「ドライアイが目の疲れを加速させる」と語る、医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶先生。
目の疲れとドライアイを同時に癒す方法、目に負担をかけにくいパソコン操作時の姿勢など、今すぐ実践できるセルフケアを分かりやすく紹介します。
ショボショボする目、ズーンと重たい目とスッキリ決別を!
■コラムテーマ
女性の5大不調 ~その原因とリセット法
医学博士・健康科学アドバイザー 福田千晶先生
1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年よりフリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。
福田千晶先生インタビュー【第4回目】は、ドライアイと目の疲れの予防・改善法について
目の疲れと乾きは、セットで考えよう
福田
目が疲れているときは、だいたい目が乾いています。
いわゆる『ドライアイ』ですね。
夢中でメールを打っているときなどは、
おそらくまばたきが減っているので、目が乾いてしまうんです。
通常、目は涙で覆われ、表面はなめらかになっていますが、
目が乾くと表面に凹凸ができて、カメラのレンズが曇ったような状態になり、
ピント調整が難しくなる。ますます目の筋肉に負担がかかってしまいます。
目の疲れとドライアイはセットで考えた方がいいですね。
編集部
その目の疲れやドライアイを、自分でリセットする方法はあるのでしょうか。
福田
目の疲れと乾きを同時に癒すのにおすすめのアイテムが、
蒸しタオルや蒸気が出るアイマスクなどです。
これらを目元に当てることで、保湿をしながら筋肉をゆるめられる。
蒸しタオルを使う場合は、くれぐれもヤケドに気を付けてください。
編集部
蒸しタオルが用意できない場合は、どうしましょう。
福田
両手をこすりあわせると摩擦熱が出ますでしょう。
そうしたら温かくなった手のひらで目を軽く覆ってあげる。
目をゆるく開けておいて。
編集部
あっ、いいですね。これ。
体温と手のひらの湿気でじんわり温かいです。
福田
目の乾きが気になる方は、ドライアイ用の目薬を使うのもいいと思います。
あと、ご自宅でできるものとしては入浴ですね。
お風呂上りに「目が疲れたわ~」って、あまり聞かないですよね。
編集部
はい。
福田 入浴中は全身が温まって、しかも蒸気に包まれているので、
それだけで目の疲れや乾きが癒されると思いますよ。
ディスプレイは、目の位置より下に!
編集部
目が疲れたり、乾いたときのリセット法を教えていただきましたが、
そうなる前の予防法といいますか、何かふだんの生活で、
目のために気を付けた方がいいことはありますか。
福田
うーん、姿勢ですね。パソコンに向かう時には、
画面の上部が目の位置より少し下に来るように、
つまり見下ろすような形になるのが理想です。
画面を見上げるような姿勢になると、どうしても目を見開くことになり、
それだけ粘膜が空気に触れるので、目が乾きやすくなります。
編集部
見下ろす方が目は疲れにくいんですね。
ディスプレイの位置は、ずっと悩みどころでした。
福田
あとは、画面から40センチほど離れる、
椅子の背もたれに、背を充分に当てる、
床に足がぴったりと着くように座る、といったことを意識するだけで、
目の疲れだけでなく、肩こりなどもやわらぐと思います。
編集部
肩や首に対して、目の筋肉というのは意識しにくい部分だと思いますが、
緊張しがちな目の周りの筋肉を、ときどきゆるめる、
目に負担をかけない姿勢を保つという意識をもつことが、
目の疲れやドライアイのケアでは肝心なんですね。
目の疲れ まとめ
目の疲れとは?
主に、長時間のパソコン作業や、手先の細かい仕事など、目を酷使することによって生じる一種の筋肉疲労。
目の疲れのメカニズム
目はカメラのような構造をしており、ピント調整をするための筋肉(毛様体筋)が、遠くを見るときにはゆるみ、近くを見るときは収縮している。
パソコンやスマートフォンの画面をずっと見ていると、毛様体筋の緊張によって血流が悪化し、目の疲れを招きやすくなる。
こんな人は注意
パソコンやスマートフォンの画面を見る機会が多い
手先の細かい仕事をする
など
目の疲れのリセット法
その場でリセット……遠くをぼんやり見て、目の筋肉をゆるめる。
自宅でリセット……ホットタオルで目元を温める。入浴。
根本リセット……目に負担をかけない姿勢。目の筋肉のストレッチ。
★千晶語録
長時間、近距離を見るようにはできていない私たちの目は、かつてない緊張を強いられています。目の疲れも一般的な肩こりや首のこりと同様、一種の筋肉疲労です。
ときどき、収縮しっぱなしの筋肉をゆるめてあげてください。また、ドライアイも目の疲れの大きな要因となりますので、あわせてケアしましょう。
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◆◆お話を伺った人◆◆
医学博士・健康科学アドバイザー
福田千晶(ふくだ ちあき)先生1988年、慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとして、講演と執筆、テレビ・ラジオ番組を中心に活動。医療機関での診療、企業の産業医活動も行う。『自分でスッキリ消せる! 肩こり・腰痛・ひざの痛み』(永岡書店)、『心も体もきれいになる!その場で「あたため」ストレッチ』(講談社+α文庫)、『花粉症がみるみるよくなる62の対策』(日東書院)、『1日10分! 足の悩みは自分で治せる』 (実業之日本社) など著書・監修書多数。
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