アレルギーとの付き合い方|原田文植 医師コラム

猫アレルギー

■コラムテーマ
『言葉は身体のコントローラー』

医師・医学博士 原田文植先生
1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。

猫アレルギーなのに猫を飼っている。
そういう人は少なくない。
特に春の今頃は「換毛期」というそうだ。
春すぎは、夏に向かって、気温が高くなってくる。
冬に防寒の役割をしていた長めの被毛が要らなくなる。
夏用の短めの毛が生えてくるからだ。
時期的に花粉症と重なる。
ダブルパンチになる人も多い。

作家の安倍譲二さんがかつて
「更年期症候群の特効薬?猫を飼うことだ」
と言っていたことがある(科学的証明は困難だが…)。
確かに人間と猫は相性が良さそうだ。
ミネソタ大学心臓研究所による2008年の研究だ。
「猫を飼っている人は心臓発作で亡くなるリスクが飼っていない人に比べて30%低い」
という調査結果を報告している。
他にも、自閉症や認知症への効果も研究されている。
いわゆる「癒し効果」による部分が大きいと思われる。
猫の泣き声の周波数、触り心地。
想像するだけで癒される気がしてくる。

「年々猫アレルギーが楽になっている」
そう言う人も多い。
アレルギー症状は心理的要素が強い。
自著にも記したが、プラセボ*もよく効く。

告白すると、自分も猫アレルギーだ。
在宅訪問診療をしていると、高齢者宅には高確率で猫がいる。
数年前までは往診時、クシャミがひどかった。
最近、ほとんど出ない気がする。
ちなみに花粉症も克服した。
今シーズンも内服ゼロだ。
家族も当院のスタッフもほとんど花粉症を克服している。
(主治医がスパルタだから、という説もある…)

アレルギー反応とは過敏・過剰反応だから「除外したい」という気持ちは逆効果だろう。
だからメディアが花粉の飛散状況を煽るのは得策ではないように思う。
いや、別の意図があるか…
しょせんスポンサーがついている。

「最近あんまりアレルギー出ないのよ」
72歳の北川さんは言った。
「前までひどかったじゃない?」
「最近ネコが年取ったせいか布団に入ってくるのよ」
「猫アレルギーなんだからまずくない?」
「でしょ?だけど不思議と出ないのよね」

ここからは仮説だ。
寝ている間は、無意識状態だ。
「猫アレルギー」という意識による過敏が働きにくい。
その間に身体が慣れさせられる。
一種の「減感作療法**」になっているのかもしれない。

仮説が正しければ、まさに「老猫」サマサマだ。
北川さんは喜びながらも
「行儀悪いネコなのよ。寝床に入ってくるのよ。旦那は入ってこないけどね」
と下町ならではの粋な下ネタでサゲてくれた。

・プラセボ* 偽薬のこと。偽薬が効いてしまうことを「プラセボ効果」という。
・減感作療法** 原因となっているアレルゲンを少しずついれることで、徐々に体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法。

▼猫の次はガゼルの話をどうぞ。

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◆執筆◆

原田プロフィール
医師・医学博士
原田文植(はらだ ふみうえ)先生

1971年、大阪生まれ。医師、医学博士、内科認定医、認定産業医、スポーツ健康医、在宅医療認定医。大阪医科大学卒業後、大阪府済生会中津病院血液リウマチ内科、国立感染症研究所を経て2008年より蔵前協立診療所所長として、地域医療に従事。年間のべ約2万人を診療している。2018年、医療と教育に特化したONE LOVEビルを建設。医療従事者向けに「日本メディカルコーチング研究所」、一般の患者向けに「よろず相談所 One Love」を開設。武道家・格闘家との交流、映画出演、音楽ライブ活動など幅広く活躍。著書に『病は口ぐせで治る!』(フォレスト出版)がある。

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