。
5.まとめ
足裏のつぼを刺激すると、リンパが流れて体内の不要物が流れ、自律神経が消化器官の働きを促すため、排便しやすくなります。
もう坐薬に頼らず慢性的な便秘から解放されたい方は、1章で紹介した足つぼマッサージを、便秘が気になったタイミングで実践してみてください。
足裏のつぼをマッサージするときは、事前にオイルやクリームを塗り、痛気持ち良いと感じられる程度の力加減で押してください。マッサージ後にはコップ1杯分の水を飲むと効果が高まるので、忘れないようにしましょう。
本気で慢性便秘を解消したいなら、4章で自分の便秘の種類を確認し、原因に合った対策法を今日から始めてみてください。
皆さんが明日から快便生活を送れることを、心から願っています。
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